ロルフィングBasic10のセッション7「体幹と頚部の調和とラインの出現」を受ける。このセッションのテーマは「頭部の解放と安定」、つまり「頭を上半身のうえにストンと載せる」ことを目的とする。
ロルファーのAさんの説明では、「いわば、骨盤は暖炉のように火を燃やすところ。胴体から首は煙突で、煙が上へ上っていきます。暖炉で火を焚いても、煙突に煤がたまっていたり、曲がっていたりすれば、効率よく燃えないでしょう。その上、煙突の上に、コウノトリが巣を作っていたりすれば、煙は出て行かないし、火は不完全燃焼します。今日は、煙突をふさいでいる巣を取り除く作業をします」というものだった。
セッション7を受けた日の夜に、内容を忘れないようにメモしようとしたら、その時点ですでに忘れている部分が多く、ロルフィングに関するサイトをいろいろ参考にしながら書く。
いつものように、着替えをして鏡の前に立つ。ロルファーは「骨盤が水平になって、とてもいい感じです。最初は、身体の上部と下半身を結ぶ腹部が弱かったのですが、それもしっかりしてきています。しかし、もう少し腹部がすっきり伸びたほうが、セッション7の効果がよりよく出るので、まず、これまでの復習をしてから、セッション7に入りましょう」と言う。
ベッドに仰向けに寝て、首の後ろを掴んでほぐし、全身をゆるめたあと、足首を触って、左足は柔らかくてよく曲がるが、右が固いと言う。どういうことをしたのか忘れてしまったが、ロルファーがどこかに施術して、右足の足首も柔らかく曲がるようになった。
それから、セッション3の復習にかなり時間をかけた。ベッドに横向きになって、身体の前後に広がりができるように、足首、ふくらはぎ、太もも、股関節、仙腸関節、仙骨にアプローチし、体側の緊張を解放していく。
太もも、骨盤へのアプローチはかなり痛かった。それから、体側の上部、脇腹、腋の下までのアプローチ。腋の下へはかなり深く入ってきて、痛みも強い。
私は、左側に比べて、身体の右側で頑張って生きてきたようで、緊張の度合いも、こわばりも右側が強いので、時間もかかり、痛みも強い。
左側は、右より反応が早い。緊張度もこわばり度も弱い上に、右側が施術を受けている間に学習しているので、解放されるのに時間がかからないのだ。
しかし、腋の下への施術は、右よりも痛みが強く、時間もかかった。昨年秋に左腕をひねって痛めて以来、あちこち無理をしているので、それが出てきているのだろう。
トイレ休憩の後、本題のセッション7に入る。
まず頭を載せている首、肩へのアプローチ。頭をバランスよく首の上に載せるには、首がしなやかでなければいけないし、そのためには、胸、肩の緊張を解放しなければいけない。
仰向けになって、首を、頭の重みで左右へ傾け、多分、斜角筋にアプローチする。テクニーク学習会で習ったときより、もっと深いところに入ってきている。これで、首の緊張が取れる。
私は胸郭がだいぶ狭まっているようで、これまでのセッションで少し広くはなってきたものの、まだ狭いようだ。鎖骨の下を外側から内側に伸ばし、さらに胸骨の筋膜を伸ばしていく。この施術にだいぶ時間を費やして、丁寧にしていたので、私の胸郭が如何に内側に狭まっていたのかが分かる。
さらに、上腕部、肩、肩甲骨へのアプローチ。
首、肩も、やはり、左側の方が痛みが強く、施術も時間がかかった。
「今まで痛い左腕をほったらかしにしてごめんなさいね。今回のセッションでようやく左腕にアプローチします。これで、だいぶよくなると思います」とロルファー。
左側の後頭部、耳の後ろあたりを押さえられたとき、とても痛かった。必死に我慢しているうちに、痛みが取れた。
左肩、左肩甲骨にアプローチされたとき、左腕の中に埋まっていた痛みのカプセルが、ふっと溶けてなくなった。「今まで、さなぎみたいになっていたのが、だんだん血が通いだして、動き出しました」とロルファー。
いよいよ、セッション7のメイン、口腔内へのアプローチだ。
医療用の手袋をして、親指を口の中に入れる。口は軽く指を噛む感じて閉じる。右歯茎と唇の間に指を入れ、頬の内側を上から下へ、ゆっくり伸ばすように動かしていく。右が終わった段階で、左右を比べてみると、右頬の内側、歯茎と唇の間が広がった感じがするのに対して、左側は頬が歯茎に張り付いた感じだ。左側への施術も終わって、頬全体が外側へ膨らんだように思う。
次は、下顎への施術。舌下、歯茎の内側へ指を入れ、中央から右へ、ラミネートチューブに残った歯磨きを押し出すような感じで、ゆっくり指の腹を滑らせていく。左側も同様に行う。
上顎へのアプローチは3段階。まず、上あごの奥(柔らかな部分まではいかない)に指を入れ、指の腹で、右の方へ、チューブに残った歯磨きを縛りだすような感じで、やや強く押しながら滑らせる。次に上あごの中ほど、次に歯茎に近い部分も、同様に伸ばしていく。左側も同じように行う。
次に舌への施術。口の中をオーブン、歯はパイ皿、舌をパイ生地に見立てて、パイ生地がパイ皿からはみ出しているような形をイメージして、舌を下顎の歯の上に載せる。その舌の真ん中を指で押さえる。クライアントはオーブンの熱がそこから伝わってくるイメージを持つ。この訓練で、声が自然に出せるようになるそうだ。
次は、顎関節へのアプローチ。まず、ロルファーの指を歯と歯の間に挟んで噛む。その時点では、前歯から奥歯へと噛んでいく動きだ。
それから、奥歯に指をおき、上下の歯が平行になるように歯を閉じて、噛む。顎関節と上下の歯が、「コ」の字型になっている形だ。この時は強く噛んでも、歯全体で噛んでいるので、痛くないそうだ。最初に噛んだ時は、歯の一部だけで噛んでいたので、指がちぎれるほど痛いのだそうだ。口を開けるときは、唾液がねっとり糸を引くイメージで、上下の歯を開く。これを幾度か繰り返す。
この訓練で、顎関節が正しく動くようになる。ロルファーは右の顎関節に内側から指を当ててみて、「正しく動いています」と言う。しかし、左側は歯を上下にかみ合わせるだけでは不十分で、指で顎関節を強く押し、直接顎関節にアプローチして、正しい位置に直した。顎関節の筋の一つがやや短くなっているそうだ。
左の奥歯にはブリッジが入っているので、これまで、左側の歯では噛みにくく、右ばかりを使いがちだった。そのせいで、左の顎関節が弱くなっていたのかもしれない。
さらに、鼻へも施術を行った。小指にジェルのようなものを塗り、鼻の穴に入れていく。びっくりするほど、奥まで入る。クライアントは、匂いが広がっていくようにイメージする。
全部が終わって、口腔内全体が広くなり、年を経るごとにしぼんできた口周りがふっくらとして、表情も若々しくなった感じだ。鼻の通りもよくなった。
セッション7で、足の裏から、下肢、骨盤、背骨、内臓、胸、肩、首、そして頭が一本につながった感じだ。Basic10がどうしてこのような組み立て方になっているのか、その意味がここでようやく理解できた。