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カーとキャロライン・ウェルズ その1

2017年11月08日 | JDカー
カーは英国在住時の1945年ごろ、
アメリカで買ったキャロライン・ウェルズの本を英国に持ち込もうとして輸入規制に合い、
その制度を導入した当時の労働党に不満を持っていたそうです。
このとき買ったキャロライン・ウェルズの本は約150冊。(奇蹟を解く男 P323、P332)
しかも「二度と読みたくないが、初期の作品には今でもわくわくする…」(同P323)と、
アンビバレンツな思いも告白しています。
ウェルズは児童書や詩集もふくめて170冊以上の本を書いたとあるので、
探偵小説分野の作品はほぼコンプリートで揃えたのではないでしょうか。

乱歩と正史が黒岩涙香本を蒐集していたこと(互いに欠本をやりとりしていた)を思い出させます。

ヴァン・ダインの「ベンスン殺人事件」が1926年に出て
「本格探偵小説」というパラダイムが生まれたとしても、
ミステリというジャンル全体では、
キャロライン・ウェルズのような作品がメインストリームだったのではないでしょうか。
「フレミング・ストーン」ものも1942年まで書かれていますし。

唯一の邦訳「名の無い男」(カロリン・ウエルズ名義)が、
国立国会図書館デジタルコレクションからネットで読むことができます。

原著「The Man Who Fell Through the Earth 」(1919)も、
プロジェクト・グーテンベルグ・オーストラリアで読むことができます。
抄訳とされているようですが、章立てだけ見ると、同じ章の数なので、
どこかの章をばっさり切っているわけではないようです。
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