赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

ドローン、中国から台湾の時代に

2023-09-04 00:00:00 | 政治見解



ドローン、中国から台湾の時代に :230904情報

8月26日、台湾の上空に中国軍のドローンが2機現れました。ドローンは台湾の周囲を反時計回りに回って中国側に引き返していったそうです。その前日にも、北東部空域に中国のドローンの侵入が確認されています。中国軍は最新の技術を最大限に駆使して台湾を偵察しているようです…

しかし、中国情勢に詳しい台湾独立運動家によると、中国軍のドローンの性能それほど高くないのだそうです。むしろ、中国よりも台湾の方が優れた製造技術を持っていて近いうちに台湾が中国を超えて「世界最強の軍用ドローン生産基地」になるといいます。今回は台湾のドローン産業についてお聞きしました。



◼︎世界シェア8割の中国ドローンの“弱み”

世界ではドローンの軍事使用が当たり前になってきています。なぜならドローンは偵察だけではなく、攻撃にも使えるからです。防空網などをくぐり抜けて攻撃も偵察もでき、ミサイルや戦闘機と比べると、かなり安価。しかも、短期的に大量生産できるという事も含めて、ドローンには様々なメリットがあります。

しかし、今、世界一のドローンの生産大国は、嫌われ者の中国です。例えば、中国のDa-Jiang Innovations(略称DJI)という1社だけで、世界の民間用ドローンのシェアのおよそ8割を占めています。民間用だけではなく、軍事用ドローンも小型のものから大型のものまで大量に生産しているのです。

そんな中国製のドローンには弱点があります。それは、通信システムが弱いところです。

ドローンは飛ばすだけでは役に立ちません。機体を飛ばして目的地を攻撃や偵察するために、通信システムが絶対に必要です。いくらよく飛べても、いくらスピードが速くても、自分の思い通りにできなかったら意味がありません。

では、なぜ中国ドローンの通信システムは弱いのか? 理由は簡単です。

中国は最先端の半導体の生産ができないからです。最先端の半導体の生産は台湾が握っています。台湾が中国に売らなければ、中国のドローンに最先端の半導体を使う事はできないため、当然その通信機能が弱くなるのです。


◼︎実は凄い!台湾のドローン技術

あなたは台湾のドローンの製造能力がどのくらいあると思いますか?

基本的には台湾の民間用ドローンは100%台湾国内で製造できます。つまり台湾がドローンを作ろうと思えば、別に外国から部品を輸入する必要がないのです。

台湾の最先端・半導体生産は世界一で非常に高い製造能力と信頼性を持っています。政府・民間は軍用ドローンの分野においても参入意欲がある状態です。

しかし、「軍用」ドローンの国産の割合は70%、残りの30%はアメリカに握られています。軍用ドローンの場合は、軍事衛星と連携する必要がありますが台湾はその部分が弱いのです。また、台湾では軍事用ドローンが撮影する映像を安定させるための機械を生産できません。それらの部分が、「残りの30%」になっています。


◼︎台湾が「最強のドローン最大生産基地」に

これら台湾の課題を克服するために、アメリカの協力は不可欠であると言えるでしょう。幸いにして、アメリカ側も台湾から協力してもらう必要があります。両者の利害はこの時点で一致しました。

実は2023年5月1日に、アメリカの前太平洋海兵隊の司令官であるスティーブ・ラチェス中将がイギリスも含めた25社の非常に有名な国防産業を率いて台湾に訪問したのです。この目的はたった一つ。台湾で本当に武器を生産できるかを視察することです。

ウクライナ戦争でドローンの量が重要だと証明されました。戦争になったら1国で製造するのでは間に合いません。さらに、アメリカで作るドローンの部品は、中国に依存している状態です。一刻も早く中国サプライチェーンから脱しなくてはなりません。

そして、中国のサプライチェーンに成り代わって担う事ができる国は台湾だけです。アメリカと台湾との協力関係ができると五つの結果を生み出す事ができます。

① 超高性能の軍用ドローン
ほぼ間違いなく米台協力によって、台湾で世界一高性能のドローンを開発・製造できるようになります。世界一の軍事技術を持つアメリカと、世界一のドローン製造能力と半導体を持つ台湾、米台が持つ長所・短所をお互いに補完できるような関係が成り立つのです。

② 台湾が“民主国家専用”の軍用ドローン基地に
民主国家陣営と独裁国家陣営が対抗する時代になっていくなか、対抗する相手(中国)から日本、アメリカ、フランス、イギリスなどがドローンを買うと思いますか?  普通に考えて買えないでしょう。台湾が中国に成り代わってドローンを製造できるようになれば武器サプライチェーンの問題が解決できます。

③ アメリカのAI技術 × 台湾の最先端半導体 敵を攻撃するドローン製造が可能に
アメリカのAI技術と、台湾の最先端の半導体が合わされば、映像の分析だけではなく、判断・指揮・攻撃まで実行できるドローン軍団ができるでしょう。

④ 大量に&安く生産
今は沢山の民主国家が中国から軍用ドローンを買っています。東南アジアも中東も含めて、安くて大量に買えるところは中国の他にない状態です。ですが、今度は台湾で大量に安く生産できるようになります。

⑤ 台湾と世界がより安全になる
これから台湾製のドローンが全世界で使われて、台湾と世界との連携がさらに強化されれば、攻撃面でも、連携の面においても台湾と世界の安全が守られることに繋がります。今はまだスタートしていませんが、この動きを見ればわかる通り、間違いなく台湾は世界の軍用ドローンの最大生産基地になるでしょう。




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