空の道を散歩

私の「仏道をならふ」の記

甲状腺の検査

2016-07-20 00:38:40 | 健康・病気

 今日、甲状腺の検査のため、専門医のいるクリニックに行った。

 高コレステロールと骨粗しょう症の治療に通っている漢方クリニックで、頸動脈のエコー検査をしたとき、甲状腺に影がある、血液検査ではがんなどの異常は見つからなかったが、念のため専門医に見てもらった方がいいと言われた。そこで紹介されたAクリニックはたまたま私が住んでいる市にあって、電車で2駅のところにある。予約の電話を入れたとき、1か月先しか予約が取れないといわれ、どれだけ混んでいるのだろうと少し心配だったが、予約時間からそれほど待たされずに診察室に呼ばれた。

 院長は男の先生で、有名な甲状腺専門病院などで大勢の患者を診た経歴がホームページで紹介されていたが、私の担当は中堅といったふうのD先生という女性医師で、問診も丁寧で分かりやすい。何より、こちらの言い分をきちんと聞いてくれるのがよいと思った。

 私は20数年前に右甲状腺にポリープが見つかって、全摘手術をしている。左まで摘出するはめになっては困る。

 まず、エコー検査(超音波検査。断層撮影法)を受ける。すぐに結果説明をしてくれた。影が3つほどあって、1センチ以上のが1個、1センチ以下が2個映っている。その影が悪性かどうか、細胞液を採って検査すると言う。診療明細書には、「甲状腺穿刺又は針生研、細胞診(穿刺吸引細胞診)」と表記されていた。

 以前、右の甲状腺を取ったとき、初め診察を受けたときは、それほど腫れてはいなかったが、悪性か良性か見るために、注射で細胞液を採取した。帰宅後、みるみるポリープが大きくなって、気管や食道を圧迫し、呼吸しにくくなったり、水さえ飲みにくくなった。たまたま年末だったので不安を抱えたまま年を越し、病院が開くとすぐに病院へ行って、即手術という事態になった。

 その時の体験を話すと、稀にそういうこともあるという。注射針を抜いた後、内出血が止まらないために起こるのだそうで、少量だと血液は細胞に吸収されるのだが、内出血が止まらないと、大きく腫れてしまうのだそうだ。

 そんなことにならないように、採取後5分間は看護師が注射をした跡を押さえている、その後10分間は自分で押さえていてもらう。その後、出血が止まったかどうか確認してから帰ってもらうので、心配はないと言った。

 右甲状腺を摘出したのは大学病院だったが、そんな説明はおろか、注射した後、出血を止める処置もしてもらった記憶がない。大体、患者への簡単な説明もなく、まず手術ありきで進められていく。手術日を決めるという段になって、私がちゃんとした説明をしてほしいと言ったら、担当の教授はびっくりした様子で、あわてて助教授に説明をさせた。まだ、インフォームド・コンセントという言葉が一般的でないころの話だ。

 今から思えば、大学病院に行ったのが間違いだった。甲状腺専門病院を紹介されたのだが、その病院は我が家からは遠く、我が家の目の前にその大学病院があったので、そこで診てもらうことにしたのだ。甲状腺専門病院で診てもらっていたら、手術をしなくても済んだかもしれないとずっと思っている。術後、麻酔が切れるときに痛みがひどくて、とても苦しい思いもした。

 担当の教授は腸の難病の治療で有名な先生だったが、甲状腺に関してはどれだけ見識があったか疑問だ。手術後も、教授の回診というくだらない儀式に患者まで動員された。患者よりも教授の方が威張っているのだ。

 ということで、エコー検査の後、看護師さんによる血液採取。そのあと、また診察室に入って、D先生がエコーを見ながら、細い注射針で細胞液を採取した。

 注射を刺すときのチクっとした痛みの苦手だが、この時はとても痛かった。針を刺したときだけでなく、細胞液を採っている間中、痛かった。こんなに痛いのだから、内出血するのは当たり前だと思った。

 歯医者でもそうだが、私は診療台の上では異常に緊張して(今日はリクライニングシートだったので、いくらかましだったが)、終わるとへとへとになる。どんなに緊張すまいと思っても、体ががちがちに固まってしまうのだ。

 先生が話されたように、出血が止まったことを確認して、今日の診察は終了。結果は2週間後に出る。

 万が一、以前のように腫れてきたときのために、診療時間内ならいつでも来院するように、診療時間外のときは、提携している救急病院へ連絡するようにと、連絡先のメモを渡された。いくら時代が違うと言え、大学病院とのあまりのサービスの違いに驚いた。

 もうひとつ驚いたのは、診療費。検査を3つもしたとはいえ、5000円以上もかかった。70歳を超えた先月からは、それまで3割だった自己負担分は2割になったが、医療保険がなくて全額支払いになると、たった2時間の診療で2万5000円にもなる。

 医療費がなくて、検査も受けられず、治療も受けられない人にとって、金の切れ目が命の切れ目だなあと、いろいろ考えさせられた。

 

 


第2回ロルフィング・テクニーク学習会のつづき

2013-05-24 13:53:46 | 健康・病気

  前回の記録のつづき。

 (6)Triceps Tendon 上腕三頭筋の腱

  受ける側はベッドに仰向けに寝て、左手のひらを頭の横の床につく。施術者は受け手の左側に立って、右手で受け手の肘を軽く支えながら、左手でグリップをつくり、受け手の左手の上腕三頭筋の外側に沿って、グリップを回転させながら、肘から腋に向かってゆっくり圧を加えて滑らせ、外側に抜いていく。内側も同様に行う。右腕の場合は、右側に立って、同様に行う。腕の内側のたるみに有効。

 (7)Subscaplaris 肩甲下筋

  受け手は仰向けに寝て、左腕を斜め上に伸ばす。施術者は受け手の左側に立ち、右手で受け手の腕を持ち、左手で軽くグリップをつくり、受け手の腋の中心を押す。そのとき、受け手の右手を外側から内側にゆっくり動かす。もう一方の手も同様に行う。

 私はそうでもなかったが、相手はとても痛がった。

 (8)Pectoralis Minor 小胸筋

  受け手は左手を肘を曲げた状態で外側に投げ出す。施術者は受け手の左側に立ち、受け手の脇と胸の間の壁に右手の指4本を突っ込み、受け手の肩をゆっくり動かしながら肋骨の方に向かって圧を加える。少しずらして行う。全体のテンションが落ちたら終わる。

 反対側も同様に行う。この時も、相手は痛がったが、私はそうでもなかった。

 (9)Serratus Anterior 前鋸筋

  受け手は仰向けになり、片腕を天井に向けて上げる。施術者は、受け手の腋の下、胸のぷくっとしているところにグリップで圧を加える。この時、受け手は腕をゆっくり左右に動かす。

 (10)Deltoid 三角筋

  受け手は横向きに寝て、腕は指先がお尻に伸びるイメージで、脇に真っすぐにおく。施術者は受け手の枕元に立ち、両手のグリップで受け手の腕の両側をはさんで、ゆっくり圧をかけながら肩から肘のほうへおろしていく。肘の手前でグリップを外側に外すようにする。次に、腕の真ん中を、片手のグリップで伸ばす。

 (11)Teres Major 大円筋 /Teres Minor 小円筋

  受け手は横向きになり、腕は肘を伸ばさないで前におろしておく。施術者は受け手の背中側に立ち、一方の手は受け手の腰に置き、もう一方の腕を受け手の上腕にそえる。この時、施術者の肘を受け手の腕の付け根にひっかけるようにして固定し、あまり圧を加えない。受け手は腕を前後にゆっくり動かす。それに合わせて、施術者の添えられた腕が、大円筋、小円筋をリリースする仕組み。

 (12)Shoulder & Neck Differentiation 肩と首の区別化

  区別化とは、肩と首が固定してしまっているのを解放して、別々日自由に動くようにすること。

  受け手は横向きになり、腕は脇に添える。施術者は枕元に立ち、一方の手のひらを受け手の腕におき、一方の手のグリップで圧を加えながら肩の付け根から腕のほうへすべらせる。受け手の腕においた手のひらで腕を伸ばすようにすると、グリップがおりていく。

  このあと、前回できなかった肩甲骨のリリースを教えてもらう。

  受け手は仰向けに寝て、施術者は枕元に立つ。肩甲骨の下側に手を入れて指を立て、そのまま肩甲骨がゆるむまで待つ。

  第1回の学習会より分かりやすかったが、ブログを書くまでに時間が経ってしまったので、記憶はあいまい。少し前に購入した『ボディーワーク入門 ロルフィングに親しむ103のテクニック』という本を参考にしたが、少し違うところもあって、書いている内容に自信がない。とにかく、記録のために書いたのである。

 


第2回ロルフィング・テクニーク学習会

2013-05-15 01:22:50 | 健康・病気

  先週の土曜日、ロルフィング・テクニーク学習会の2回目に参加。今回は、腕・肩へのアプローチで、(1)から(12)までのテクニックを習う。

  前回は人数が多いうえに、首・肩という繊細な組織が集まっている部分にアプローチするため、複雑で、学ぶのに余裕がなく、時間が足りなかった。今回は、先生も時間内に終わらせるよう、教え方を工夫されて、とても分かりやすかった。

 私は(1)から(5)までのクライアントモデルになった。

  (1)Palm Fascia 手のひらの膜組織

  受け手はベッドに仰向けになり、腕を身体の両脇にのばし、手のひらを上にしておく。施術者は、受け手の手の延長上に立ち、手のひらを触って、テンションが高い部分に手のグリップまたは肘で圧を加える。

  (2)Carpal Bone Differentiation 手根骨の区別化

  受け手は手の甲を上にしておく。施術者は手首近くにある手根骨、手の甲にある中手骨の一つ一つを確認しながら両手指でもみほぐす。

  (3)Forearm Extensors 前腕の伸筋群

  手の甲を上にして、前腕の外側の筋膜にグリップで圧を加えながら、手首から肘にかけてゆっくり伸ばしていく。

  (4)Forearm Flexors 前腕の屈筋群

  手のひらを上にして、前腕の内側の筋膜にグリップで圧を加えながら、手首から肘にかけてゆっくり伸ばしていく。

  (5)Interosseous Membrane of Arm 前腕の骨間膜

  受け手は手のひらを上にむけ、施術者は受け手の前腕の2本の骨(橈骨と尺骨)の間に張られている骨間膜に圧を加えるイメージで、骨の間をグリップで圧迫しながら、手首から肘にかけてずらしていく。

 (続きは次回)

 

 

 

 


セッション7

2013-04-26 23:51:34 | 健康・病気

  ロルフィングBasic10のセッション7「体幹と頚部の調和とラインの出現」を受ける。このセッションのテーマは「頭部の解放と安定」、つまり「頭を上半身のうえにストンと載せる」ことを目的とする。

  ロルファーのAさんの説明では、「いわば、骨盤は暖炉のように火を燃やすところ。胴体から首は煙突で、煙が上へ上っていきます。暖炉で火を焚いても、煙突に煤がたまっていたり、曲がっていたりすれば、効率よく燃えないでしょう。その上、煙突の上に、コウノトリが巣を作っていたりすれば、煙は出て行かないし、火は不完全燃焼します。今日は、煙突をふさいでいる巣を取り除く作業をします」というものだった。

 セッション7を受けた日の夜に、内容を忘れないようにメモしようとしたら、その時点ですでに忘れている部分が多く、ロルフィングに関するサイトをいろいろ参考にしながら書く。

  いつものように、着替えをして鏡の前に立つ。ロルファーは「骨盤が水平になって、とてもいい感じです。最初は、身体の上部と下半身を結ぶ腹部が弱かったのですが、それもしっかりしてきています。しかし、もう少し腹部がすっきり伸びたほうが、セッション7の効果がよりよく出るので、まず、これまでの復習をしてから、セッション7に入りましょう」と言う。

  ベッドに仰向けに寝て、首の後ろを掴んでほぐし、全身をゆるめたあと、足首を触って、左足は柔らかくてよく曲がるが、右が固いと言う。どういうことをしたのか忘れてしまったが、ロルファーがどこかに施術して、右足の足首も柔らかく曲がるようになった。

  それから、セッション3の復習にかなり時間をかけた。ベッドに横向きになって、身体の前後に広がりができるように、足首、ふくらはぎ、太もも、股関節、仙腸関節、仙骨にアプローチし、体側の緊張を解放していく。

  太もも、骨盤へのアプローチはかなり痛かった。それから、体側の上部、脇腹、腋の下までのアプローチ。腋の下へはかなり深く入ってきて、痛みも強い。

 私は、左側に比べて、身体の右側で頑張って生きてきたようで、緊張の度合いも、こわばりも右側が強いので、時間もかかり、痛みも強い。

 左側は、右より反応が早い。緊張度もこわばり度も弱い上に、右側が施術を受けている間に学習しているので、解放されるのに時間がかからないのだ。

 しかし、腋の下への施術は、右よりも痛みが強く、時間もかかった。昨年秋に左腕をひねって痛めて以来、あちこち無理をしているので、それが出てきているのだろう。

 トイレ休憩の後、本題のセッション7に入る。

 まず頭を載せている首、肩へのアプローチ。頭をバランスよく首の上に載せるには、首がしなやかでなければいけないし、そのためには、胸、肩の緊張を解放しなければいけない。

 仰向けになって、首を、頭の重みで左右へ傾け、多分、斜角筋にアプローチする。テクニーク学習会で習ったときより、もっと深いところに入ってきている。これで、首の緊張が取れる。

  私は胸郭がだいぶ狭まっているようで、これまでのセッションで少し広くはなってきたものの、まだ狭いようだ。鎖骨の下を外側から内側に伸ばし、さらに胸骨の筋膜を伸ばしていく。この施術にだいぶ時間を費やして、丁寧にしていたので、私の胸郭が如何に内側に狭まっていたのかが分かる。

  さらに、上腕部、肩、肩甲骨へのアプローチ。

  首、肩も、やはり、左側の方が痛みが強く、施術も時間がかかった。

  「今まで痛い左腕をほったらかしにしてごめんなさいね。今回のセッションでようやく左腕にアプローチします。これで、だいぶよくなると思います」とロルファー。  

 左側の後頭部、耳の後ろあたりを押さえられたとき、とても痛かった。必死に我慢しているうちに、痛みが取れた。

 左肩、左肩甲骨にアプローチされたとき、左腕の中に埋まっていた痛みのカプセルが、ふっと溶けてなくなった。「今まで、さなぎみたいになっていたのが、だんだん血が通いだして、動き出しました」とロルファー。

 いよいよ、セッション7のメイン、口腔内へのアプローチだ。

 医療用の手袋をして、親指を口の中に入れる。口は軽く指を噛む感じて閉じる。右歯茎と唇の間に指を入れ、頬の内側を上から下へ、ゆっくり伸ばすように動かしていく。右が終わった段階で、左右を比べてみると、右頬の内側、歯茎と唇の間が広がった感じがするのに対して、左側は頬が歯茎に張り付いた感じだ。左側への施術も終わって、頬全体が外側へ膨らんだように思う。

 次は、下顎への施術。舌下、歯茎の内側へ指を入れ、中央から右へ、ラミネートチューブに残った歯磨きを押し出すような感じで、ゆっくり指の腹を滑らせていく。左側も同様に行う。

 上顎へのアプローチは3段階。まず、上あごの奥(柔らかな部分まではいかない)に指を入れ、指の腹で、右の方へ、チューブに残った歯磨きを縛りだすような感じで、やや強く押しながら滑らせる。次に上あごの中ほど、次に歯茎に近い部分も、同様に伸ばしていく。左側も同じように行う。

 次に舌への施術。口の中をオーブン、歯はパイ皿、舌をパイ生地に見立てて、パイ生地がパイ皿からはみ出しているような形をイメージして、舌を下顎の歯の上に載せる。その舌の真ん中を指で押さえる。クライアントはオーブンの熱がそこから伝わってくるイメージを持つ。この訓練で、声が自然に出せるようになるそうだ。 

 次は、顎関節へのアプローチ。まず、ロルファーの指を歯と歯の間に挟んで噛む。その時点では、前歯から奥歯へと噛んでいく動きだ。 

 それから、奥歯に指をおき、上下の歯が平行になるように歯を閉じて、噛む。顎関節と上下の歯が、「コ」の字型になっている形だ。この時は強く噛んでも、歯全体で噛んでいるので、痛くないそうだ。最初に噛んだ時は、歯の一部だけで噛んでいたので、指がちぎれるほど痛いのだそうだ。口を開けるときは、唾液がねっとり糸を引くイメージで、上下の歯を開く。これを幾度か繰り返す。

 この訓練で、顎関節が正しく動くようになる。ロルファーは右の顎関節に内側から指を当ててみて、「正しく動いています」と言う。しかし、左側は歯を上下にかみ合わせるだけでは不十分で、指で顎関節を強く押し、直接顎関節にアプローチして、正しい位置に直した。顎関節の筋の一つがやや短くなっているそうだ。

 左の奥歯にはブリッジが入っているので、これまで、左側の歯では噛みにくく、右ばかりを使いがちだった。そのせいで、左の顎関節が弱くなっていたのかもしれない。 

 さらに、鼻へも施術を行った。小指にジェルのようなものを塗り、鼻の穴に入れていく。びっくりするほど、奥まで入る。クライアントは、匂いが広がっていくようにイメージする。 

 全部が終わって、口腔内全体が広くなり、年を経るごとにしぼんできた口周りがふっくらとして、表情も若々しくなった感じだ。鼻の通りもよくなった。 

 セッション7で、足の裏から、下肢、骨盤、背骨、内臓、胸、肩、首、そして頭が一本につながった感じだ。Basic10がどうしてこのような組み立て方になっているのか、その意味がここでようやく理解できた。


セッション6

2013-04-22 17:46:41 | 健康・病気

 ロルフィング・Basic10のセッション6を受けたのは先週の水曜日だが、ブログを書く暇と気力がなくて、どういう内容だったか、忘れてしまいそうだ。いろいろなロルフィングのサイトを参考にしながら、覚えていることを書く。

 セッション6は「骨盤の水平化とコアの広がりとムーブメント」。例によって他のサイトの解説によると、「仙骨と背骨を自由にする・背骨を伝わる動き」というワーク。

  まず、骨盤の構造を、模型を見ながら学ぶ。背骨を支える仙骨、その両側の腸骨。仙骨の一番下部のある尾骨は、背骨の末端になる重要な部分だ。腸骨の両側のくぼみに股関節があって、足がつながっている。

 腸骨と坐骨、身体の前面にある恥骨は、1つの骨のように見えるが、もともと3つの骨が癒合したもので、3つを合わせて寛骨という。寛骨は英語で、innominate bone つまり、名前のない骨と呼ばれているそうだ。

 仙骨と腸骨をつないでいる関節を仙腸関節といい、今回のワークは、この仙腸関節の動きを滑らかにするのが最終的な目的。

 仙腸関節は若いときには柔らかで、いくらでも動くので、暴走してもブレーキが利かない。年を取ると固くなるが、固くなることは悪いことばかりではなく、無駄な動きをせず、省エネで必要最小限の動きができるよう、コントロールできれば、一番いい。

 いつものように着替えをして鏡の前に立つ。背後からロルファーが身体を観察する。「とても良くなってきているが、やはり右側が少し頑張りすぎて、その結果、左右のバランスが悪い」と言われる。けれども、以前と比べると、お腹の部分がのびやかになっているのが分かる。 

 ベッドに仰向けになり、まず首の後ろをつかんで、緊張をゆるめるのだが、単に首だけをゆるめているのではなく、首から背骨、背骨の末端の骨盤底までをゆるめているのだと説明される。

 それから、うつ伏せになって、右側の足裏~ふくらはぎ~太ももと圧をかけていく。ふくらはぎも痛かったが、太ももはもっと痛かった。痛みを感じるときには、ひたすら呼吸に気持ちをもっていって我慢する。

 足から股関節、腸骨、仙腸関節、仙骨へと働きかけていく。 

 私は、もともと仙骨と腸骨のあたりに慢性的な痛みがあって、それで鍼灸院に通っていたのだが、今回のセッションで、痛みを感じていた部分は仙腸関節だということが分かった。 

 股関節から腸骨部分も痛かったが、仙腸関節に圧をかけられると、もっと痛い。痛い、痛いと小さい声を発しながら、ひたすら呼吸を整える。もう耐えられないと思ったときに、「はい、終わりました」。 

 痛みで思い出したことがある。もう、何十年も前のこと、交差点の横断歩道を渡っていて、タクシーにぶつかられた。タクシーは曲がろうとしてスピードをゆるめていたが、私の身体は宙に飛び、道路に叩き付けられた。

 その間、1秒もなかったと思うが、一種の臨死体験をした。宙に浮いている間、走馬灯のように、いろいろな過去のことを瞬時に思い出した。そして、ああ、私はこれで死ぬのか、今死んでも悔いることはないし、まあ、いいか、と思ったとたん、地面に叩き付けられていた。

  幸い、打撲傷で済んだが、打撲した箇所が、右側の腸骨、仙骨のあたりだった。長年使い込んで故障が起きやすい場所であるのに加えて、交通事故による打撲傷、母を介護したとき傷めたのもこの部分だ。

  右側が済むと、一度鏡の前に立って、before afterの違いを見る。

 左側は右側ほど痛みを感じなかった。右より左の方が緊張やゆがみの度合いが少ない上に、右のワークの間に、左側は学習していて、反応が 早いのだそうだ。

 下半身が終わると、背中から肩までのアプローチ。背骨の両側のグルーブ(溝)を、下から上にスリーブ(掻き上げる)していく。ロルフィング・テクニーク学習会の肩と首のワークでは、胸椎の上部から頸椎にかけてスリーブしたが、セッション6では、背骨全体をスリーブしていく。

 縮んでいた背骨全体がのびやかになって、ゆるんでくるのがよく分かる。  

 最後に、仰向けになり、統合するために、首の下に手を入れつかむマザーキャットのワークを行う。

 全部が終わり、ベッドに腰掛けた姿勢で、骨盤底にロルファーが手を入れ、骨盤のバランスを見る。左右、ちゃんとなってますよと言われるが、本人は自覚がない。

 ベッドから降り、鏡の前へ。お腹が伸び、足も、太ももがまっすぐ伸びているという感じ。「あなたは小柄だから、電車の座席に深く腰掛けると、足が付かないことがあるでしょう。でも、これからはちゃんと床に足が付くようになりますよ」とロルファー。

 おへそが前に進むように、坐骨が後ろにいくようにイメージして歩けと言われるが、うまくイメージできない。けれども、ロルファーはちゃんと歩けているというので、そうなんだろうと思う。

 歩いているとき、ロルファーが仙骨に手を当てて、「ちゃんと、右、左と動いています。自分で手を当てて、感じてください」と言われても、自分の手では感じ取ることができない。後日、歩いているとき、手を当ててみて、右、左とリズミカルに動いているのを感じることができた。

 ある別のロルフィングのサイトでは、セッション6のテーマについて、以下のように解説している。

「仙腸関節の角度をただすというより、チェーンのように一つ一つダイナミックに動く背骨が、本来の滑らかさを取戻し、呼吸とともに仙骨が動く、つまり仙骨が呼吸するようになるよう働きかける」


ロルフィング・テクニーク学習会その2

2013-04-20 00:31:46 | 健康・病気

 ロルフィング・テクニーク学習会の第1回、首と肩のワークの記録の続きだが、学習会からだいぶ時間が経っているので、記憶があいまいになってきている。ワークを受けている時点で、先生の手の動きに気を取られていると、説明の内容があいまいになるし、言葉に気を取られていると手の動きを見逃してしまう。自分でノートにメモしたことも、今、読み返してみると、何のことやら理解しがたい。ということで、どこまで正しいか自信がないが、とにかく記録してみる。

  (5)Neck&Shoulder 首と肩 Differentiation 区別化

  後脛筋(頚部浅層にある筋肉。椎前筋群と斜角筋群)に働きかける。

  左手で後頭部をホールドし、右手の指を鎖骨の下にあて、対角線の方向に押す。反対側も行う。

  (6)Sleeve&Core スリーブとコア Differentiation 区別化

  コアとは深層のことで、骨盤底、膀胱から上あごまでのスペース。スリーブとは表層のことで、コアを囲んでいる周りの組織。

 耳の下の筋肉とメモにあるが、胸鎖乳突筋のことか。その筋肉の下側にグリップ(げんこつの手の甲側)を当て、軽く押す。

  (7)SCM 胸鎖乳突筋 Release 解放

  第2、第3、第4の指3本の腹(第2関節まで使う)で、SCMに沿って、耳の下から鎖骨の上まで、SCMを伸ばすようにゆっくり滑らせていく。上滑りせず、強く押すこともしない程度で。 

  (8) Anterior Scalene 前斜角筋 Medius Scalene 中斜角筋

    Posterior Scalene 後斜角筋

  この部分はどういうワークをしたのか全然覚えていない。次回、復習するときに頭に叩き込もう。

  (9)J-Work ジェイ・ワーク

  僧帽筋のエッジにグリップを当て、耳の後ろから肩の方へ、Jの字を描くように動かす。

(10)(11)(12)のワークは、時間が足りずに、次回に持ち越し。最後に(13)のSitting Neck Mork 座位の首ワークを行う。

  クライアントは椅子に座り、施術者はクライアントの脇に立つ。肘をクライアントの肩に当て、前から背中の方へ、押しながら肘を滑らせていく。これは想像以上に強く感じて、肩こりがいっぺんに解消する感じ。効果的に行うには施術者の立ち位置が大事。

 

 3時間以上のワークで、とても疲れたが、帰り道、私の身体はポッカポカだった。

 

 

 


地震&ロルフィング・テクニーク学習会

2013-04-14 02:18:48 | 健康・病気

 今日は、ロルフィング・テクニーク学習会の日。講師は私のロルファーのAさんのお連れ合いで、夫婦でアメリカのロルフ研究所で学んだBさん。

  前日、なかなか寝付けず、深夜2時を過ぎてやっと眠りについたのもつかの間、淡路島を震源とする震度6弱の地震に飛び起きた。すわ、東南海地震到来か! 

 最初の激しい横揺れのあと、阪神大震災を上回るような猛烈な揺れが襲ってくるものと思い身構えたが、横揺れだけで揺れはおさまった。テレビをつけると、まだ緊急地震速報を流し続けている。震源地に近いところでは、緊急地震速報は間に合わないということが分かる。私の居住地域は震度4だった。

 その後、揺れが来ないので、いつの間にか眠ってしまい、遅くに目覚めたときには地震があったことを忘れていた。友人からケータイ・メールが来て、「あっ、そうだ、地震があったんだっけ」と思い出す始末。

 ロルフィング・テクニーク学習会は、生徒が5人。鍼灸師、ロルフィングのクライアント、将来ロルファー志望の人など。目的も、プロとして技能を高めたい人から、私のようにセルフケアに役立てたい者など、さまざま。

  一人がモデル・クライアントになってベッドに横たわり、先生の解説、手技のお手本を見せてもらった後、2人一組になって、お互いに施術を行うという形で進められた。

 1回目の今日は首・肩のワーク。全部で13個のワークがあるそうだが、時間が足りなくて、9個のワークと、13個目のワークで終わってしまった。以下、学んだ内容を忘れないために(何しろ、月1回のペースなので)、できるだけ詳しく記しておこうと思う。

  (1)A/O Joint Release 環椎後頭関節の解放

  AはAtlas、環椎、第1頸椎のことで、ギリシャ神話に登場する天空をささえる巨人の名に由来する。OはOcciput、後頭部のこと。後頭骨と首の境目の緊張を解放するワークだ。 

 施術者はクライアントの頭の方に、クライアントに威圧感を与えないように、顔をのぞきこむような姿勢にならないようにして座る。

 後頭骨と首の境目に両手を、手のひらを上にして入れる。第1頸椎は鼻の下あたりにあって、手で触れることはできない。従って、第2、3頸椎あたりを親指以外の指(指先ではなく、指の腹)で支えるようにして、5分ほどそのままにしていると、後頭部が落ちてきて緊張が取れる。

 このとき、指で持ち上げようとしたり、押えたりするのではなく、クライアントの頭の重みを指で受けるような感じで行う。クライアントも、自分から首を持ち上げたり、力を入れないよう、施術者に委ねる。 

 顎を引いていると頸椎は固く、顎が出ていると頸椎は柔らかい。常に顎を引いたままの姿勢でいると、頸椎は固くなり、顎を出したままだと、頸椎は柔らかすぎて、グニャグニャの状態になるのだそうだ。

 (2)Groove グルーブ  

  grooveとは、溝、細長いくぼみという意味で、脊椎の両側のくぼみのこと。

  首の両側から背中の方へ、両手を手のひらを上にして入れる。第1、2胸椎あたり(肩甲骨の角の少し上)のgrooveに指を当て、溝に沿って、指の腹で溝をスクープ(掻き上げる)する感じで、手前に引っ張ってくる。何回かに分けて、丁寧に引っ張る。第2頸椎ぐらいまできたら、受け止めたまま、少し待つ。

  (3)Lally Special ラリー・スペシャル

  首の下に、手のひらを上にして、右手を入れる。頸椎のgrooveに指を当て、引っ張るようにして持ち上げる。もう片方の手は頭がぶれないよう。おでこなどに当てる。首を持ち上げたとき、クライアントの顔は左側に傾いている。

  持ち上げたまま、頭が落ちてくるまで待つ。

  左の手でも同様に行う。

  (4)Mother Cat マザー・キャット

  親猫が子猫の首を噛んで持ち上げ、運ぶ様子から名づけられた。

  首の下に片方の手を入れ、指と親手のひらで握り、もみほぐす。このとき、指が頸動脈にかからないように注意する。

  左右の手を替えて行う。これを行うと全体がゆるむ。

 (眠くなったので続きは明日)

 

 

 

 

 

 


忘れ物&セッション5

2013-04-11 23:04:26 | 健康・病気

 ロルフィングbasic10のセッション5を受ける日、前日から実家に帰っていて、予約の時間に間に合うよう、余裕をもって電車に乗ったのだが、JRの駅に到着してチケットがないのに気付いた。途中、私鉄からJRに乗り換えるとき、2枚のチケットを自動改札機に入れるのだが、通過したときチケットを取り忘れたらしい。 

 JRの改札で、女性の駅員さんに頼んで、乗換駅の自動改札に取り忘れのチケットがないか、問い合わせてもらった。というのは、私鉄のチケットはこの日購入したばかりの回数カードで、5000円以上も残っているからだ。 

 幸いにも乗換駅に保管されていることが分かった。ロルフィングを受けてから、夕方、乗換駅に戻って、回数カードを受け取ることにした。 

 年のせいか、こういう忘れ物をする回数が増えた。年に数回、とんでもない忘れ物をする。1日に2回続けて電車の中に忘れ物をしたこともある。どこに忘れたか記憶している場合は問い合わせることもできるが、最近は、忘れ物をした状況がまったく記憶にないことも多い。

 鉄道の場合は、忘れ物を預かっている駅まで行けばいいが、バスの場合は、車庫のあるところにバス会社の事務所があり、車庫の面積を確保するために、遠く離れた不便な場所にあることが多い。両親を介護している時は、実家と自分の家とを行き来していたので、何種類もの回数カードを入れていたカード入れをバスの中で落として、とても辺鄙なところにあるバス会社の事務所まで、炎天下を取りに行ったことがあった。

  そんなときは、自己嫌悪どころではない。何もかもが嫌になってしまって、ほんとうに落ち込んだ。

  さて、セッション5は「内臓空間のバランスと固有の歩行」というものだが、これも別のロルフィングのサイトを見ると、「内臓空間の解放と確立・大腰筋を目覚めさせる」という解説が載っていた。肺、心臓、胃、腸などの内臓が納められている腹部の緊張を解放する。内臓感覚は本能的で直観的な思考に関係していると、このサイトでは言っている。また、眠らせたままほとんど使っていない人が多い大腰筋を目覚めさせて、効率的な歩行ができるようにするセッションだそうだ。

 セッション5に入る前に、鏡の前に立って自分の身体の状態を見る。初日に言われたように、私は、胸から上と、腰から下はわりと強さを保っているが、両方をつなぐ腹部が弱い。セッション4まで終わって、上部と下部が整えられて、以前より力強く、のびやかになっているが、それに比べて腹部は弱弱しい。上部と下部は自信にあふれているのに、腹部は自信なげで、輝きがない。

  腹部への施術をする前に、首の緊張をやわらげ、腹部につながる足を整えるために、これまでのおさらいをする。足裏から、足首、脛、大腿部の内側に圧を加えていく。以前と同様、痛い。  

 内臓は骨盤に支えられているが、骨盤とつながっている足も内臓を支えている。本当は、足のやや内側で支えていなければならないのに、私の場合は、やや外側で支えているらしい。とくに左よりも右の足が外側に向いている。だから、その部分を抑えられると、痛みがひどい。左足はそれほどゆがみを矯正しなくてもよかった。私は右足により力を入れて生きてきたらしい。 

 整えると、足が骨盤からまっすぐつながったように感じた。

 腹部へ圧を加えることは、ほとんど体験がないので、なんと形容していいか分からない。ただ圧を感じるだけの個所と、固くて痛みを感じる箇所とがある。ロルファーのAさんが言うには、お腹に圧を加えている手は、背骨を感じているとのこと。どうですかと問われても、分かりませんとしか言いようがない。

 胃の右側、肋骨の下と、おへその上に特に痛みを感じる箇所があって、ロルファーは「ここに入ります」と言って、深いところにまで圧を加えていく。圧を加えている手や指が身体の中に入ってくるかと思うほどだ。あるところまでくると、痛みがなくなると同時に、感じていたしこりもなくなっている。

 いちばん変化を感じたのは、腸骨の内側に圧を加えられたとき。

 施術前には、腸の両側が腸骨につながれたまま固まった感じがあって、体調が悪いときには、腸骨の内側に引っ張られるような痛みがあった。卵巣が悪いのかもしれないと思ったこともある。腸は緊張してポコンと膨れたようになって、お腹も出ていた。そんなときは、下腹部にガスがたまっているような感じで、不快だし、身体が重たい。

 腸骨の内側に圧を加えられると、やはり痛い。痛みをこらえて、呼吸に気持ちを持って行く。これ以上耐えられないと思ったところで「はい、終わりました。ここは錆びついていたんですね。お腹に手を当てて、違いを確かめてください」とロルファーのAさん。

 手を当てると、腸骨の両側に引っ張られて、膨らんだまま固まっていたような腸が、つながれた部分を解かれて、腹部空間に浮かんでいるという感じだ。ポコンと出ていたお腹は平たくなっていたが、ぺしゃんこというのではなく、弾力が感じられる平たさだ。何より、ゆったりとした感じが心地よい。

  感じたイメージを伝えると、ロルファーのAさんは「そう、まさに、内臓が自由になって、あるべき場所にちゃんと整列したんですよ。身体は賢いんです」とうれしそうに言う。

 それから、内臓を支える大腰筋、骨盤底、恥骨などを整えた。骨盤底を押されると、やはり猛烈な痛みを感じた。これは、解放された内臓を支えるのにふさわしい骨盤を調整するために必要なことなのだそうだ。  

  歩行の練習は、実際に歩くのではなく、ベッドに仰向けになったまま、片足ずつ、足を立てて、骨盤を下に下げるようにイメージし、やや足の内側に気持ちを持って行き、かかとをベッドの上を滑らせるようにして足を延ばす。足を立てる時も、太ももや膝、足首に力を入れて動かしたりしてはいけない。大腰筋で持ち上げる感じ。それを繰り返す練習。ロルファーは「はい、よくできました」というのだが、自分では何をしているのか分からない。

 練習を終えて、鏡の前に立つ。力なく骨盤にめり込むようになっていたお腹の部分が伸び、不自然にへこんでいたウエストラインがのびやかな弧を描くようになっている。「今日だけでは不十分ですが、もっと整えたら、もっとお腹が伸びますよ」とのこと。

 さらに、後ろに置いた踏み台の高い段にロルファーが上って、両手を私の肩に置いて思いきり圧力をかける。私は、よろけるかと思ったが、不思議なことに、肩にも足にも力を入れることなく、踏ん張ることなくまっすぐ立つことができていた。「内臓が安定し、身体がまっすぐ立っているから、こうして押されてもバランスを崩さずにいることができるんです」とロルファー。

 歩行の練習をしているときには何も感じなかったが、今日、近所の山を歩いたり、買い物に出るのにバスに乗らずに歩いたとき、歩行が軽く感じられた。やはり、練習の成果なのか。

 


セッション4

2013-04-04 00:41:53 | 健康・病気

 ロルフィングのbasic10のセッション4「骨盤底の自由化とコアサポート」を受けた。セッション3までは、表層の組織、周辺部、四肢の段階だったのが、セッション4から7までは、深部の組織、中心部、体幹部、深部構造というコアの段階になる。 

 他のロルフィングのサイトによると、セッション4は、骨盤底の解放、足から骨盤にかけての内側のラインを整える。足首、下肢、大腿のねじれや傾きにアプローチし、骨盤底の緊張を解放することにより、骨盤底に支えられている内臓を整えるという説明があった。 

 まず、模型で、骨盤とそれに支えられている背骨の構造を学び、立った状態で手のひらに載せて、骨盤と背骨がまっすぐになるようバランスを取る。模型が重いのと、手の力がないのとで、なかなか支えられなかったが、何とかバランスを取った。次に、歩きながら手のひらに載せてバランスを取るように言われる。

 えっ、そんなの無理、と思ったが、やってみると、ただ立っているときよりも、歩きながらの方が、バランスを取りやすい。立っているだけのときは手の力だけで模型を支えていたのが、歩きながらのときは、全身で支えている感じで、軽々と支えられるのだ。不思議な体感だった。

 骨盤底と背骨の関係は、暖炉と煙突のような関係で、暖炉で薪を燃やすと、煙突を煙が上がっていく。もし、煙突の上が鳥の巣などでふさがっていたら、いくら暖炉に薪をくべてもエネルギー効率が悪い。

 骨盤底のエネルギーは背骨の煙突を上昇したり、下降したりしているので、その通りを良くすることが大事なのだそうだ。

 また、女性の場合、骨盤底は子宮を支えているので、その緊張を解放することはとても大事だとのことだった。

 着替えて鏡の前に立たされる。まっすぐ立っているつもりだが、右側が少し下がり、左側が上がり気味だと言われる。 

 ベッドに寝て、首の下に手を入れられ、頭と首の境目に圧を加えていく。初めは痛いが、次第にやわらいでいく。次に胸骨や鎖骨に沿って圧を加える。骨盤底の緊張が解放されたときに、胸の部分がそれに見合った状態になっていなければならないからだそうだ。

 次に、右側の足の内側に圧を加えていく。膝から上の太ももの内側に施術されると、へそから下の部分に気のようなものが伝わってきて、次第にほぐされていく感じ。鍼灸治療のときは、気は経絡に沿って線状に伝わってくる感じだが、ロルフィングでは面状に広がっていく感じだ。

 膝から下に圧を加えられると、へそから上に気が伝わって来た。おへそを中心にして、下に広がっていた気と、上に広がっていた気がつながっていく。

 足の内側に圧を加えられたときも、ものすごく痛かったのに、次に、骨盤底の骨、ちょうどお尻の足の付け根の部分に、圧を加えられたときは、もう我慢の限界と思うほど痛かった。呼気を痛いところに広げるようにして呼吸をしながら、とにかく我慢。 

 施術のあと、膝を曲げたり、股関節を動かしたりすると、前よりも軽く大きく動く。「こんなふうに大きな歩幅で歩くことができるんですよ」とロルファーAさんは言う。

 右側が終わり、例のごとく、before、afterの違いを確かめるために鏡の前に立つ。右側がすっきりして、骨盤が上がった感じなのに、左側は、ダラリとした線だ。

 左側の施術は、横向きになって行った。本来は左右とも横臥して行うのだが、私の場合は、右側は仰向けになったほうが効果があると判断したそうだ。左側は本来の施術を知ってもらうために、横臥して行った。

 左側の方が、足も、骨盤底も痛みが鋭どい感じがした。左の方が症状が軽いので、それだけ強く反応するのだそうだ。横臥したまま、股関節を動かすと、足が九の字型に伸びていたのが、まっすぐに伸びて、しかも後ろ側にも大きく動くではないか。

 左右が終わって、歩く練習。足で歩くというより、水鳥が水面に水脈を描きながら泳いでいるように、骨盤底で水面を歩いているような感じで歩けと言われる。イメージがうまく描けなかったが、以前より、股関節が大きく動いているような感じはした。

 セッション3のあと、足に張りを感じたり、花冷えのせいか、左腕の痛みがひどかったが、セッション4を受けたあとは、大股で足取り軽く帰途についた。

 

 


セッション3

2013-03-27 02:48:36 | 健康・病気

 セッション3は「前後の関係性と呼吸の3次元的広がり」。要するに、長年のゆがみで狭くなった胴体の前後方向に広がりができるように、体側の緊張を解放して、自由な動きを作るということ。

 横向きに寝て、足から骨盤、肋骨部分、腋、首にかけて、順に圧を加える。あちこちが痛くてうめきまくる。

 この時も、右体側が終わった段階で、鏡の前に立ち、Before、afterの違いを確かめる。施術が終わった右半分は、輪郭がくっきりとしているの対し、左側はぶよーんとした感じ。とくに、太ももとウエスト部分の違いが顕著だ。左の太ももの内側にはゆるんだシワが斜めに走っているのに対し、右の太ももはシワが無くなって皮膚に張りがある。右側の緊張が解放されて正しい位置になったの対し、左側はもとのままなので、体が左に傾いている。

 左体側のロルフィングで驚いたのは、肋骨の下側(12番目の肋骨)を抑えたとき、しこりがあって、圧を加えられるとものすごく痛い。「この固さは、子どものころから形成されてきたもののようですね。何かのたびにこの部分に力が入って緊張させていたんです」とロルファーのAさん。

  思い当たるふしがあった。私は、今でいうアダルトチルドレンでなかったかと思うことがある。いつも両親、とくに母の顔色を窺って、周りの空気が都合の良くない方向に行かないように気を配っているような子ども時代があった。生活の苦しさに加えて、夫婦の間に何か問題があって、長女の私はそれが何か分からないながら気付いていた。母はいつもしかめっ面をして、ため息をついていた記憶がある。たまに笑顔の母を見ると、ほっとして、うれしかった。いつもこんなお母さんでいればいいのにと思った。

 そのような子供時代が、12番目の肋骨のしこりを形成してきたのかもしれない。

  ロルフィングに関するあるサイトには、「12番目の肋骨には横隔膜と腰方形筋がついていて、この肋骨の周辺を柔軟にし動きを自由にすることは、横隔膜の動きを助け、呼吸に影響する。また、腰方形筋を介して骨盤の傾きにも影響する」と書いてあった。

 セッションを終えた後、再び鏡の前に立つと、中心の軸ができて、ゆったりと自然に立っている私の姿があった。トイレに入ったとき、鏡に映った私の首から胸にかけての姿は、花が開いたように輝いて見えた。スタイルが悪い全身が映っていないのと、照明が暗いので欠点が見えないせいもあるが、私はロルフィングの効果だと思いたい。