すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。
topics(654):米中首脳会談②――習近平・中国側の攻撃
(『米中首脳会談①――文明と野蛮との会談』のつづき)
午前に引き続き、米中首脳会談の情報をお伝えします。
今回の会談で何か決まったのか? そもそも今回の首脳会談の重要度はそれほどレベルが高くないそうです。というのも、開かれた時期を見てみると、G20に合わせての実施で、他にも2つの重要会議がありました。
・11月10日~13日 ASEAN(カンボジア・プノンペン)
・11月15日~16日 G20(インドネシア・バリ島)
・11月18日~19日 APEC(タイ・バンコク)
つまり、この3つの会議が連続しているのですが、それに合わせての首脳会談だったのです。今回の会談は別の会議に合わせてついでにやったということなんです。
重要度が低かったはずの会談なのですが、結局、3時間以上もかかったのです。首脳会談というのは、最初から、何時から何時までという設定はしないそうです。そのため、この会談時間が長ければ長いほど、様々な応酬があったと判断してもいいのです。
そこで、今回も3時間超えというのは、いろいろな激しい応酬があったと見ることができます。実はこの会談の前から、お互いに激しい応酬がすでにあったわけなんです。
■習近平・中国側の攻撃
習近平側から、中国側からどんなパンチをしたかというと、実は8月4日からの軍事演習、それから一連の軍事行動、一連の台湾への嫌がらせ、軍事的恫喝。これらはある意味で、中国がアメリカとの会談のために作るカードと言ってもいいんです。
中国は自ら交渉のカードを作るのがものすごく上手いのです。中国がアメリカと交渉して、アメリカが「それはやめなさい」と言えば、「その代わりお前もこれとこれを譲歩しなさい」というふうに切り出してきます。そのための一枚のカードなんですね。
さらに会談の前、第20回共産党大会の直後に、習近平はなんと迷彩服で中国の連合指揮本部を視察したわけです。これは極めて好戦的な姿勢なんです。軍服を着るということは、別に国家の指導者として珍しいことではありません。
しかし迷彩服を着ているということは「これから戦争だよ」という一つの威嚇なんです。これも一枚のカードなのです。
「これから絶対台湾に手を出すぞ」ということで、もしアメリカがビビッてしまえば、中国の勝ちなんです。
しかしアメリカは何もしないで、中国による威嚇をただ見ているだけなのか? それは、もちろんそうではありません。
(明日に続く)
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topics(653):米中首脳会談①――文明と野蛮との会談
米中首脳会談の模様が事細かにはいってきましたので、中国の戦争戦略である『超限戦』は後日に回しにします。なお、この会談の話は、毎日、午前と午後の2回、三日間にわたってお伝えします。
日本メディアも知らない相当に詳しい情報ですので、読者もきっと驚かれると思います。
文明と野蛮との会談
初の対面での実施になったバイデンと習近平の首脳会談。どんなことが話され、日本や世界にとってどんな意味があったのか? まずはG20の会談の冒頭で起きた象徴的なシーンから読み解いていきます…
11月14日にアメリカのバイデン大統領と中国の習近平が、インドネシアのバリ島で初めての対面会談を実施しました。今までに実は5回の電話会談やオンライン会談を行なってきたのですが、対面的会談は今回が初めてでした。
この会談を一言で表現すると、「文明と野蛮との会談」と言ってもいいと思います。
なぜそこまで極端なことを言うのか、中国のことになると、いつも過激な発言をすると思われてしまいそうなんですけれども、この「文明と野蛮の会談」という表現が妥当かどうか、あるワンシーンを取り上げて
見ていきたいと思います…
■中国共産党党員が米記者に暴力?
中国の第20回共産党大会で多くの人の頭に焼き付けられているシーンというのは、やはり前国家主席である胡錦濤を、無理矢理会場からつまみ出したということで、これはもうとても文明的とは言えない行為です。今回はさすがに、バイデン大統領を会場からつまみ出すということはしなかったんですけれども、首脳会談の冒頭、新聞記者に公開されているシーンで事件は起きました。
公開の写真撮影会と言ってもいい場面で、記者たちが退場する間際にアメリカのABCニュースのある女性記者が、突然声を上げ、バイデン大統領に「大統領、習近平国家主席に人権問題を提起するのか」と質問したのです。これは台湾でも日本でも、民主国家であれば、ごく自然のことでよくある出来事なんです。
ところが、その瞬間に中国の政府関係者がその女性記者のバックを後ろから引っぱり、無理矢理外に押し出そうとしました。
その時に会場にいたアメリカのホワイトハウスのスタッフ2名がそれを阻止したのです。そして、「新聞記者の発言に干渉すべきではない」とはっきりと中国の政府関係者に言ったんです。
これは非常に象徴的なワンシーンでした。
まさに、文明とは何かと野蛮とは何かということが非常に明らかになったわけです。
(つづきは午後に掲載)
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