[ロンドン 17日 ロイター] - 主要産油国の一部が供給過剰を抑えてこれ以上の価格下落を防ごうと、1月の生産量を現行水準に据え置くことを決めた。これを受けて世界の原油市場には今週、動揺が走った。だが、こうした戦術が有効に機能するかどうかについて、投資家が疑念を抱いていることを相場は示している。
主要産油国のサウジアラビア、カタール、ベネズエラの石油相は16日、石油輸出国機構(OPEC)非加盟のロシアとカタールの首都ドーハで会談し、主要な産油国が合意を守ることを条件に1月の生産量を維持することで合意した。
イラク、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)の3カ国は、十分な数の他の大規模産油国が同じ行動を取ることを条件に、凍結合意を順守する方針を明らかにした。
不確定要素は、長年の経済制裁が解除されて市場に復帰したイランだ。イランはこの種の制限措置には何であれ反対し、今後6─12カ月間に日量100万バレルの増産するとの目標を守る方針を打ち出している。
イラン、ベネズエラ、イラク、カタールの石油相は17日、イランの首都テヘランで会談し、イランのザンギャネ石油相は、イランがOPECと非加盟国が生産「上限」の維持で合意したことを歓迎する意向を表明した。
しかし、ザンギャネ氏は、イランが自国の生産量を1月の水準のまま維持するかどうかについては明言を避けた。
米国のシェール原油生産に加え、OPECやロシアなど他の主要産油国による過去最高水準に近い生産によって現代で最大規模の供給過剰が生まれており、今回の提案は過去20カ月の間に70%下落した原油安を食い止めることを狙いとしている。
もっとも北海ブレント先物の価格曲線の長期ゾーンが物語るように、投資家は今回の凍結合意を受けて相場が近い将来に供給不足に傾くとはみていない。
<期先プレミアム拡大せず>
テヘランでの会合後、17日の北海ブレント原油先物価格LCOc1は5%近く高い1バレル=34ドル超の水準まで値上がりした。
それでもPMVオイル・アソシエイツのアナリスト、デビッド・ハフトン氏は「ドーハの会談は合意で終わったかもしれないが、解答よりも多くの疑問が残ったままだ。会談が浮き彫りにしたのは合意に達するのは難しいということだけだ。市場は増産凍結ではなく、減産を必要としている」と冷ややかに話す。
OPECと世界最大の産油国ロシアの生産量は、1月時点で既に過去最高かそれに近い水準に達していた。
16日時点で1年先が受け渡しとなる原油先物の期近物に対するプレミアムは1バレル当たり9ドル近くに上昇したが、会談結果の発表を受けて4カ月ぶりの低水準となる6ドル前後に逆戻りした。
一般的に先物プレミアムが拡大すればするほど、投資家の間で原油供給量は将来不足するとの期待感が高まるが、現在の格差は昨年10月以来の低水準に縮小している。
さらに投資家は、来年の12月末時点になっても原油価格は40バレルを大きくは超えないと予想している。
2017年12月渡しの北海ブレント原油先物LCOc1の期近物に対するプレミアムは10ドル強にすぎない。
仮に主要産油国が生産凍結、あるいは減産で足並みをそろえたとしても、機を見るに敏な米国のシェール企業は何らかの供給減少があればチャンスとみて増産に転じる可能性がある。
また、低コストでも生産可能な産油国にとってみれば、高コストの競合産油国を市場から駆逐できるなら、積極的に減産するよりも価格低迷期を耐えしのぐ方が好ましいかもしれない、との見方も出ている。
「相当な規模かつ目に見える形で持続的な減産を行えば、短期的には明らかに市場に対する強気のシグナルを送ることになる。しかし、米国のシェール企業の生産回復能力や、他の投資機会が欠乏する中で米国の投資家がチャンスを虎視眈々とうかがっていることを考えると、こうした減産はあっという間に再び生産を刺激し、原油価格はほぼ間違いなく中期的には低水準にとどまる」とJBCのアナリストチームはノートで指摘した。
以上、ロイター記事
中国経済が減速している世界の工場で石油の供給過多状態であり、原油生産を増産しないレベルから減産する調整がうまくできないと原油安は止まらない。
日本にとっては、いいことであり、日本政府は談合すべきではないと主張すべきだ。