東京国立博物館 本館 常設展(絵画)
特別1室・特別2室 、3室、8室、10室、18室
特集陳列 下絵―悩める絵師たちの軌跡 2007/2/20-4/1
江戸時代、絵師たちは別の紙に下絵を描いて構図や配色を練り、注文主に見せそれで最終的な作品ができあがったという。
障屏画下絵 1巻 円山応挙筆 江戸時代・18世紀 植松嘉代子氏寄贈 A-11818;岸岱の跋文に寄れば応挙が朝廷の依頼で作成し、展覧を得た小下絵。八図の内の紅葉に鹿の図に「此下画ノ方ニ致度候」と書き込みがある。 応挙のパトロンで門人でもある植松応令が手に入れ同家に伝来。とのこと。小下絵とはいえ、応挙といわれば成る程という作品。
鷹御下絵 1巻 狩野栄川古信筆 江戸時代・18世紀 A-4709
有徳院吉宗加筆鷹画草稿 1巻 狩野栄川古信筆 江戸時代・18世紀 A-4712; 狩野栄川古信は、将軍吉宗の注文で、何度も下絵を修正させられ提出したという。
江戸城障壁画下絵 狩野晴川院養信筆 江戸時代・天保10年(1839);(西の丸 大奥 対面所 二の間)、(西の丸 大奥 対面所 三の間)、(西の丸 中奥 休息の間 上段の間)2巻、(西の丸 表 大広間 法眼溜・上段の間)3巻 など。
このような下絵が残っているので、先日の「これを見ずして江戸は語れない 江戸城」での内部を再現したバーチャルリアリティ「よみがえる江戸城」が作成できるわけです。下絵の黄色の部分は金色を施したとするとたしかにVRのように豪華です。西の丸 表 大広間には「鶴」、中奥には、「三保の松原と富士」、大奥には「牡丹」とかが描かれています。大奥の牡丹の数を減らせとか細かい注文がでています。
石山寺縁起稿本 谷文晁筆 江戸時代・文化元~2年(1804~05);谷文晁は、下絵では、いろいろな絵巻から図案を拝借し、本稿では、全体にあわせて修正して完成させたあとがあるとのこと。
安政二年地震図稿本 1巻 細谷松茂筆 江戸時代・19世紀 A-9397 ;1855年10月2日に起きた江戸直下型地震のときのさまを3巻39段で描いたもの。以前も、国宝島津家文書の「江戸大地震之図」を拝見した(記録はこちら)が、そのときは、江戸屋敷から藩への情報伝達のために作成されたという。この稿本も、そのような写真のような役目の目的で作成されたのだろうか。
仏教の美術 ―平安~室町 2007/2/27~ 2007/4/8 3室
仏眼曼荼羅図 1幅 鎌倉時代・13世紀 東京・品川寺蔵;仏眼とは密教独特の仏で、仏眼曼荼羅は災難を除いて、福を生じさせる仏眼法(ぶつがんほう)本尊として用いられました。この図は緻密な描写と沈んだ緑や朱などが濃密な彩色が特徴で、鎌倉時代中頃の作と考えられています。とのこと。 中央の大きめの円に1、その周囲に8つの円、その周囲に16の円、それを四角が囲み、その四隅に円、その四角の周囲に9つの円。それぞれの円に仏が描かれる曼荼羅。
高野四所明神像 1幅 室町時代・16世紀 内藤尭宝氏寄贈 A-11697;高野四所明神(3人は女性)が、画面を占める。
重文 華厳五十五所絵巻(普賢菩薩) 1幅 鎌倉時代・13世紀 A-10493
重文 華厳五十五所絵巻断簡(文殊菩薩) 1幅 鎌倉時代・13世紀 A-10494;この二点可愛らしい表情の普賢菩薩と文殊菩薩。白地に細い墨線と赤の彩色が清楚なイメージでいい。
ちょっと調べると、奈良国立博物館で2002年に開催された「大仏開眼1250年 東大寺のすべて」展では、「華厳五十五所絵巻」がずらっと展示されたようです。また「阿字義・華厳五十五所絵巻・法華経絵巻 」小松 茂美 (編集) 中央公論社 (1990/07) など仏教絵巻の名品を集めた書籍もあるようです。今度勉強しよう。
宮廷の美術 ―平安~室町 2007/2/27~ 2007/4/8 3室
重文 紫式部日記絵巻 1巻 鎌倉時代・13世紀 個人蔵;入口で紫式部日記絵巻が展示されていると表示されているので、旧益田鈍翁所蔵、現在東博所蔵の軸が展示されているかと思いきや、 一巻全部が広げて展示されていました。となると「(旧?)蜂須賀家本」 か「旧久松家本」(日野原家本)ということになります。(以前の記事)。詞書を持参して、もう一度拝見しにいき確かめます。(jchzさんによれば、日野原家本とのこと。何が描かれているか調べていきます。)それにしても、国宝に比較すると、絵はほんの少し稚拙でしょうか。一巻で拝見すると圧巻です。ちょっと剥離があるのですが、「源氏物語絵巻」を徳川(?)氏が剥離を防ぐために断巻して額装にしたというのもわかります。(田中親美氏の「平安朝美の蘇生に捧げた百年の生涯」に書いてありましたがメモしていなかったので不明です。)
禅と水墨画 ―鎌倉~室町 2007/2/27~ 2007/4/8 3室
山水図 1幅 秋月等観筆/蘭坡景し題詩 室町時代・15世紀 A-12078
叭々鳥・鶺鴒図 2幅 如水宗淵筆 室町時代・15世紀 A-1394;中国の画題を日本人が描くとユーモラスです。叭々鳥・鶺鴒とも目が笑っています。「華厳五十五所絵巻」といい、 如水宗淵といい、ある意味、「日本美術が笑う」 の系統かもしれない。アルカイックスマイルでしょうか。仏画ですし。
重文 西王母・東方朔図 4幅 伝狩野元信筆 室町時代・16世紀 A-294 ;大徳寺の塔頭、大仙院の襖絵の一部。
重文 朱買臣図 2幅 伝狩野元信筆 室町時代・16世紀 旧大仙院方丈障壁画 2006/6/6~2006/7/17展示
重文 山水人物図 伝狩野元信 京都・霊雲院(妙心寺塔頭) 2006/10/11-11/19展示
とか拝見しているはずですが、区別がついていません。
書画の展開 ―安土桃山・江戸 8室 2007/1/30~ 2007/3/11
重美 羅浮仙図 1幅 岩佐又兵衛筆 江戸時代・17世紀 個人蔵;出光美術館の肉筆浮世絵「重美 伊勢物語図 岩佐又兵衛筆」について「褐色を背景にしたおどろおどろしさは岩佐又兵衛」と感想を以前 書いたが、「歌麿 紫の謎」で、露草の青が抜けた浮世絵を画面で多数は拝見するうちに、岩佐又兵衛ってもしかすると露草で青を描いたのではと考え出している。この「羅浮仙図」も「伊勢物語図」も、もしかすると。青(藍染)の着物を着ていたとするとリーズナブルでは。
月梅図 1幅 中山高陽筆 江戸時代・18世紀 個人蔵
重美 蘭亭曲水図巻 1巻 中山高陽筆 江戸時代・安永7年(1778) 個人蔵;中山高陽は彭城百川(さかきひひゃくせん)に絵を学び、後に土佐藩のお抱え絵師になった。蘭亭曲水図には、友人の書家の沢田東江が題と跋を寄せる。とのこと。楽しげな蘭亭曲水の宴。
花鳥図 1幅 宋紫山筆 江戸時代・18世紀 個人蔵;流石に宋紫山、繊細なタッチの花鳥図。
江戸 浮世絵 10室 2007/2/14~ 2007/3/11
見立桃園三傑図 1幅 蹄斎北馬筆 江戸時代・19世紀 A-793; 見立桃園三傑とは誰でしょうか?
新吉原座鋪けんすもふ 1枚 古山師政筆 江戸時代・18世紀 A-10569-12 横大判 漆絵;遠近法を用いて室内が描かれる。
重美 よし田かい道 1枚 菱川師房筆 江戸時代・18世紀 A-10569-407 大々判 墨摺絵
松本幸四郎の渡守 1枚 一筆斎文調筆 江戸時代・18世紀 A-10569-311 細判 錦絵
市川弁蔵楽屋入姿 1枚 一筆斎文調筆 江戸時代・18世紀 A-10569-315 細判 錦絵;黒の背景
紀貫之 1枚 鈴木春信筆 江戸時代・18世紀 A-10569-1266 中判 錦絵 ;桜の下に女性が二人
風俗四季哥仙・三月 1枚 鈴木春信筆 江戸時代・18世紀 A-10569-82 中判 錦絵;浜辺に女性が二人
四代目岩井半四郎笹に雛人形 1枚 勝川春英筆 江戸時代・18世紀 A-10569-1673 細判 錦絵
子寶五節遊・雛祭 1枚 鳥居清長筆 江戸時代・18世紀 A-10569-1200 大判 錦絵;素直な雛祭りの図
雛祭り 1枚 遠山龍雲斎筆 江戸時代・18世紀 A-10569-3338 大判 錦絵;こちらは人形が猿回しになって踊っている
曲水の宴 1枚 窪俊満筆 江戸時代・18世紀 A-10569-2150 大判 錦絵
岩井半四郎・帯とき 1枚 勝川春章筆 江戸時代・18世紀 A-10569-1509 細判 錦絵
青樓十二時 續・午ノ刻 1枚 喜多川歌麿筆 江戸時代・18世紀 A-10569-3532 大判 錦絵 12枚の内
青樓十二時 續・亥ノ刻 1枚 喜多川歌麿筆 江戸時代・18世紀 A-10569-3537 大判 錦絵 12枚の内
青樓十二時 續・戌ノ刻 1枚 喜多川歌麿筆 江戸時代・18世紀 A-10569-3536 大判 錦絵 12枚の内;この三枚の喜多川歌麿は、紫がよく見ればうっすらと残っている。戌ノ刻は紫の下に文様も見える。絵解き文字が入っているシリーズ。
青樓美撰合初買座敷之図・扇屋内瀧川 1枚 鳥文斎栄之筆 江戸時代・18世紀 A-10569-348 大判 錦絵
重文 青樓藝者撰・いつとみ ・いつ花・おたみ・おふく 3枚 鳥文斎栄之筆 江戸時代・18世紀 A-10569-349・2626・2627 大判 錦絵 3枚続
汐干狩 3枚 歌川豊国筆 江戸時代・19世紀 A-10569-2296~2298 大判 錦絵 3枚続
冨嶽三十六景・凱風快晴 1枚 葛飾北斎筆 江戸時代・19世紀 A-11176 横大判 錦絵
冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏 1枚 葛飾北斎筆 江戸時代・19世紀 A-10569-685 横大判 錦絵 46枚の内
見立芥川図 1幅 菱川師平筆 江戸時代・18世紀 A-775;伊勢物語
三人人物図 1幅 伝古山師重筆 江戸時代・18世紀 A-820;三人座り込んで。
梅下美人図 1幅 古山師政筆 江戸時代・18世紀 A-776;髪に手をあてた姿がかわいらしい。
重美 括り猿持つ娘 1枚 古山師政筆 江戸時代・18世紀 A-10569-372 柱絵判 漆絵;「括り猿」とは四角い布に綿を縫込み四隅を括った細工物で「客の足止めをする」という意味を込めてかざられたこともあった。遊女が思わせぶりにもつ姿は愛敬があり師政の親しみ易い画風がよく表れています。 振袖の梅?の文様が見事。古山師政については、調べて後日追記します。
鎌倉の權五郎景政 鳥の海彌三郎保則 1枚 葛飾北斎筆 江戸時代・19世紀 A-10569-2809 大判 錦絵
楠多門丸正重 八尾の別當常久 1枚 葛飾北斎筆 江戸時代・19世紀 A-10569-2810 大判 錦絵
渡辺の源吾綱 猪の熊入道雷雲 1枚 葛飾北斎筆 江戸時代・19世紀 A-10569-2812 大判 錦絵
大伴の真鳥 大友の宿祢兼道 1枚 葛飾北斎筆 江戸時代・19世紀 A-10569-2811 横大判 錦絵;この4枚の北斎は北斎展には未出だと思いますが、上下対象に二人ずつ描かれた役者絵。状態がいい。
名古屋山三郎絵巻 1巻 伝宮川春水筆 江戸時代・18世紀 A-4714; 伝宮川春水というだけあり絵巻は色々な人物が表情豊かに描かれている。
近代美術 18室 2007/2/14~ 2007/3/25
異端(踏絵) 1幅 小林古径筆 大正3年(1914) A-10546;「古径」展以来。
黄石公張良 1幅 小林永濯筆 明治7年(1874)頃 A-338;小林永濯の劇画も「揺らぐ近代」ですっかり親しくなりました。
鷲猿 1幅 今尾景年筆 明治26年(1893) A-149
聖徳太子像 1幅 吉川霊華筆 明治42年(1909) 岡田かつ子氏寄贈 A-11924
竹取物語 1幅 前田青邨筆 明治44年(1911) A-10552
唐獅子 6曲1双 前田青邨筆 大正時代・20世紀 個人蔵;金地著色六曲二双;青(左隻)と赤(右隻)の獅子。
お水取 1巻 前田青邨筆 昭和34年(1959) 神奈川・平木浮世絵財団蔵;古来ゆかしき伝統が絵物語としてテレビをみるように繰り広げられます。
浅田夫妻像 2面 五姓田義松 明治23年(1890) 個人蔵;謹厳実直そうな明治のひと
マンドリンを持てる女 黒田清輝筆 明治24年(1891) A-11103;いかにも西洋絵画的な画題。豊満な若い女性がアンニュイな感じで長椅子に寄りかかるように座る。「読書」とともに滞欧時代の代表作だそうだ。
岩上双虎置物 1基 鈴木長吉作 明治33年(1900) E-20190;パリ万博の出品作。
木によりて 1点 平櫛田中作 大正時代・20世紀 C-1503;再興第一回院展への出品作。
(10日)
特別1室・特別2室 、3室、8室、10室、18室
特集陳列 下絵―悩める絵師たちの軌跡 2007/2/20-4/1
江戸時代、絵師たちは別の紙に下絵を描いて構図や配色を練り、注文主に見せそれで最終的な作品ができあがったという。
このような下絵が残っているので、先日の「これを見ずして江戸は語れない 江戸城」での内部を再現したバーチャルリアリティ「よみがえる江戸城」が作成できるわけです。下絵の黄色の部分は金色を施したとするとたしかにVRのように豪華です。西の丸 表 大広間には「鶴」、中奥には、「三保の松原と富士」、大奥には「牡丹」とかが描かれています。大奥の牡丹の数を減らせとか細かい注文がでています。
仏教の美術 ―平安~室町 2007/2/27~ 2007/4/8 3室
ちょっと調べると、奈良国立博物館で2002年に開催された「大仏開眼1250年 東大寺のすべて」展では、「華厳五十五所絵巻」がずらっと展示されたようです。また「阿字義・華厳五十五所絵巻・法華経絵巻 」小松 茂美 (編集) 中央公論社 (1990/07) など仏教絵巻の名品を集めた書籍もあるようです。今度勉強しよう。
宮廷の美術 ―平安~室町 2007/2/27~ 2007/4/8 3室
禅と水墨画 ―鎌倉~室町 2007/2/27~ 2007/4/8 3室
重文 朱買臣図 2幅 伝狩野元信筆 室町時代・16世紀 旧大仙院方丈障壁画 2006/6/6~2006/7/17展示
重文 山水人物図 伝狩野元信 京都・霊雲院(妙心寺塔頭) 2006/10/11-11/19展示
とか拝見しているはずですが、区別がついていません。
書画の展開 ―安土桃山・江戸 8室 2007/1/30~ 2007/3/11
江戸 浮世絵 10室 2007/2/14~ 2007/3/11
近代美術 18室 2007/2/14~ 2007/3/25
(10日)