1作目にくらべると衝撃度はやや下がる、なんて贅沢なことを言ってはいけないすね。明確なシチュェーションと主役の立場・性格の紹介、短い中ですっきりと書く技はプロ。個人的な好みではカーデュラシリーズがいい。
「10ドルだって大金だ ジャック・リッチー著 河出書房新社」 . . . 本文を読む
これは…
本格ミステリというより、パルプ雑誌的ホラー風味ミステリみたいなものですかね。
パルプ雑誌に連載されてたわけですから、章を追うごとにバタバタ死んでいきます。ハイチの辺鄙な場所が舞台なので、リアリティはギリギリいっぱいです。おそらくミステリ好きなら3分の2あたりでネタ割れするでしょう。
でも面白かったです。「怪作」という評価はいい得て妙。 . . . 本文を読む
セオドア・ロスコーの「死の相続」、おもしろそうですなー。舞台はヴードゥー教の色濃いハイチ。成金の遺産相続で次々と人が死ぬ、という話です。舞台といい設定といい陰惨な感じですが、筆致が皮肉っぽい軽いタッチなので、救われます。連載がアーゴシー誌(後書きより)っていうんですからパルプミステリばりばりです。 . . . 本文を読む
先日近所の人と話すことがあって、話題が貸本屋に。
近所におばさんが経営していた小さな貸本屋があって、小学生低学年のころマンガを借りて読んでました。
楳図かずおの「猫目小僧」とか「ウルトラマン」とか。猫目くんは怖かったなあ。千手観音が吸血妖怪になっちゃう話がな~。
そういえば「マッハGo!Go!Go!」の原作(吉田竜夫の描いたやつ)もありました。それがすごい設定で、マッハ号のエンジンってすっごく . . . 本文を読む
生物彗星WoOがNHK地上波で始まりました。ヒロインの女の子がいまいち可愛くないところとか、WoOと二人での逃走劇といったところが、往年の少年SFドラマシリーズを彷彿とさせます。マッドサイエンティスト役に塚本晋也ちゅうのはいいですねえ。 . . . 本文を読む
アイリーン・ガンはコードウェイナー・スミスかと思ったらティプトリー.jrですね。生と死を冷徹に見る視点は。
かと思えばアシモフとハインラインがフィラデルフィアエクスペリメントに参加して、二コラテスラが発明したテスラコイルの実験に巻き込まれるドタバタSF「緑の炎」に参加(パット・マーフィらと合作)、SFオタク魂を炸裂させてます。
エイブラム・デヴィットスンをモデルにした「遺す言葉」は本オタクに捧げる . . . 本文を読む
J・D・カーが生まれて今年で100年、そんなことを祝うのはコアなミステリマニアが棲息する極東の島国だけでしょうねえ。そこで東京創元社が記念アンソロジーを作りました。カーにリスペクトする作家はこんな方々。
芦辺 拓 「ジョン・ディクスン・カー氏、ギデオン・フェル博士に会う」
桜庭一樹 「少年バンコラン! 夜歩く犬」
田中啓文 「忠臣蔵の密室」
加賀美雅之「鉄路に消えた断頭吏」
小林泰三 「ロイス殺 . . . 本文を読む
旧作ですがNHKの地上波で放映されていた「SAMURAI7」が終了しました。いわずと知れた黒澤明の「七人の侍」のSFアニメ版です。
オリジナル映画の筋は前半1クールで消化して、後半は村を野武士から救ったあとの話です。荒唐無稽SFアニメなので、設定や戦闘シーン等の大ボラは目をつぶるとして、いちばん魅力的だったのはカツシロウでしょう(次点はウキョウこと新天主)。オリジナルでは侍を捨てて村の娘といっし . . . 本文を読む
最近どうしたことか横溝正史の作品が頻繁に復刊されます。
徳間文庫から「呪いの塔」(「呪ひ」の方が好きだなあ)が出ましたが、正史が編集者と作家の二足のワラジを履いていたころの作品です。これは初の書き下ろし長編であり、二足のワラジ生活の決別する記念碑ともなる作品とも思えます。これを上梓した後に、博文館を退社して作家生活に入っています。
この作品、じつは私小説的探偵小説(?)という仕掛けがしてあり、 . . . 本文を読む
ジャック・ウィリアムスンが亡くなりました。享年98歳、ラザルス・ロングにはおよばないにしろ長生きでしたね。1928年に「アメージングストーリー」誌で作家デビューということは、ガーンズバックが創刊して2年目ですから、文字通りアメリカSF界最長老でした。
サイバーパンク華やかなりしころ、アメリカのどこかでSFコンベンションが催されて、ジョン・シャーリィやノーマン・スピンラッドといった論客とジャック・ . . . 本文を読む
ウルトラマンメビウスが佳境にはいってきて、なんと主人公のミライ君が同僚の隊員たちに「ぼくがウルトラマンなんです!」とカミングアウト。初代ウルトラマンが始まって40年、最終回で正体をあかすことはありますが、シーズン途中で正体をバラす展開は初めてです。(全作観ているわけではないのですが)
ヒーローは匿名というのが建前ではありますが、脚本家(を含めた製作者たち)の意図はどのへんにあるのでしょうか。
製 . . . 本文を読む
12月下旬に扶桑社文庫から『横溝正史翻訳コレクション』なんて本が出ます。なんだあ、こりゃあ。
正史が翻訳に携わっていたのは戦前なので、当然大昔の作品となります。
なにが入るんでしょうか。正史が翻訳したもので有名どころの長編では『二輪馬車の秘密』(ファーガス・ヒューム)、『赤い館の秘密』(ミルン)、『風雲ゼンダ城』(アントニー・ホープ)、『紅はこべ』(オルツィ)、短編だとビーストン、ドイル、マッカ . . . 本文を読む
アイリーン・ガン、まったくノーマーク。そんな人が早川海外SFシリーズから短編集が出るとは。だいたい、海外SFシリーズって無くなったのでは? 装丁も普通の単行本みたいだし。昔の黄色(あるいは水色)のカバーにイラスト、のほうがSFを読んでるって感じなんですけど。そのあたり、普通小説として売りたい版元の意向もあるのかもしれません。
まだ最初の作品の数十ページを読んだだけですが、冒頭の描写にコードウェイ . . . 本文を読む
書評家紀田順一郎が学生のころに書いていた、ミステリ批評を集めたものです。なので書かれている内容は昭和20年代から30年代の古ーいことです。
同人誌なので歯に布きせぬ言い方で大家も新人作家も斬りまくってます。若さのなせる技なのでしょうが、(個人的に)陰にこもった感じがしないでもないでもない…。
当時のミステリマニアの日記だと思えばいいのですが、いつの時代でもミステリは滅びつつあり、大家は十年一日の . . . 本文を読む
「ウルトラQ」は、これが無かったら今の自分はない、とまで言い切ってもいいくらいの「常に王様番組」でありました。
円谷英二が死去したというニュースを見たとき「円谷プロもおしまいだな」と思いました。その後、円谷プロの社長になった息子の円谷一が死去したというニュースのときも「今度こそ円谷プロはおしまいだな」と思ったものでした。
円谷一という人のことをまったく知らないのに。
円谷一という人は日本テレビ . . . 本文を読む