赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

グローバリズムvsアメリカンファースト コラム(480)

2022-11-12 00:00:00 | 政治見解



コラム(480):グローバリズムvsアメリカンファースト

『グローバリストの暗躍』のつづき)

アメリカにおけるグローバリズムの先兵は、現在のバイデン大統領が所属する民主党です。方や、反グローバリズムでアメリカンファーストを唱えているのがトランプ前大統領と共和党です。要するに、今日のアメリカにおける政治的対立は。グローバリズムを重んずるか、アメリカという国家を再生させることを優先させるのかの考え方の違いで国内が二分されているのです。

ただし、共和党の一部にネオコンと呼ばれる戦争好きの存在がいますが、彼らのルーツは民主党極左でレーガン時代に転向した勢力です。反トランプで民主党と連携していますので、除外して考えます。

では、具体的に現職のバイデン政権の政策で、グローバリストの主張をそのまま受け入れているものを見てみましょう。

第一の問題は移民政策です。今年の6月9日の朝日新聞には「米国へ入国するためのビザなどを持たないまま、メキシコから国境を越える人数が記録的に増えている」「背景には、トランプ政権からバイデン政権となり、『移民に寛容だ』という期待が広がっていることなどがあるとみられる」とあります。なお、日本のメディアは「正常な移民」と「不法な移民」を意図的にごちゃまぜにしていますので、読み方には注意が必要です。

国境を廃止して不法移民がどんどん入れば、悪い移民や犯罪者もいっぱい入ってきます。違法ドラッグを持った人や違法な薬物の売人、そして組織犯罪の手先の人間、違法な武器の密輸をやるような人間がどんどん入ってきてしまいます。ヒューマントラフィッティング(人身売買)をやるような組織犯罪の人間も入ってきます。それでもバイデン政権は寛容です。それはなぜか、グローバリストの主張を受け入れているからです。

グローバリストで資産家のジョージ・ソロス氏も移民に対する積極的な支援を行っていることはあまりにも有名です。しかし、彼らの狙いは慈善事業ではありません。グローバリストたちのやろうとしていることはボーダレス(国境のない)の社会づくりであり、彼らから「多額の税金を取り上げようとする国家は解体させなければならない」という信念があるからです。パナマ文書で告発された人びとも同じ気持ちです。

したがって、不法移民をどんどん入れてアメリカ社会を解体する、警察から予算を奪って治安を維持させない、しかも、犯罪者から身を守ろうとする国民に対しては「銃を持つな」ということをやって、自衛も許さないような状況になっています。言葉も、伝統も、習慣も違う人が一挙に押し寄せてきたら、いくら大国のアメリカといえども国家としての秩序と文化は保てません。そこにグローバリストのねらい目があるわけです。

第二は、アメリカの精神的解体だと思います。

アメリカは、さまざまな国の伝統や文化、言語、宗教、習慣が異なる人によって構成されている移民の国です。新たな(適正)移民に対してしても同様で、違いを排除されることもなく、特別な価値観を押し付けられることはありません。彼らがアメリカの市民権を得るには、共和政体への忠誠、すなわち国家と法を守ることを約束することだけが求められるのです【※1】。

【※1】アメリカ合衆国憲法への忠誠の誓い、以前保持したすべての外国への忠誠の放棄の誓い、国内外の敵からアメリカ合衆国憲法を守る誓い、法律が定めた場合兵役に従事する約束、国家の大事の際、法律が定めた市民としての義務を果たす約束。

この政治原則こそがアメリカを統合する原理なのです。したがって、それぞれの政党は、主義を実現することを目的とせず、この政治原則に基づく政府をつくろうとしてきました。そのため、あらゆる階層の人びとの共感を得ることなしに存在することは許されませんでした。左右両極に同時に呼びかけながらも、実際は常に中庸の発言と行動に身を置き、共通の政治的信条である合衆国憲法の下に統合しようとしていたのです。

しかし、この政治原則は民主党と共和党の激しい対立で有名無実になっているのはお分かりの通りです。この背景にグローバリストによるアメリカ解体の思いが存在し、ロビー活動によって民主党が彼らの手先になっていることが最大の原因に思えてなりません。

いま、アメリカ解体の精神は軍隊の中にまでが及んでしまい、LGBTQや批判的な人種理論を、ウエストポイント(陸軍士官学校)で教え込むまでになっています。その批判的人種理論(Critical Race Theory)とは左翼イデオロギーで、「もともとヨーロッパ系の白人というのは差別意識があって悪いやつだ。彼らが作ったアメリカ合衆国は初めから人種差別国家である。だから白人の連中は有色人種の前に頭を下げないといけない」という教育です。言うなれば、「逆」人種差別的な理論なのです。これは、アメリカの建国精神とは真逆のものです【※2】。

【※2】「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」――トーマス・ジェファーソン起草の独立宣言――

したがって、アメリカに奴隷制はあったけど、その奴隷制を解体すると共に否定して平等な社会を作ってきたのもアメリカの白人だということは教えません。なにか、これは戦後の日本における日教組教育そっくりですね。「日本という国は元々悪い国で、駄目な国なんだ」と教え込まれたた記憶がなぜか蘇ります。そのうち「アメリカは侵略戦争ばかりしているからけしからん」とまで教え込まれるのではないでしょうか。

どうも、グローバリストにとっては国家という存在は邪魔なようで、マルキシズムの理論を借用しながらアメリカ国民を国家解体に向かうように洗脳し続けていると思います。

これを証明するのが朝日新聞だと思います。トランプ政権下では朝日新聞の全てがトランプ批判でしたが、一方のバイデン政権に対しては温かいまなざしです。親和性があるからなのですが、両者に共通するのはグローバリストからの積極的支援を得ていることに理由があるからかもしれません。

第三はエネルギー政策です。これについては『「脱炭素は幻想」のアメリカ』で述べましたので、割愛いたします。要は、グローバリストの指示に従って化石燃料を全廃し、原発を推進する立場であるということです。

(次回の『グローバリストとトランプ氏の死闘』に続く)




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