帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子〔十五〕海は

2011-03-06 06:00:28 | 古典

 



                                       帯とけの枕草子〔十五〕海は



 言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」。「
心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。


 

枕草子〔十五〕海は


 海は、水うみ。よさの海。かはぐちのうみ。いせの海


 
清げな姿

海は、湖。よさの海。川口の海。伊勢の海。


 心におかしきところ

つらいのは、見ず憂み、夜がくる憂み、かは口の憂み、井せの憂み。

うんざりなのは、身す・見す、倦み、夜の倦み、かは口の倦み、井せの倦み。


 言の戯れと言の心
 「海…産み…女…憂み…ゆうつなこと…つらいこと…倦み…厭き厭きする…なれなれとなっていやになる」「水…女…見ず…身す」「見…覯…媾…まぐあい」「ず…打消しを表す…す…洲…女」「よさ…夜…夜さり…夜がくる」「川…女」「口…入り口…門…女」「い…井…女」「せ…背…背後…陰…奥」。

 


 聞き耳を異にしたために「心におかしきところ」が全く聞こえなくなり、清げな読みの前で立ち尽くしたまま数百年は経った。今、清げな衣姿の奥より、生な女の心の声が聞こえるでしょうか。

 


 伝授 清原のおうな


 聞書  かき人しらず  (2015・8月、改訂しました)


 枕草子の原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。