帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子〔十九〕いへは

2011-03-11 06:01:18 | 古典

  



                      帯とけの枕草子〔十九〕いへは



 言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」。
「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。

 


  枕草子〔十九〕いへは

 
  いへは、このゑのみかど。二条わたり。一条もよし。そめどのゝみや。せかい、すがはらの院。れいせい院。かん院。朱雀院。をのゝ宮。こうばい。あがたのゐど。東三条。小六条。小一条。


 清げな姿

家は、近衛の御門。二条あたり(定子の母方の里)、一条も良し(今内裏)。染殿の宮。清和院。菅原院。冷泉院。閑院。朱雀院。小野の宮。紅梅(殿)。県の井戸(殿)。東三条(彰子の里道長邸のある所)。小六条。小一条。


 心におかしきところ

井へは、此の江の身門、二情わたり、一情も好し。初め門のの身や、清和、すが腹のいん、冷性いん、長閑ないん。す裂く陰、おのの身や、荒廃。あの方の井門、頻がしさんじょう、濃ろくじょう、こ一情。


 言の戯れと言の心

「いへ…家…井辺…女」「このえ…近衛…此の江…私の江」「江…女」「み…御…水…女…身…見…覯」「かと…門…女」「わたり…付近…渡り…わたり合い」「そめ…染め…初め」「院…木立も垣根も前栽も池などもある立派な邸宅…陰…ほと」「す…脚陰のもの…女」「こうはい…紅梅殿…荒廃」「あがた…県…田舎…彼方…あの方…東三条あたりに住む方々…吾方…わたくし方」「あ…彼…吾…どちらとも受け取れる、曖昧にするのは、誹りの手法」「井、戸、門……女」「三条…三情…多情…惨状…残酷なさま」「東…ひんがし…頻がし…嬪がし」「こ…小…乎(感嘆詞)…濃…濃い」「六条…六情…多情…ろくじょう(鹿茸)…強壮薬」「小…子…おとこ…ほんの少し…こちら」「一条…一情…おとこの性情」。

 


 道長邸(土御門殿)は、東三条にあった。

 

東三院詮子は、主上の御母、中宮定子の姑、道長の御姉、道長方のお方、尼となられてからも隠然たる威勢を誇っておられた。国の母であられるから当然のこと。


 

伝授 清原のおうな

聞書  かき人しらず  (2015・8月、改訂しました)