ロジャー・ゼラズニイの長編ファンタジイ「魔性の子」ですが、
原題は「Changering」、取替え子、という意味ですね。
科学文明の現代と、魔法の発達したかの世と、赤ん坊が入れ替わって…
という出だしで、ドラマが進展していきます。
もし昔の東映時代劇がお好きなら、ぴったりです。
ゼラズニイは昭和30年代の東映時代劇を観ていたんじゃないの?
と思うくらいの筋立てとキャラ配置。
和歌のような長ーい . . . 本文を読む
中国の文献あるいは、民話、聞き書きといった資料の中から、
幽霊、妖怪、鬼といった類いの物語を集めて分類したものです。
著者は学者ですが、飄々としてときには藤山寛美までを例えとして登場させ、
ユーモアもあり飽きません。
集められた物語もさまざまな分類にしたがって、
代表的な筋とそこにこめられた意味を簡潔的確にまとめられています。
無味乾燥な評論書ではなく、いかにも好き者らしい楽しさが行間から読むこ . . . 本文を読む
ミステリ・SFのプロパー作家ではないようですが、内容は完全にミステリ。
19世紀末のニューヨークを舞台にして、老人偽死事件を追う新聞記者。
不老不死を願う金持ちに怪しげな手術を行うマッドサイエンティストも出てきて、
けっこうスチームパンクしてます。
ジャック・フィニイを連想させるようなノスタルジック感もいいです。
【E・L・ドクトロウ著 文藝春秋】 . . . 本文を読む
【絵画で読む聖書 中丸明著 新潮社】
聖書を初心者に分かりやすく説明してあるんですが、
登場人物が「名古屋弁」でしゃべってます。
なんで名古屋弁?
それは、バビロニアが尾張平野のように川にかこまれた土地なので、そこで話されている言葉も名古屋弁のようにミャーミャー言っていたのではないか、という理由だそうです。(#^.^#)
そういえば、【盗まれた国書―飛鳥探偵帖 上宮真人著 角川文庫】では聖徳太子 . . . 本文を読む
ベストSFは人によりそれぞれでしょうけれど、
私にとって生涯のベストSF3冊、と言えば
この作品が入ることになっています。
早熟の天才作家サミュエル・ディレイニーが24歳ごろに発表した作品です。
シンプレックス、コンプレックス、マルチプレックス
この3つのキーワードを使い、めくるめくようなセンスオブワンダーが
180ページに凝縮されています。
たった180Pと言うなかれ、その奥にはその10倍 . . . 本文を読む
才人フレドリック・ブラウンによる
「男性向けビターな大人の恋物語(SF成分80パーセント)」。
「王立宇宙軍オネアミスの翼」なんてのが好きな方にはぴったり、
というかネタはこのあたりでは…
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幕末におこったシーボルト事件は、ただの輸出未遂事件だったのか?
著者はそこに最上徳内、間宮林蔵を配して、一大政治疑獄をあばきだします。
当時の将軍徳川家斉がうった、幕内のオランダ派を一掃するための罠とは。
歴史ミステリとしても読める面白本です。
【秦新二著 文春文庫】 . . . 本文を読む
遥かな遠未来、すっかり姿を変えた地球を旅する人たち、その人たちがつむぐ物語。
こんなていどしか覚えてません。
でもとても素敵な物語だったです。
誰かの評に、一部分はコードウェイナー・スミスの域に達している、とあって、そう言われれば感触が似ています。
ちなみに山下達郎のアルバム「MOON GLOW」の1曲目「夜の翼」は、このシルヴァーヴァーグの作品からインスパイアされた、と山下達郎本人が言ってお . . . 本文を読む
19世紀末に英国で書かれた冒険小説です。
とある国の皇太子と瓜二つの主人公が波乱万丈の冒険をくぐりぬけ
ヒロインと結婚する、というところで…
現代の冒険小説の源みたいな作品ですが、今読んでも面白いです。
別ブログで映画「The Great Race」のことを書いていたんですが、
そういえば、
トニー・カーチス、ジャック・レモン、ナタリー・ウッドが出演している、
このコメディ映画の後半がなぜか . . . 本文を読む
ジャック・ヴァンスについて
最新の翻訳長編が魔王子シリーズの最終巻『夢幻の書』(1986年)ですから、23年もたってるんですね。
ヴァンスの作品はハードSFでもないし、メインストリーム系SFでもないし、不思議なワンアンドオンリーSFとでも言えるでしょうか。レッテルとして、エキゾティックなせ界を描く異郷作家とか言われていますが、それだけではない気もします。
ヴァンスの作品では物語が結末をむかえても、 . . . 本文を読む
スチームパンク3人衆のひとり、ティム・パワーズの代表作。
19世紀のロンドンを舞台に、
魔法を使ったタイムトラベル、地下の奇怪な巣窟に集まる盗賊、乞食、魔術的クローン(!)、エジプトの魔人、詩人、怪物たち。
複雑なプロットを一点に収束させていく力技に陶酔。
「奇想天外な大伝奇小説」という看板に偽りなし、です。
ハヤカワ文庫ファンタジィ . . . 本文を読む
ほとんど廃墟のニューヨークを舞台に、近未来の企業戦を女性の一人称で描いた作品。超能力を使う救世主らしい人物も登場しますが、それがメインのストーリーではないですね。スタイリッシュな言葉がかっこいいが、すごく読みにくいです。
SFと思って読むとけっこうつらいかも。
「テラ・プレーン」が翻訳されたあと、ぷっつりと音沙汰がなくなってしまったのは翻訳者の黒丸尚が亡くなったからでは。
ジャック・ウォマ . . . 本文を読む
童話「ベロ出しちょんま」を書いた斎藤隆介が
雑誌「室内」に連載していた、職人の聞き書きです。
ほとんどが明治生まれの職人が語る、粋と意地の話って
ほんとに日本のいい部分、という気がします。
それに職人の顔ってすばらしいです。
泣ける話というのは、こういう本のことだと。 . . . 本文を読む
角川文庫版が絶版になりHJ文庫として復活して、
さらに続編まで出たのは欣喜です。
が、続編は読んでません。
同じ本ですが、HJ版は訳者が安田均ではないので…
でも、ストーリーは面白いっすよ!
ファンタジイを骨組にして、演劇、本格ミステリ、SF等をとりこんだ超娯楽作。
粗筋を読んだときに、だいたいのプロットは分かってしまうんだけど、
しっかりと読ませるリーダビリティはさすがです。
ちなみに著者 . . . 本文を読む
斎藤栄センセイの御本ですが。
『殺人現場にあった「ういろう」「きしめん」の謎は?』
『「サル」というダイイングメッセージは犬山モンキーセンター?』
著者によるとクイーンの国名シリーズに対抗するべき、
本格推理の王道を極めた「県名シリーズ」だそうです(┰_┰)
これもブツがnot found。 . . . 本文を読む