帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子〔二十三〕たゆまるゝ物

2011-03-17 06:02:28 | 古典

 



                                     帯とけの枕草子〔二十三〕たゆまるゝ物



 言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」。
「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。

 


 清少納言 枕草子〔二十三〕たゆまるゝ物

 
 たゆまるゝ物、さうじの日のおこなひ。とをきいそぎ。寺にひさしくこもりたる。

 

清げな姿

中だるみするもの、精進の日の勤行。遠い先のことの準備。寺に久しく籠もっている。

 

心におかしきところ

たるむ物、双肢の火の行為。門お気急ぎ。衒って久しく子盛っている。

 
 言は戯れ無常なもの、「聞き耳」を同じくしましょう
 「たゆまるる…自然に気が緩む…中だるみする…ものが弱り絶える」「物…者…事…状況…情況…ものとしか言いようのないこと」「さうじ(ん)のひ…精進の日…潔斎の日…そういうことを行ってはならない日…双肢の火」「ひ…日…火…情熱の炎」「おこない…勤行…行為」「とをき…遠き…時間が先の方…距離が彼方…ものの極みどころ…とを気…門お気…女と男の気持ち」「いそぎ…準備…急ぎ」「てらに…寺に…衒に…みせびらかすように…誇らかに」「こもる…籠もる…子盛る」「こ…子…子の君…おとこ」。 

 


 これを諧謔と聞いて、おかしと笑えたとき、千年の時を越えて趣旨が伝わったことになる。

 

「歌は浮言綺語の戯れには似たれども、ことの深き旨も顕われる」と藤原俊成はいう。歌だけではなく、諧謔や嘯きのような文芸も同じ。 



  伝授 清原のおうな
  聞書  かき人しらず     (2915・8月、改訂しました)

 枕草子の原文は、新 日本古典文学大系 岩波書店 枕草子による