花咲く丘の高校生

平成時代の高校の授業風景を紹介したり、演歌の歌詞などを英語にしてみたり。

猫じゃらし

2024-09-07 | 高校生
 猫じゃらし(再掲)
吹く風に
                  季節を揺する
                猫じゃらし

 まだまだ残暑。夏の疲れか、退屈な授業のせいか、瑠里が居眠りしている。半袖の白いブラウスから日焼けした肉付きのよい二の腕まで見せて、まるでトンボのような格好で机に伏せっている

 私はそっと近づいて行って、オニヤンマが水面に卵を産み付けるように、ツン、ツン、ツンと肘のあたりをつついてやった。
 ぴくりともしないので、今度は中指と人差し指の背で、お団子のような、とっても愛らしい瑠里の鼻をヒョイとつまんだ。
 「あっ、るりちゃん、早く起きて!ゆ~せんせいにセクハラされちゃうよ」と隣席の香奈が言った。
 「セクハラなんかじゃないよ。愛の目覚まし時計だよ。瑠里はどう思った?」
 「う~ん、うちんちの子猫がじゃれていたんだよ~お」

 …そう、窓の外はすっかり『ねこじゃらし』の季節になっていた。
 目には未だ見えていない残暑の終焉を知らせるかのように、あの猫じゃらしが、あちこちでツンツンツン、 ヒョイ、ヒョイ、ヒョイと揺れていた。
                       (2008年9月11日)
ご訪問、ありがとうございました。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする