『音色』 -第7話-

2019-03-04 07:05:21 | 作り話

ピアノの先生は48歳の女の人。
日本の音楽大学を卒業した後
アメリカのジュリなんとかって
学校にも行ってピアノを勉強し
てたんだって。

「離婚して故郷の湯川町に戻って
きたらしいよ」
って、おばあちゃんはいつも余計
な事まで教えてくれる。

ピアノ教室は先生1人と生徒は
2人。 グループレッスンって
言うんだって。 
いつも同じ日に練習するのは
湯川町で温泉旅館をやっている
家の子、さっちゃん。

レッスンはいつも指の体操から
始めて次は読譜。

「読むときは実際に弾いている
様子を想像しながら読むのよ!」
って先生が言ってた。

この前さっちゃんは
「ひなた、そんなちっちゃい声
じゃあピアノの音が出ないよ!」
って。

やっぱり私の声、聞こえない位
小さいのかなあ?

だけど先生は
「大丈夫よ。ちゃんと声に出した
とおりに弾けているから。
ほ~ら、ちゃんと音が鳴っている
でしょう」

さっちゃん、解ったような解ら
ないよな感じで
「そっか~」って言ってた。

 

続く