コラム(51):堤防決壊は民主党時代の負の遺産
鬼怒川の堤防決壊は茨城県常総市に最大規模の被害をもたらしました【※1】。
【※1】鬼怒川の名前の由来の一つに「いつもは穏やかに流れている川が、一旦荒れると字のごとく、鬼が怒ったように荒々しくなることから、鬼の怒る川と名付けられた」という説がある。
鬼怒川の決壊は、民主党政権下の事業仕分けによる予算削減と菅内閣による「太陽光パネル」推進が複合したことによるものと推定されますので、それをここで取り上げてみたいと思います。
事業仕分けによる公共事業の削減は事実
民主党はいま、ネットからの非難の声【※2】に頭を悩ませていて、打ち消そうと必死になっています【※3】【※4】。
【※2】「堤防決壊は事業仕分けのせいだ」、「堤防決壊はソーラーパネル業者のせいだ。太陽光発電を推進した民主党は責任を取れ」。
【※3】「氾濫の可能性がある河川沿いで“自然の堤防”を切り崩す工事を放置していた行政の監督不行届きや現政権の法整備のずさんさこそ問われるべき」と主張。
【※4】蓮舫氏:「もともとスーパー堤防の計画は(中略)堤防が決壊した鬼怒川は最初から計画に入っていませんでした」と発言。
しかし、民主党側の反論には無理がありそうです。9月11日の「モーニングバード」(テレビ朝日)に出演した土木工学の権威である中央大学教授の山田正氏は事業仕分けを明確に批判しました【※5】。
【※5】コメンテーターが危険基準の見直しを提唱すると、山田氏は「いや、見直しは随分やっている。私、その分野の学会の会長ですからね」、「でも、事業仕分けでこの(堤防増設の)予算を切っちゃったんですよ。それも反省して欲しいですよね」と述べた。
山田氏の決定的な証言により、民主党が隠したい事実が明らかにされました。
(写真提供 保守速報)
太陽光パネル設置のために土手を削った
菅首相(当時)の「太陽電池の発電コストを2030年に現在の6分の1に引き下げ、日本中の設置可能な1000万戸の屋根に太陽光パネルを設置することを目指す」との構想のもとに、各地で事業者がソーラーパネルの設置を行いました【※6】。
【※6】太陽光パネルは再生可能エネルギー特別措置法との関連で大いに脚光を浴びたが、民主党とソフトバンク、イオン、サムスンとの巨大利権があると取りざたされていた。
その際、国土交通省住宅局建築指導課長から「太陽光パネルは建造物から除外され、設置の届出が不要」との通達(平成23年3月25日付)がなされています。この通達がある限り、地方行政は太陽光パネル業者に対する監督指導はできません。
鬼怒川氾濫の最大の原因は、民間の太陽光発電事業者が鬼怒川の土手付近の掘削工事にあるとの指摘がなされています。水が溢れ出した現場は工事場所周辺で【※7】、土手が低くなったところから越水し、決壊したと見られています【※8】。氾濫の当日、現場を見た市議会議員もツイッターで警告を発していました【※9】。
なお、渦中の常総市市長の高杉徹氏は民主系(連合推薦)の無所属で、父親は社会党の参議院議員でした。
【※7】地元住民は、「土手を水が越えてきた。土手は2~3階建ての住宅ほどの高さがあったが、業者によるソーラーパネルの設置工事で削られ低くなった。『大雨が来たらどうなるんだ』と地元で話題になっていた」と指摘する。
【※8】この場所付近に堤防がないことは、2014年6月の常総市議会でも指摘されていた。
【※9】金子てるひさ氏は9月10日午前4時ごろ「若宮戸のソーラー発電開発者によって無堤防地域になっていた場所に到着すると50センチ下まで水が迫っています。(中略)避難警報が発令されています!対象地区は至急避難してください!」とツイートした。
鬼怒川氾濫は人災
今回の大惨事ば、事業仕分けによる公共事業の削減と、菅内閣の主導した太陽光パネルの杜撰な設置が複合して、大水害をもたらしたものだと考えられます。常総市に隣接する坂東市の吉原英一市長は政府調査団に対し「この災害は人災だと考えている」と指摘しています。
さらに、この太陽光パネルの問題は宮城県にも及び、設置された場所では山崩れが起きています。
菅政権時代の「建造物から除外する」方針で、無規制の設置により樹木が伐採され山の斜面に保水力がなくなったのが原因です。
今回の大惨事に対し、民主党は安倍政権攻撃の材料に用いると思われますが、実際は、民主党政権時代の杜撰な政治運営がこのような結果をもたらしたのです。
これだけにとどまらず、沖縄の基地問題、消費税増税、国立競技場などはすべて民主党政権下の負の遺産です。
民主党は政権時代のしっかりとした反省や、検証に基づいた修正をしない限り、二度と政権を欲しがってはなりません。
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