赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

消費税率を5%に! コラム(169)

2016-05-22 00:00:00 | 政治見解



コラム(169):消費税率を5%に! 


参議院選挙を前にして、消費税率10%引き上げ「先送り」を主張する野党の声が大きくなってきました。安倍総理が増税再延期の意向を固めているとの観測の下に、「政府案を阻止したのは我が党である」と選挙で言いたいからです。

当ブログは、経済政策と社会政策のバランスの観点から、消費税率を以前の5%に戻して、経済の活性化を優先させるべきであることを提案いたします。


消費税8%はマイナス成長をもたらした

第二次安倍政権が発足した日から日本経済は景気回復の兆しを見せ、デフレ脱却が目前にまで迫る勢い見せました。景況感を表す日経平均株価は、2011年11月からわずか半年で約6,000円上がりました。また、経済成長の指標となるGDP(国内総生産)は、2013年1―3月期の約517兆円から、2014年1-3月期には約535兆円になりました。

しかし、2014年4月、消費税率が8%になった途端、2014年7-9月期のGDPは約520兆円に落ち込み、約14兆円のマイナス成長となりました。以降、この状況は改善できず、2016年4月現在は約530兆円で、未だに、増税前の水準に戻っていません。【表1ご参照】



このため、一部評論家や野党から、「アベノミクスは失敗」との指摘があります。しかし、実際のところは、「GDPの6割は個人消費」であるため、消費税8%が消費者の購買意欲を奪っているところに最大の原因があるのです。


消費税5%で国民の信を問う

安倍総理はすでに消費税10%の見送りを決めていると思われますが、仮に現状の8%のままでは、景気の回復は期待できません。上記の表1でもおわかりのように、消費税8%以降のGDPは520兆円から530兆円のレンジを動いているだけです。

政府は、8%の維持にこだわることなく、以前の5%に戻して、経済の活性化をはかるべきと思います。

5%に引き下げる考え方は多くの人々に喜ばれる政策です。消費税に関するコンサルタントをしている筆者の友人は「5%への引き下げは、中小零細企業の経営者はもろ手を挙げて賛成する」と語っています。

また、5%に戻し、大きな経済成長を達成することで一般会計税収が増加します。その分を消費税相当分として補填すればいいのです。

なお、現在の消費税率は、財政規律派の財務官が当時の民主党政権を説得して、立法化したものです。これを変えるには新たな立法措置を取る必要があります。この際、衆議院を解散して、消費税5%引き下げの信を問うていただきたいと思います。国民の支持は容易に得られるはずです。


減税とアベノミクスで日本経済の活性化を

消費税を5%に引き下げることとアベノミクスの三本の矢の合成で確実に経済は活性化し、デフレ脱却の牽引車になると思います。2014年4月の段階で5%のままにしておけば、「今頃は物価も上昇し、賃金も消費も好調という、良好な循環が生まれていた」と指摘する専門家もおります。

現在、日銀がマイナス金利という大胆な金融政策(第一の矢)を実施し、政府が機動的な財政出動(第二の矢)としてインフラ関連の事業に予算を投入していますが、最善の効果を上げるには至っていません。第三の矢は成長戦略で即効性に期待するものではありませんので、当面は二本の矢で対応しなければなりません。したがって、ここに消費税が5%にまで引き下げることができたなら、一気にアベノミクスの金融政策と財政政策が効果をあらわすことになると思います。安倍総理の賢明なるご判断に期待します。



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