すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。
topics(658):米中首脳会談⑥――台湾問題の行方
(『米中首脳会談⑤――米中首脳会談の成果』のつづき)
午前に引き続き、米中首脳会談の情報をお伝えします。今回で終わりです。
(承前:台湾への戦争の脅威がなくなったかと言えば、そうではないです。しかし、当面の戦争の可能性が今回の会談によって遠のいたと言っていいです。)
どうしてそう言えるかというと、話し合いをしているうちに一方的に戦争を仕掛けるということは、基本的にはあまりないからです。今すぐに戦争をすると、双方にとってかなり悲惨な結果になるということで、今の段階ではまだ話し合おうぜということが決まりました。
しかし、この嵐の前の静けさというのは、いったい、いつまで続くのでしょうか。
恐らく、ブリンケン国務長官の中国訪問まで、もしくは訪問の後しばらくはこういう小康状態、お互い緊張状態にならないという状態が続くでしょう。
ですが、これから何年も続くのかと言えば、決してそうではないです。なぜか? 政治日程を見れば分かるんですが、来年2023年というのはですね、台湾は総統選挙、アメリカは大統領選挙に突入するわけです。
台湾の総統選挙で中国が何もしないという選択肢はありません。あるいはアメリカの大統領選挙にも、中国はやっぱり何らかの手を出すということです。
■台湾の将来に関する影響
では、台湾の将来にとっては、どんな影響があるかというと、主に3つの影響があります。
一番目は、首脳会談で「台湾海峡の平和と安定は世界の利益」とはっきりと言ったのであれば、台湾は世界の利益ということなんです。
二番目というのは、今までの台湾はどんな政治的立場かというと、ある意味で米中共同管理下に置かれていましたが、これからの台湾は、米中共同管理下の台湾から米中台三角関係になります。
台湾は小さいけれども、地位の問題、サプライチェーンの問題、民主の価値の問題、あらゆる意味で、図体は小さけれども、かなり大きな発言権を得るようになったんです。
三番目。そうなると台湾は、習近平が「台湾は中国の核心的利益の中の核心」と言っているんですけれども、実はこの言葉はアメリカにも通じ、そして世界にも通じるわけです。
台湾はアメリカの核心的利益の核心と言った方が正しいし、世界の核心的利益の核心と言った方が正しいのです。だから結果として、この3点から見ると、台湾がここまで重要になると、自由社会が取るべき手はたった一つなんです。
台湾という存在をもっと堅固なものにする、もっと安全なものにするべきです。
今回の米中首脳会談からすれば、台湾の将来ははっきりと、世界の核心的利益の中の核心的利益と米中双方が言ってもいいような会談でした。(了)
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topics(657):米中首脳会談⑤――米中首脳会談の成果
(『米中首脳会談④――財務長官ジャネット・イエレン』のつづき)
昨日に引き続き、米中首脳会談の情報をお伝えします。
■ではこの会談の成果は?
会談が終わってからのホワイトハウスの発表によると、「極めて率直な会談になった」と。これは外交辞令で、翻訳が必要です。
「率直な会談」とはどういう意味かというと、お互いに言いたい放題言っているということなんです。つまりかなり激しい応酬があったということで、「率直的な会談になった」ということです。
もちろん、事前の期待値がかなり低いわけで、蓋を開けてみれば、もっとひどいことはなかったという意味では「そんなに失敗した会談ではない」という意見がほとんどなんです。
では、その会談で台湾に関係することは、どんなことを言ったかというと、実はアメリカの台湾に関するレッドラインは、その場ではっきり言ったようなんです。はっきりと中国を批判したんですね。
今までの台湾に対する脅迫行為、あるいは侵略的行為、攻撃的行為というのは、台湾海峡の安定にとっては非常によくない、と。
さらに「台湾海峡の平和とは世界の利益になるんだ」と言ったようです。ここまで言うとですね、要は台湾に手を出すと世界の利益に反するということなんです。
アメリカの利益だけでなく、台湾の利益だけでもない、もし台湾に手を出すと、全世界の民主主義陣営を敵に回す行為だと、ここまではっきり言ったわけです。
さらに一方的な現状変更は絶対許さないと、言ったんです。
対する中国はどのようなレッドラインを引いたかというと、習近平は、「台湾問題とは中国の核心的利益の中の核心」と言いました。
つまり「台湾は中国にとって一番重要」ということ、「米中関係の政治的基礎の基礎中の基礎」と。さらに「これは中国にとって一番最初の一本のレッドラインだ」と。
今回の話は決して台湾だけではなく、内容は5つあるんですけれども
米中首脳会談で話し合われた五つの問題
①台湾問題
➁貿易問題
③人権問題
④北朝鮮問題
⑤ウクライナ戦争
しかし、この五つの問題は、実は全部、台湾と関わっているのです。だから今回の話の核心とは、五つのテーマなんですけれども、一番の核心中の核心とは台湾なんです。
だから、中国は台湾問題をしきりに強調するわけです。しかし、この会談は全く成果なしかと言えば、実は成果は一つだけあったんです。
それは何か? 「これからも会談しようね」ということ。
つまり来年になると、ブリンケン国務長官が初めて国務長官の身分で中国を訪問するという一つの成果があったんです。
これは何を意味しているかというとですね、今まではお互いに、特に8月のナンシー・ペロシの台湾訪問から
かなり激しい喧嘩をやって、ボクシングの試合に喩えれば、3分間の喧嘩をして、激しい対戦をして、もうお互いにヘトヘトになって、1分間くらい休憩しようかということになったわけです。
これは構造的に変わったかというとそういうわけではないです。台湾への戦争の脅威がなくなったかと言えば、そうではないです。しかし、当面の戦争の可能性が今回の会談によって遠のいたと言っていいです。
(つづきは午後に。最終回)
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