赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

憲法は一から作り直すべきとき コラム(276)

2018-09-27 00:00:00 | 政治見解




コラム(276):憲法は一から作り直すべきとき



今回の自民党総裁選では憲法改正が初めて論じられました。

自民党は新綱領に「新しい憲法の制定を」と掲げながら、改憲への意欲を積極的に見せなかった歴史の中では画期的なことです。しかし残念ながらその中身は本質から遠く離れています。


安易な改憲論の危険性

安倍首相は、「憲法9条の1項と2項はそのままで、自衛隊を明記する」との方針から改憲の第一歩を踏み出そうとしています。国防の要である自衛隊を憲法に明記することは大多数の国民が納得するもので、国民投票で過半数を取ることは間違いありません。

しかし、敷居を低くして改憲の道筋をつけるという戦術は、あまりにも安易過ぎる選択です。

条文を数行加えたところで中国の脅威から国家国民を守ることが出来るとは思えず、国家の本質的な安全にはつながりません。

安易で姑息な憲法改正では意味がありません。


現憲法自体が憲法改正を妨げている障壁

現憲法は硬性憲法です。改正には、衆参両院で3分の2以上の賛成と国民投票で過半数を得なければなりません。なかでも、国会での改正発議が最大の障壁となるため、70年にもわたり改憲ができない状況が続いています。

改正を試みるたびに国会の発議と国民投票が必要とされるのです。

この問題を学生時代から親交している日本大学の百地章教授(憲法学)に伺いましたところ、次のような回答を頂きました。

改憲の発議ですが、もちろん、改正の度に国会の発議が必要です。しかも、現在の国会法では、テーマごとに発議し国民投票ということになっていますから、いずれは国会法を改正して、一度で全面改正が出来るようにしたいと思います。


国会を運営するための基準となる国会法にまで改憲を縛られていることに驚きを禁じえません。これにより国会における憲法論議は常に政局に左右され、本質的な議論を妨げられることになります。その上、時の政権が断続的に改憲を発議すれば、その都度、国民投票を行わなければならず、その煩わしさが、国民の理解をも妨げようとしています。

憲法のこうした仕組み自体が民主憲法ではないのです。


日本はいまだ独立国家ではない

現憲法はGHQが時の日本政府に強要し、形式的な国会審議を経て公布されたものです。

憲法改正に強く反対しているのが日本共産党ですが、実は当時の日本共産党の野坂参三は衆議院本会議で「侵略された国が自由を護るための戦争は、我々にとって正しい戦争と云って差支えない」と現憲法の「戦争放棄」の規定を批判しました。彼は独立国家としての憲法ではないと指摘したのです。

野坂の主張は結果的に正しく、日本は今日に至るまで旧ソ連や中国の軍事力に怯えながら、アメリカの軍事力にすがって生きなければなりませんでした。そして、いまもなお、激動の国際社会を他国まかせに漂い続けています。日本が独立半国家と呼ばれる所以です。


改憲は第二の建国

しっかりとした国家観が欠落した現憲法を、一部の字句の修正程度だけで、根本問題を解決することはできません。すでに陳腐化し、何の役に立たなくなったものを廃棄する勇気を持たねばならないのです。

いま求められているのは、国家として日本はどうあるべきか、国家と国民、国家と国際社会の関係はどうあるべきかなどの理念についての徹底的な検証と国民的な合意であり、時代と環境に適合した新しい憲法を制定していくことです。

国家が国民の生命の集合体である以上、私たちは国家を私たちと同じ生命体として捉え、よりよき生存を果たすために、国民が一つになって国家ビジョンを共有し、新しい日本を作り上げていく。この行為こそが新しい憲法制定の本質であり、激変する時代に適応できる力になるのではないでしょうか。日本人はいよいよ真剣な議論をするときが来たのです。


安倍首相におかれては、改憲の機運が醸成された今こそ、改憲を第二の建国ととらえ、理想的な国家日本を象徴する誇りある憲法を制定していただきたいと思います。




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