サントリーホールで開催された「新日本フィルハーモニー交響楽団、第651回定期演奏会」を聴きに行った。開演は19時、終演は21時少し前。今日はS席、8,000円、平日夜で若い女性客が多かった。マーラーは何でこんなに女性に人気があるのだろう。あるいは久石人気か。当日券は販売していないのでチケットは完売したようだが、空席が若干あった。急な仕事で来れなくなった人が多かったのかもしれない。
曲目
久石譲:Adagio for 2 Harps and Strings(世界初演新作)
マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調
出演
指揮:久石譲
新日本フィルハーモニー交響楽団
久石譲氏は名前は知っていたが、詳しいことは知らなかった。公演に先立ち、新日本フィルのHPを見るとプログラムノートが公開されているので、事前予習してみると、氏は現代音楽の作曲家で、宮崎駿監督の映画音楽などを数多く手がけ、2004年からは新日本フィルのワールド・ドリーム・オーケストラの音楽監督に就任している。現在は新日本フィルのMusic Partnerでもある。かなり多才な方のようだ。
今回の公演曲目のAdagio for 2 Harps and Stringsは新日本フィルのからの委嘱によりこの公演のために作曲したもの。マーラーの5番の前に演奏されるのでそれを意識して作曲したとのこと。イメージとしてはマーラーのアダージェットの久石版ができれば、ということだそうだ。おおらかな自然と人への賛歌であり、祈りでもあれば、と考えたそうである。実際、そのイメージ通りの曲だったと思う。
マーラーの5番の第4楽章アダージェットは、ヴィスコンティ監督の1971年の映画「ベニスに死す」(この映画のブログ)で使われたのはご存知の方も多いだろう。なんと言ってもあの映画のベニスの景色とマーラーのアダージェトが実にピッタリと合っているため、この楽章を聴くとあの場面が思い浮かぶ。
マーラーの5番は1901年、マーラーが南オーストリアのマイアーニックに別荘を新築して、そこで作曲をはじめ、翌年の夏に完成し、1904年にマーラー自身の指揮で初演された。ケン・ラッセルの映画「マーラー」(こちらを参照)で湖に突き出た木造の小さな屋敷がこのマイアーニックの別荘なのか、そのシーンも思い浮かぶ。
この5番は何回も聴いているが、演奏時間が75分と長いこと、わかりやすい旋律で構成されているだけでもないことから、なかなか理解できない。1楽章の冒頭部分からしばらくと4楽章だけが比較的わかりやすいが、それ以外は私にとっては難解である。そして75分間も集中できない。ただ、前にも書いたが、わかりにくいと思っている曲もCDやYouTube、公演会などで聞き続けると、あるとき、急にひらめいたように理解できるようになることがあるので、今後も機会があれば聴いていきたい。
公演に関する若干のコメントをしたい
- 本日の公演では、プログラムノートが事前にHPで閲覧できた、また、カーテンコール時に写真撮影可能と開演前のアナウンスがあった。これは良いことで高く評価できる。ただ、写真撮影については紙に書いて張り出してある撮影禁止の注意書きにはそのことは書いてなかったので改善してほしい。
- 演奏を聴いていてどうにも気になるのが演奏者が紙の楽譜を見て、演奏途中に何回も演奏を中断してめくっていることだ。紙の楽譜と同じ大きさのタブロイドにしてバックステージで誰かがスワイプして常に演奏している楽譜を見れるようにしてはどうなのか。ITの専門家からすれば簡単なことでしょう。
- 演奏終了後、指揮者の久石氏が拍手に答えて何回もお辞儀をしているのにオーケストラメンバーはお辞儀をしなかった。むしろお辞儀をする久石氏を冷ややかに見ている印象を持った。指揮者がオーケストラメンバー全員に起立を促し、全員が立ち上がった時などはその都度、指揮者と一緒に一礼をすべきでしょう。
さて、今日は7時からの公演なので、公演前にいつものようにホール前のアークヒルズのThe City Bakeryでパンを買って簡単な夕食にした。今回はほとんど売り切れていて選択肢が少なかったが、ブレッツエルクロワッサン418円を選んだ。ただ味の方は、できてから時間が経っていたせいであろうが、期待通りではなかった。クロワッサンは少し温めて提供するサービスがあると有難い。
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