C・A・スミスのゾティークが纏まって、
『ゾティーク幻妖怪異譚』として
創元推理文庫から出ました。
翻訳は大瀧啓裕なので、must!です。
しかし、くやしいので
創土社「魔術師の帝国」
創元「イルーニュの巨人」
国書刊行会「呪われし地」
ポプラ社「アトランティスの呪い」
朝ソ文庫の「魔界王国」が本棚のどこにいったのか見つからない。
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ワイドスクリーンバロックというと、ヴォクトとかベイリーとかですが、意外ですがシマックのこの作品もWSBの範疇に入るようです。
ハヤカワの銀背SFでは「再生の時」という題で出ていました。
ヴォクトのように超人が登場して、精神生命体、アンドロイド、時間移動を横軸にして、人類の未来を運命論的に描いている意欲作ですが、シマックの文体と主人公の設定がWSB向けではない感じがします。
具体的に言うと、いくつ . . . 本文を読む
そういえば、「マイナス・ゼロ」によく似た作品を思い出しました。
チャールズ・ハーネス「時の娘」です。
ハーネスはサンリオSF文庫から「ウルフ・ヘッド」が1冊だけ翻訳されている作家ですが、かのオールディスがワイドスクリーンバロックの頂点として持ち上げた「リタネルの環」の作者でもあります。長編とか翻訳してくれないかなあ、売れないだろうけど。
そのハーネスの短編「時の娘」のアイデアが「マイナス・ゼロ」 . . . 本文を読む
夏への扉が出たので、日本のタイムトラベルSFの傑作「マイナス・ゼロ」を。
濃密な情景描写で戦前の銀座を描き、タイムマシンを使ったラブストーリーは、読者の期待を裏切りません。わたしも最後は、よかったと思わずつぶやきました。ですが、一つだけ大きな疑問があるのです。それは、タイムマシンはどこから来たのか、作った人は誰だったのか。いっさい説明はありません。無くても小説は成り立っているので、いいんですが。
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これを読んでSFにはまった人が多いんでしょうね。
わたしもそうでした。
30何年ぶりに新訳版を読み返すと、オトナになっている分、見えてくることもあるものです。話は会社の株と発明品の特許権についての帰趨を追っているのですが、リッキーの可愛らしさがこの物語中で一番の魅力なのでは、と思ってしまいます。
ロリコンと言われようと、男につくす少女のような女が最高、と思われていたのか。もう一人のサブ-ヒロ . . . 本文を読む
あいかわらず深夜アニヲタなのです。
「CANNAN」は「true tears」を製作したPAworksが満を持して放つリアルアクションですが、どっかで観たような読んだような。そうだ、吉田秋生の「バナナフィッシュ」になんだか似ているような。でも、こういう話はいま捨てるほどあるので、似ているというよりテーマを表現するために取捨選択した結果、という気もします。絵も動きも地味だけどリアル志向です。アニメっ . . . 本文を読む
本棚から探してきました。
いや、懐かしい。1981年刊ですから、28年前。
「ラストゲイル」【竹沢タカ子 東京三世社】
忘れていた細かい部分を、
新鮮な気持ちで読むことができて良かったですよ、老人力?
翻訳短編SFのような作りこみが、好き嫌いが分かれる部分かも。
漫画読みには、ややこしい部分かもしれません。
SF小説好きには、ツボをおさえた展開でいいですがね。
「編集者に言われて書いた云々」は . . . 本文を読む
gale(ゲイル)、とは風の意でbreezeより強くstormより弱いものを言うそうです。学問上では秒速13.9mから28.4mの風だそうですよ。秒速14mといったらけっこう強い風みたいですね。ですが古語になると、そよ風、という意味にもなったりするのでややこしい。そしてburg(バーグ)というのは市、町のことなので、galesburg(ゲイルズバーグ)というのは、そよ風の町、ということになります。 . . . 本文を読む
都筑道夫はティム・バートン監督の「スリーピイ・ホロウ」を誉めていて、ハマープロ映画をほとんど観た自分が言うのだから間違っていない、と言っています。
それはいったい何のことかというと、
ハマープロへのオマージュとしてバートンは「スリーピイ・ホロウ」を作ったそうです。都筑道夫は「スリーピイ・ホロウ」はハマープロ作品より素晴らしい、と持ち上げています。
都筑道夫好みの古い役者、クリストファー・リ . . . 本文を読む
これは、なんというか、小噺みたいな中篇ですね。
帯の「鬼才ヴァンスが放つ戦慄の異世界!」
という惹句の前半分は正しいですが、あとははなはだ疑問です。
大昔「超生命ヴァイトン」「ガス状生物ギズモ」
というSFがありましたが、
似ているような、いないような。
伊藤典夫が始めてヴァンスを訳したそうで、
それだけが出た理由かもしれません。
もっとちゃんとしたヴァンスを出して欲しいです。
国書刊 . . . 本文を読む
埋もれた「名作」はあるのか
ヘイク・タルボットの「魔の淵」についても言及していて、忘れられた傑作なぞはまず無いと言っていい、と。
これには我が意を得たりとばかりに賛成です。ついでにクレイトン・ロースンも「小説の書き方が下手」とキビシイ。
でも、ほんとにそうなんだから。
ロースンの「帽子から飛び出した死」は、謎がいくつも飛び出してきて、
どれが本当の謎なのかを見極めないと進めないので、途中でど . . . 本文を読む
ポール・ギャリコの「幽霊が多すぎる」と「The Hand of Mary Constable (1964)(「メリーの手型」)」についても書かれていて、
なんと都筑道夫はこれをポケミスに入れたら早川を辞めるつもりだったそうです。
結局ポケミスには入りませんでしたが、「幽霊が~」は10年ほど前に創元推理文庫で出ました。
「The Hand of Mary Constable」は昭和49年にリーダース . . . 本文を読む
「咲」
団体戦が終わって次回はお約束の水着回。
団体戦主将戦は盛り上がったです。
こぶし握りしめました。
「巨人の星」か「明日のジョー」くらい。
「亡念のザムド」
始まったころの重たい展開から、
キャラクターが動きはじめて
がらっと変わった中盤のドラマ作りの重厚さ、
おそれいりました。
原作版ナウシカ21世紀ヴァージョンか。
「かなめも」
尺が足りなくなったのか、
ダイジェストを1分30秒流す . . . 本文を読む
ところで、カーのことを書いたら、思いついたことがありました。
カーはフェル博士もの、HM卿ものといったルーティンワークのほかにノンシリーズものの長編をいくつか書いています。このノンシリーズものが書かれた理由があるとしたら。
「毒のたわむれ」「弓弦城殺人事件」はバンコランからフェル博士・HM卿への、シリーズ探偵の乗り換えの合間に実験的に書かれた、というのは定説になっているようです。
「火刑法廷」はノ . . . 本文を読む
なにかというと「古めかしい」とケチをつけているのですが、戦中派のせいか「進歩」にたいする欲求とその盲目的な信仰心は、もはやこの評論を書いている時代(1990年あたり)でも一番の物差しではなくなっていたはずです。
新しい作家は、新しい技法で物語を書かねばならぬ、という考え方は、「未来はつねにバラ色」だった高度経済成長期のパラダイムそのまま、ではないかと思うわけです。
良いことなのか悪いことなのか、今 . . . 本文を読む