赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

分断と対立がなぜ引き起こされるのか コラム(342)

2020-11-19 22:48:42 | 政治見解



コラム(342):分断と対立がなぜ引き起こされるのか


信念と信念の衝突が分断と対立を生む

人の信念は一般に、親や学校で教えられたことに加え、社会的常識、文化的・宗教的な価値観、さらにはイデオロギーなどに影響されて、その人なりに培ってきた確信とも言うべきものです。

例えば、信念が政治の領域で表現されると、考えの主張になることが多く、行き過ぎると他への共感や思いやりが失われ、憎悪と中傷に走り、価値観の衝突という現象を引き起こします。

実は、こうした信念の力を利用しているのが組織宗教や過激派集団です。人びとに自分たちの教えや思想を信じさせ熱心な信者に仕立てます。彼らは信念が行動を生み出すことを知っているからです。そのため長い間、宗教的信念がもとになったテロや紛争、戦争が続いているのです。


信念が見せる諸現象

信念が定まると、全ての出来事を自分の信念に基づいた価値観で見ます。歴史上では「天動説」という信念に従い、コペルニクスやガリレオを罪人扱いにしたこともあります。

現代における典型的な例としては、国家の宗教的信条の違いによって、他の国や人を排除したり、攻撃します。

また、卑近な例としては、「A新聞が一番正しいことを報じている」と信じている人にとっては、「現政権を倒さなければならない」という信念が植え付けられ政権を憎悪し敵視します。

社会観は、その人の信念に基づく姿として現れることを意味しています。事実は一つなのに人によって真実が違って見えるのです。

もしかしたら私たちが生存しているこの世界自体が、人々の信念や思い込みによって作り出されたバーチャルリアリティ【※1】の世界なのかもしれません。

【※1】.コンピュータの作り出す仮想の空間を現実であるかのように知覚させる技術


信念の入れ替え

世界中の飢えや貧困・病気、犯罪や腐敗、暴力や戦争、グローバル企業等による富の独占、独裁国家の横暴、地球温暖化等々の原因は弱肉強食や優勝劣敗が当然だという共通の信念があるからです。

言い方を変えれば、強き者が、弱き者を支配するのは当然だという人類の信念が、人間同士が争い続ける構造を作り上げてきたと言えます。結果として、人びとの根深い怒りと激しい暴力や喪失感、悲しみや恐怖感が生み出されたのです。


今が最大のチャンス

こうした岩盤のような価値観を変えることは難しく見えますが、今、大きな転換のチャンスが到来しているように思います。

今世紀始まって以来の世界的な疫病の流行が、私たち人類に考えるきっかけを与えてくれているのです。

コロナ禍では、人びとが分断される中で人と人とのつながりの大切さが再認識されました。また、経済活動が制限されたことで、豊かさの持つ意味や互いに助け合うことの大切さを学びました。家庭の在り方、教育の在り方、働き方、企業活動の在り方、社会関係や政治の在り方からメディア報道の在り方まで気づかされることが山のようにあったからです。

こうした生き方に対する新たな考えが芽生え、それが人びとの新しい信念になるとき、人びとは現在の軋轢や障壁をのりこえて一つになることが出来るのだと思います。

現在という瞬間は、人々が目覚めに至る最大のチャンスではないでしょうか。

新型コロナウィルスを、単に不安や恐怖として捉えず、人類に新しい価値観をもたらす幸運の使者として活用したいと思います。




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