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明治裏面史と恋歌王朝の貴族たち

2018年10月18日 | 雑日
「明治裏面史」伊藤痴遊(講談社文芸文庫)を読む。
『「解説」されている!?』という惹句は、
マトモに受け取らないように、という編集部の意図なのか。
でも、著者は自分の立場を忘れず、
さらに自分とは異なるオルタナティブな視線も否定しない。
そのあたりに〇×史観一辺倒な論調ではない清々しさを感じました。

「恋歌 王朝の貴族たち」小林一彦(さくら舎)も読む。
新聞連載時から本になるのを楽しみにしていました。
平安時代の歌人を紹介しながら、文藝としての和歌の進化も説明。
平安の世では、和歌の上手い下手が出世、恋愛に直結していたので、
みな一生懸命に和歌の腕を磨いたわけですが、
古今和歌集のころは、一種の余技だった和歌が、
次第に「プロ詠み」の歌人が生まれてくる過程も分かるようになっています。
なので、全員有名無名にかかわらず、上手い歌詠みなのですが、
一人だけそうじゃない人がいました。
顕昭法師は出自もわからない人ですが、和歌にかんする知識量をかわれて、
和歌重代の家の養子になります。
しかし知識はあるけれど実作が最低、歌集にやっと入れてもらった一首でさえ、
編者から「あんな駄作を入れてどうする」とまで言われていたそう。
名人の話というのはおもしろいですね。
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