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帯とけの枕草子〔十六〕みささぎは
言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。
枕草子〔十六〕みささぎは
みささぎは、うぐひすのみさゝぎ。かしはばらのみさゝぎ。雨のみさゝぎ。
清げな姿
陵は、鶯の陵。柏原の陵。雨の陵。
心におかしきところ
見ささ気は、春告げとりの見ささ気。樫端はらの見ささ気。吾めの見ささ気。
身ささ木は、はる告げとりの身ささ木。下肢端はらの身ささ木。お雨ふる身ささ木。
言の戯れと言の心
「みささぎ…大きな丘…墳墓…御陵」「みささき…見ささ気…そのときの細やかなお気もち…身ささ木…貴身の立派なこと」「み…御…見…媾…身…おとこ」「ささ…こまやかな…たっぷりな…美称」「気…気持ち…心遣い」「木…言の心は男…おとこ」「うぐひす…鶯…春告げ鳥」「鳥…女」「春…情の春…ものの張る」「かしははら…柏原…所の名、名は戯れる。樫端ばら、堅いお身の端」「ばら…ども…親しみを表す…原…腹」「雨…おとこ雨…吾め…吾女」。
言の意を大きくずらして用いるのは、「をかし」を醸しだす一つの手立て。
文芸の言葉は、浮言綺語の戯れそのもの、しかも、常なること無し。今では思いもつかない、当時の「言の心」を心得れば趣旨が顕われ、「清げな姿」の奥に女の生の声が聞こえるでしょう。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人しらず (2015・8月、改訂しました)