花咲く丘の高校生

平成時代の高校の授業風景を紹介したり、演歌の歌詞などを英語にしてみたり。

猿供養寺の人柱-(3)

2024-02-04 | 民話英訳
猿供養寺の人柱ー(3)
坊さんは、村のしょが今日まで助け合い、励ましあってきたことを思って、感心するばかりだったと。
 「わしが人柱になろう。わしにその役めをさせてくれんか。
 仲の良い村のしゅうだれひとりなくしてもいけねえ。わしは、仏につかえる身じゃ。こんなによい人たちのお役にたてれば本望じゃ」
 坊さんは村のしょに話しだしたと。村のしょの心の美しさをほめて人柱を用意するようにいうたと。
 The monk was filled with admiration for how the villagers had helped and encouraged each other. 
 "I'll be a human pillar. Let me take on that role." 
 The monk began speaking to the villagers.
 "I don't want to lose any of these good people in this village. I'm a servant of Buddha. I really wish I could be of any help to such good people."
 He praised the beautiful hearts of the villagers and told them to prepare to set up a human pillar.

 その晩は、村のおさのうちに泊まり、次の日の朝げ、坊さんは身をきよめたと。真っ白いきものを着て、最後のお経をとなえたと。澄んだ声が村のしょの心のおく深くしみとおったと。村のしょにほほえみかけると、別れをいうて、ほってある穴に入ったと。ほうして静かに甕をかぶったと。村のしょは、涙ながらに、かたくかたく土をかぶせたと。
  The monk stayed at the house of the vllage chief that night and purified himself in the next morning. He was dressed in a pure white kimono and chanted the last sutra. His clear voice penetrated into the hearts of the villagers. He smiled at the villagers, said goodbye, and went into the hole the villagers had dug. Then he quietly put himself in the urn. The villagers, in tears, covered the monk in the urn with hard, hard soil.
 
 こんげして、たっとい人柱ができたんだと。
 ふしぎなことに、それからなん日もしないうちに、大地の動きはすっかり止まったと。
 その後、何百年もの間、この村には地滑りがなかったと。
                                                                                             ーお終いー
 In this way, a precious human pillar was created. 
 Strangely enough, within a few days the earth stopped moving completely. 
 For hundreds of years after that,  no landslides occurred in this village.
                            ーThe endー
そして今人柱になった旅の坊さんが通ってきた黒倉山の峠道は現在、里山ハイキングコース「信越トレイル」の一部になっています。
また、北陸新幹線の「はくたか」は、長野県側の飯山駅からこの峠下の「飯山トンネル」(22.25km)を抜けると3分で、新潟県側の「上越妙高駅」に到着します。
信越トレイル長野と新潟県境の1000m級の低山の尾根を巡る全長110kmの「信越トレイル」は、国内では稀なロングデスタンス ハイキングコースです。
ここには今人柱供養堂と地滑り資料館もあります。
            (上越市板倉区猿供養寺401 ℡0255-78-2681)

 人柱になったお坊さんが通ってきた黒倉山麓に広がる「光が原高原キャンプ場」は、標高千メートルに位置し、眼下に日本海を望む抜群のロケーションで、「信越トレイル」の入山口でもあります。ぜひキャンプ&ハイキングにいらしてください。(ゆ~)

 


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4 コメント

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Unknown (takusan)
2024-02-04 11:21:40
完結編ですね。貴重なお話をどうもありがとうございました。
英文と両方読ませていただきました。こうして読むとすごく英語の勉強になりますね。

それにしてもこのお坊さんのような方、本当にすごいなと思います。
甕をかぶって硬い土をかけられたら、もう出られませんよね。
私だったら気が狂いそうです。
よくそんなところへ自分から進んでいけるなぁと。

でもこんな方が指導者としていられると、どんなに人心が穏やかになることでしょう。
今の日本の指導者の中にこういう方がいてくれたらなぁと思います。
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Unknown (kinshiro)
2024-02-04 16:44:37
胸に迫るお話です
まず、英語訳から読んでみました。
こんな素敵な日本文は浮かびませんでしたが、何となく理解できて、どんどん読みたくなって、、

で、以前、甕をどう訳そうか、、と、、で urn!
全然知らない単語で(知ってる方が少ないので、僭越な言い方ですが) 辞書で調べました。
なるほどねぇ、、、で、ひいては骨壺なる物であるい事も!

色々な世界に色々な伝わり方で人柱なる物あります、残酷極まりない話でも、多くの人々の為に犠牲になるなら、、、、
戦争は決してそれではない、と思うこの頃なのですが、、、
戦地へ赴く若者を見る度、どこか間違ってる!と、、です。
文章に関係ない話ごめんなさい
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takuさんへ (5381naninani)
2024-02-04 21:17:38
コメントありがとうございます。

英文も読んで頂き恐縮です。

このお坊さんは名前も告げずに甕をかぶったのでしょうか?本当に凄い行為人物もいたものです。

今後ともよろしくお願いします(ゆ~)
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kinshiroさんへ (5381naninani)
2024-02-04 21:35:12
金四郎さんへ
コメントありがとうございます。

urnは私も今回辞書で初めて知った単語です。

「甕をかぶる」ですが、結局「甕に入った」になってしまいました。下手に訳すと「鼎法師」みたいになってしまいそうで( ^ω^)・・・

今後ともよろしくお願いします
            (ゆ~)                
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