コラム(340):行革の在り方を問う
改革が阻まれるのは既得権益を守るため
「大阪都構想」が否決されました。自民党や立憲民主党・共産党などの野党が、既得権益を守るために現状維持を訴え、メディアを含めて必死に抵抗をした結果です。なかでも、自民党大阪府連は、都構想によってこれまで築き上げてきた利権を奪われまいとする気持ちが反対運動の原動力になっており、あらゆる理屈を駆使して反対を唱えていました。
ここまで大規模な反対運動ができるのは党本部の暗黙の了解があります。つまり自民党本部は実は構造的な大改革に対しては極めて消極的であることが証明されたわけです。相変わらず自民党は現状を維持し、既得権益を駆使して甘い汁を吸う体質であることが露呈してしまったわけです。
自民党がいくら「国民のため」と称して改革を唱えても国家規模の現状変更を伴う行政改革には手をつけることはできないことを証明したと言えます。結局、彼らにとって保守とは現状維持のことなのです。
安倍前総理は国家の構造改革である憲法改正を強く訴えましたが、自民党は憲法審査会ですら満足に開こうとはしませんでした。自民党は責任を野党に転嫁していましたが、自民党自身に本気でやる気がなかったからにほかなりません。野党がいくら抵抗しようが審査会の開催は可能です。議論さえ俎上に上げようとしなかったのは、本音の部分で、改憲よりも既得権益を守るために現状維持を望む国会議員が圧倒的に多かったことを意味しています。
菅行革に期待すること
これでは菅内閣の最大の目玉である行政改革は、小さな領域の変革は可能であっても国家の根幹を変える領域には到底手が届きません。菅総理を誕生させた自民党自身が一番の抵抗勢力になっているのは間違いなく、さらに、現状変更を嫌い自己保身の塊となった官僚の抵抗と、対立や争いを煽るメディアの存在が改革の足を引っ張り続けています。
菅総理がこの局面を打開し断固たる改革をなそうと思うなら、短い任期の中でなりふり構わずまず腹をくくり、背水の陣で取り組むべきです。その信念と姿勢が他の国会議員や国民の共感を呼ぶはずです。
菅総理におかれましては、新型コロナウイルスに見舞われた現状を「奇貨」としてとらえ、あらゆることを根本から見直し大胆な改革をしてほしいと思います。
コロナ禍は現状の行き詰った問題に対して、人間の生き方を変えることを促しているのです。
例えば、コロナ禍で行動が制限され、自由の持つ意味を人びとは改めて理解することができました。また、人との距離を取らなければならないため人と繋がることの大切さと、人は一人で生きていくことができない存在であることを認識しました。さらに、仕事や学校に行けなくなったことで、仕事の在り方、都市の在り方、教育の在り方、家族の在り方など、いままで当然と思っていたことの大切さ考える機会を得ました。
人びとは今、変革を受け入れる素地ができています。抵抗勢力となっている人々でさえ原状復帰や現状維持では乗り切れないことを認識しているのです。
新型コロナウイルス後の世界は決して従来の価値観の延長線上にはありません。
この厳然たる事実を直視したとき、行政改革の本当の在り方とは、旧来の価値観や制度を体系的に廃棄した上で、すべての人々が「国民の幸福と社会に貢献する」という新しい価値観の下に、構築することに意味があります。
菅総理の奮闘に期待します。
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