徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

平成18年新指定国宝・重要文化財 @東京国立博物館

2006-04-28 | 美術
平成18年新指定国宝・重要文化財
本館特別1室・特別2室 2006年4月25日~5月7日
主催:文化庁、東京国立博物館

平成18年(2006)に新たに国宝・重要文化財に指定される美術工芸品のうち、42件(国宝2件、重要文化財40件)が展示されていた。

目に付いたものを

  • 国宝 琉球国王尚家関係資料(紅型) 第二尚氏時代~明治時代・16~19世紀 沖縄・那覇市歴史博物館蔵
    紅型は色鮮やか。

  • 重文 ジョサイア・コンドル建築図面 468枚のうち 明治~大正時代・19~20世紀 京都大学蔵
    彩色された設計図
    我が国の近代建築の基礎を築いた英国人建築家ジョサイア・コンドル(1852~1920)が設計を委嘱された建築、付属施設、室内装飾などの建築図面である。代表作である工部大学校、ニコライ堂、三井家倶楽部、島津邸、古河邸、成瀬邸などをはじめとする38作品の基本設計、実施設計に関わる各種の図面を含む。コンドルが我が国の近代化に果たした役割は大きく、彼が設計に携わった建築図面は、近代建築史上きわめて貴重な資料である。

  • 重文 紙本著色東福門院入内図 4曲1双のうち 江戸時代・17世紀 東京・三井文庫蔵
    幕府の威信にかけて執り行った東福門院の入内の行列の様子。きちんと名前まで記していますので、記録写真のようなものでしょうか。
    元和6年に徳川二代将軍秀忠の娘和子が後水尾天皇の女御として入内した際の行列を、順次も正確に、生彩に富む描写力で記念的に描いた作品。細線を駆使して一人一人を個性的に描き分けており、群像的な風俗画としても精緻さに優れている。詞書には他の文献資料にみられない記録も含まれ、資料的にも貴重である。当初は絵巻として構想されたと思われ、縦は42センチメートルと大型で、長さは28メートルを超す長大な行列図を屏風に貼り付けた力作である。

  • 重文 紙本著色地獄草紙断簡(火象地獄) 1幅 平安時代・12世紀 東京・五島美術館蔵
    地獄絵です。これからたびたび展示されるでしょう。
    仏法に背いた僧侶が堕ちる地獄を描いた一図。もと益田鈍翁所蔵の七図からなる益田家甲本の名で呼ばれた絵巻の断簡である。国宝に指定されている東京国立博物館本、奈良国立博物館本の地獄草紙の絵巻と並ぶ貴重な作品で、優れた筆致で描かれる。さらには国宝本餓鬼草紙や病草紙などとともに六道絵の一環をなしていたとも考えられている

  • 重文 能装束 紅浅葱地菊笹大内菱文様段替唐織 1領 安土桃山時代・16世紀 広島・厳島神社蔵
    保存状態がよく、美しい能装束。
    表は唐織地、裏は紅平絹(後補)の袷仕立てである。全体は、紅地に菊・笹・花菱亀甲の文様を、浅葱地に大内菱文様を表し、それらを互い違いに配した段替りの唐織である。袖の部分は、江戸時代に両袖の一部に裂を継ぎ足して袖幅を出し、文様を補っているが、当初は身幅に対して袖幅が狭い桃山時代に通例の形態であったことがうかがわれる。全体に紅を基調とし、文様を表す絵緯は多彩で柔らかみがある。保存状態が良好であり、遺例が極めて少ない桃山時代の能装束唐織の優品として貴重である。(桃山時代)

  • 重文 彩磁禽果文花瓶 1口  板谷波山作 大正15年(1926) 新潟・敦井コレクション
    孔雀や石榴などの文様を描く大型花瓶。東京府美術館開館記念聖徳太子奉賛美術展出品。
    近代陶芸の指導者として先駆的役割を果たし、昭和4年に帝国美術院会員、同9年に帝室技芸員、同12年に帝国芸術院会員、同28年に文化勲章を受章した陶芸家・板谷波山(本名は嘉七、1872~1963)の作品である。高さ50センチメートルを越す大形花瓶の器表全面に薄肉彫りで孔雀や石榴などの文様を見事に表し、藍・桃色・緑・紫の釉下彩で賦彩し、全体にむらなく掛けられた透明釉も完璧な仕上がりを見せる。本品は大正15年東京府美術館開館記念聖徳太子奉賛美術展に出品されたもので、完成までには3年余りを費やしたといわれ、波山が最も精魂を傾けた作品で、動植物文様を主題にして優美な曲線文様として表現するアール・ヌーボー様式による大作の集大成として焼造したものである。波山は本作品製作以後は大作の製作から手を引いていくことになり、波山の記念碑的な作品であるとともに、波山を最も代表する作品の一つである。(大正時代
    =1926)


  • 重文 紙本著色四季日待図 1巻 英一蝶筆 江戸時代・17~18世紀 東京・出光美術館蔵
    日待は民間信仰の行事で、前の夜から潔斎して日の出を待つものであったが、近世には徹夜の遊興が行われるようになった。本図は、正月、5月、9月に武家の邸内で繰り広げられる日待のさまざまな風俗を活写する。筆者の英一蝶(1652~1724)は新興都市江戸で人気を博し、軽快な筆致と明朗な彩色で江戸の市民生活を溌剌と描き出した都市風俗画家。本図は、機知的な構成と生動感あふれる人物表現による、一蝶の代表作である

  • 重文 伊勢集 1帖 鎌倉時代・13世紀 奈良・天理大学蔵
    『伊勢集』は、平安時代中期の女流歌人で三十六歌仙の一人である伊勢の私家集である。物語風の記述は、伊勢の生涯や当時の後宮文化を知る上にも貴重である。本書は藤原定家(1162~1241)監督の下に書写された鎌倉時代の古写本として、また完本として現存する最古写本として重要である。集付は勅撰集撰歌を示し、冷泉家相伝の証本として実際に使用されていたことを示している。

    エリファレット・ブラウン・ジュニア撮影の銅板写真、賀茂別雷神社文書、長崎奉行所関係資料なども展示されていました。

    BLUEの部分は、文化庁の報道発表資料の引用(PDF)
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    天台宗開宗1200年記念 最澄と天台の国宝 (後半)

    2006-04-28 | 美術
    天台宗開宗1200年記念 特別展
    最澄と天台の国宝 (後半)
    2006年3月28日から5月7日
    東京国立博物館

    連休に入る前の最後の機会と思い、金曜日の夕方、最澄と天台の国宝 (後半)に行ってきました。

    前半はさすがにちんぷんかんぷんだったので、今回は音声ガイドをお借りした。まずは「おさらい」をテープで伺う。
    最澄が804年に唐にわたり、天台宗は、平安京遷都から間もない806年(延暦25年)、桓武天皇の勅許を得て開宗。法華経の「人は国の宝」とか、「すべての人が救われる」とか。無常が日常茶飯事だった世界で素晴らしい教えですね。

    ■天台の祖師たち
  • 国宝 聖徳太子及び天台高僧像 最澄 (平安時代・11世紀)兵庫・一乗寺蔵; 今回の目的のひとつ。教科書に載っている最澄像です。このほかに円仁、善無畏も展示。
  • 重文 伝述一心戒文 3帖のうち;平安時代・応徳元年(1084) 滋賀・延暦寺蔵; 弟子の光定が編著した一心戒(円頓一乗戒)を 伝述した文。写本。
  • 国宝 伝教大師入唐牒 1巻 唐時代・貞元20・21年(804・805) 滋賀・延暦寺蔵;唐の国内を旅行するための、牒(パスポート)。「日本国僧」ではじまり、最後に達筆の署名。
  • 国宝 伝教大師請来目録 1巻 唐時代・貞元21年(805) 滋賀・延暦寺蔵; 明州刺史(長官)の長文の書がすばらしい。また明州之印、遣唐使3名の署名、遣唐使印もあり、見れば見るほど歴史を感じさせる。
  • 国宝 刺納衣 1領 隋時代・6世紀 滋賀・延暦寺蔵; 何と天台宗の開祖智ぎ(豈へんに頁)の法衣だそうで。

    復習
    智ぎ(天台大師)(538-597):陳から隋代の僧。著書「摩訶止観」、灌頂筆録の法華玄義、法華文句。
    湛然(711-782):唐代の天台の僧。中国天台中興の祖。
    円仁(慈覚大師)(794-864):天台第三代座主
    円珍(智証大師)(814-891):天台第五代座主。彼の作と伝えられる仏画、仏像が多い。赤不動(高野山明王院蔵)、黄不動(園城寺蔵)。(青不動は作者不詳、青蓮院蔵)。
    山門派・寺門派:天台宗の二派。円仁、円珍の仏教解釈の相違から末流が対立。993年円仁派が円珍派坊舎を焼き払ったため、円珍派は山を下り園城寺に入って独立。
    天海(1536-1643):徳川氏の保護のもと東叡山(寛永寺)、日光山を建立、比叡山と合わせて天台三山とよび、天台宗の繁栄を取り戻した。

    ■法華経への祈り
  • 重文 一字宝塔法華経 不軽品神力品残巻 平安時代・12世紀 栃木・輪王寺蔵;ほとんど何も見えませんが、胡粉地に銀箔を散らし、雲母で宝塔をすり出した中に金泥で一字づつ法華経を写経。江戸時代に後醍醐天皇筆と鑑定された。
  • 重文 法華経 8巻のうち 巻第8 平安時代・12世紀 滋賀・弘法寺蔵;界上界下に金泥切箔、砂子、野毛を散らす。活字のような字。

  • 普賢菩薩像 1幅 平安時代・12世紀 京都・細見美術館蔵;国宝の普賢菩薩像とは違って、とても秀麗な表情に見入ってしまう。象もやさしげ。

    ■天台の密教
    天台宗の本尊は薬師如来しっかりと見ました。
  • 重文 薬師如来坐像 1躯 平安時代・正暦4年(993) 滋賀・善水寺蔵;成立年代がはっきりしている薬師如来
  • 重文 薬師如来坐像 1躯 平安時代・9世紀 京都・雙林寺蔵; (「京都の天台」に展示されていた。こちらは、最澄の薬師如来の模刻とされる「天台薬師」といわれる作品。善水寺の薬師如来坐像も雙林寺蔵の薬師如来も似ていて、丸い顔立ちの坐像です。

  • 重文 薬師如来および両脇侍立像 3躯 (中尊)平安時代・10世紀(脇侍)平安時代・12世紀 東京・寛永寺蔵;中尊は、伝承では最澄自刻。四角い頭部と直線的な体部、そして肩のあたりの削り具合が印象的。日光・月光菩薩像は立石寺から移された。立石寺が慈覚大師創建という事に、天台宗の山林修行者的な要素を感じました。
    延暦寺の根本中堂を模して元禄11年(1698)に建立された、寛永寺根本中堂の秘仏本尊像。中尊は滋賀の石津寺(いしづでら)から迎えられました。肩が角張って 輪郭線が直線的な体部と、それに対応するように四角い頭部はたいへん個性的です。すこし鄙びた表現にみえますが、それがかえって最澄自刻という伝承の真実味を増しているようです。台座の蓮肉を含め一材から彫出する構造、鎬(しのぎ)のある襞と丸みのある襞を交える翻波式衣文(ほんぱしきえもん)と呼ばれる表現は、平安時代前期の特徴。しかし、圧倒的な重量感が見られず、肉身や衣文に均整が見られることから、10世紀になってから造られたと考えられています。脇侍の日光・月光菩薩像は、慈覚大師創建という山形の立石寺(りっしゃくじ)から、中尊と同時期に移されたもの。

  • 重文 大日如来坐像 1躯 平安時代・寿永2年(1183) 岐阜(揖斐川町)・両界山横蔵寺蔵;横蔵寺は805年最澄創建。美濃の正倉院と呼ばれる。紅葉の綺麗なところなようで。大日如来坐像は三重塔の本尊。筑前講師作。

  • 国宝 不動明王像(黄不動)平安時代・12世紀 京都・曼殊院蔵;後半の目玉です。円珍の修行中に出現した不動像。原本は園城寺(大津市、三井寺とも)に。今回の展示は模写だが、国宝。

  • 金銅大壇具敷曼荼羅 1具 2面 江戸時代・弘化3年(1846) 滋賀・無動寺蔵
    よくみると敷曼荼羅の上に、結界を切って 法具が並べて、お供えを並べて、面白いです。

  • 国宝 金銅迦陵頻伽文華鬘 1枚 平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵
  • 国宝 金銅幡頭 1枚 平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵
    中尊寺の国宝は、前回は飛ばしていたのですが、迦陵頻伽の飾りとか、細工がいいようで。 パンフレットにある天女がどこに展示されているか気になっていたのですが、金銅幡頭の飾りでしょうか?
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    春の優品展 @五島美術館(茶道具)

    2006-04-28 | 茶道具
    館蔵 春の優品展 水墨画・古筆と陶芸 @五島美術館
    2006年4月1日から5月7日

    22日に表記に行ってきました。古写経と古筆については、既に記しました。この稿では茶道具について書きます。今回の「春の優品展」では、茶碗(黄瀬戸、志野茶碗、楽茶碗)水指の優品が展示されていました。これだけお茶碗をゆっくり見て、700円(ぐるっとぱすで500円)はとってもお値打ちです。使い込んだ楽茶碗がよかった。

  • 42 黄瀬戸平茶碗 銘 柳かげ 桃山時代;(写真)もと揃物の向付を茶碗に転用したもの。黄瀬戸釉の下に植物文様を描く。美濃焼(岐阜県)の優品。内箱蓋裏に小堀十左衛門(1639―1704)が、「道のべの清水ながるゝやなぎ影しばしとてこそ立ちどまりけり」と西行の和歌を歌銘として記す。
  • 43 黄瀬戸胴〆茶碗 桃山時代

  • 44 重要文化財 鼠志野茶碗 銘 峯紅葉 桃山時代;(写真); 茶道具取合せ展でも拝見しました。;美濃焼(岐阜県の陶器)の一種。形姿は逞しく、堂々としているが、成形が巧みなため、手に持つと意外に軽い。桃山時代の和物茶碗の代表作。銘は茶碗の景色からの連想。鉄釉を施した上に、亀甲文と桧垣文様を掻き落とした後、志野釉をかけて文様を白く浮き出させている。九鬼家伝来。
  • 45 志野茶碗 銘 梅が香 桃山時代;(写真);流石雲州名物です。「赤志野」と呼ぶ赤味を帯びた釉薬は、志野焼の中でも珍しい。志野釉(長石釉)と素地の中の鉄分とが作用して赤く発色する。松江藩主松平不昧(1751―1818)が所持し、『雲州名物』に記載がある。岐阜県土岐市の高根西窯から同手の陶片が出土した。
  • 46 志野亀甲絵茶碗 銘ときわ

  • 47 長次郎黒楽茶碗 銘 千声 桃山時代; (写真)銘は、表千家六世の覚々斎宗左(原叟 1678~1730)による内箱蓋裏の墨書から。楽家の初代長次郎(?~1589)作の茶碗の中では、丸みの少ない形式に属し、口縁部の形状が変化に富む。
  • 48 長次郎赤楽茶碗 銘 夕暮 桃山時代;鴻池家伝来 銘は宗旦による。

  • 49 のんこう黒楽茶碗 銘 三番叟 17世紀;三代のんこうの茶碗
  • 50 黄のんこう茶碗 銘 雪ノ下紅葉 17世紀
  • 51 一入黒楽茶碗 銘 若松;四代
  • 52 宗入黒楽茶碗 銘 あやめ;五代

  • 乾山黒楽茶碗 銘 露堂々
     
  • 古伊賀水指 銘 破袋 桃山時代;茶道具取合せ展でも拝見
  • 古備前矢筈口水指 桃山時代
  • 信楽一重口水指 銘 若緑 桃山時代
  • 志野矢筈口水指 桃山時代
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