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ウナギの罠

2024年10月14日 | ミステリ
■『ウナギの罠』読み終わった。詰まらなくはないけれど、面白い、とも言えない、なんとも困る作品だった。
★いちおう「スウェーデンのカー」というキャッチコピーが付いているんですよ。
■カーというよりはクリスティ、さらに言えば今の現代英国ミステリのはしり的な作品じゃないかねえ。
スウェーデンだけど。まず名前や地名の固有名詞になじみがないから、具体的な絵が頭の中で浮かばない。
マグヌス、ホルゲル、アグネータとかなあ。ショッキング・ブルーとアバしか知らないので、メンバーの顔を当てはめるしかない。
ホルゲルはアバのギター弾いている男性メンバーあたりかな。
★そりゃあ苦労しましたね。ちなみにショッキング・ブルーはオランダです。
■リアルで地味な人間関係の軋轢の中に突如として密室殺人がおきる木に竹を接いだような設定は、
本格ミステリ視点としては地味すぎて華がないし、現代ミステリとしては絵空事すぎるのではないか。
★どっちから見ても中途半端、ということですか。
■本格ミステリファンとしてはミスディレクションが無いのが惜しい。
犯人の隠し方はヒネリがあるけれど、終盤で割れてしまうのも残念。
★クリスティほどの技巧はない、と。
■それと密室殺人の必然性が、どうしても理解できない。鍵のロジックと被害者による偶然性で事件が混迷するのはわかるけれど、
犯人は犯行直後に鍵が新品に替わっていたことに気づくのだから、あらかじめ密室構成に必要な部材を持っていけるはずは無い、と思うんだが。
密室殺人が普通の殺人だったら、もっとスッキリした現代ミステリになっていたんじゃないかね。
★でも作者は密室殺人をやりたかったんでしょう。
ミスマガ11月号のカー特集に載った短編でも、ありえないくらいの特殊な場面を描いてましたから。
■メカニカルトリック好きなんだね。そこを外したら、デヴァインを連想したよ。発表年代も同じころだし。
話の最後のほうでロックバンドの演奏場面があるんだけど、60年代末のスウェーデンではどんなロックが演奏されていたのか気になるねえ。
文章だけで判断すると、初期ピンクフロイド系のサイケものか。
★時代としてそれは早すぎませんか。「love me」とか「yeah」とかありますからマージービート系じゃないですかね。
作者のプロフからするとクラシック好きみたいですから、あんまり詮索しても意味ないかもですね。
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