赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

①独裁国家の現状――中国編

2024-04-03 00:00:00 | 政治見解




①独裁国家の現状――中国編 :240403情報

2023年、中国のGDPがどれくらい伸びたか知っていますか? 実はこれ、答えるのが非常に難しい質問なんです。というのも、中国政府の公式見解では、昨年比でGDPは4.6%の増加です。しかし、中国のGDPには長い間、水増し疑惑がささやかれています。

特に、去年は中国の不動産バブルが崩壊した年。普通に考えると、そんなに経済が良いワケがないのです。では、本当のところはどうなのか…? ここを当てるのが至難の技です。研究者によっては、マイナス3%だという説もありますし、公式発表の6割程度じゃないか?という説もあります。

結局のところ、正確な数字を当てるのは簡単ではないのです。ここに中国という国の「秘密主義」がよく現れています。独裁政治の中国では、このようにデータの水増しなんか日常茶飯事ですし、ある日突然新しい法律が作られて、その日のうちに施行されたり、国の大臣クラスの人事が全く説明のないまま、一夜にして変更になったりすることがよくあります。つまり、先が読めないのです。ここは本紙おなじみの国際政治学者にお願いするほかはなさそうです。



「全人代」国務院を無力化し、独裁を一層進める習近平

全人代が3月11日に終わりましたけど、一番大きな注目すべきことは国務委員という中国行政機構が無力化したことです。どこが力を入れたかというと、共産党トップである習近平が全てを独裁化しました。今までの国務院というのは、ある程度、共産党と別の国家の官僚組織であって、それなりに力があったのです。

そのトップの首相というのは、No.2として非常に力があったのですが、そういうことではなくなって習近平1人が強いということです。そういう習近平の独裁がこれによって完成したと言ってもいいと思います。そういうところで大きな変化があったということです。

全国人民代表大会が日本の国会に当たると間違って書かれていることがありますけど、中国には選挙がないのですから、日本の国会ではありません。

共産党が全部選んだ人たちが全人代に出てくるので、共産党大会の上ですけど、こちらは政府の方の代表大会ということで実施されます。ああいった国で政府である国家機構と共産党というのは2本柱であり、そこに共産党が上に立っているわけです。

今回もいろんなことが決まったのですけど、一番大事な決議事項は「国務院を事実上無力化した」ということです。国務院というのは国家の行政機構ですが、ここのトップが首相であります。

かつては李克強という人がいました。去年の10月下旬に殺されたと思われる李克強です。当時は共産党のトップを総書記としていたけど、共産党の官僚機構というものがあり、それとは別に国家の官僚機構というものがあります。これはナチズムの構造と一緒で、独裁党が国家を指導するとされていて、国家の機構が下になって共産党の方が上になるのです。

しかし、一応国家機構というものがあるので中国で国務院とは、経済政策の実行においては国務院が中心となり、そのトップである首相が中心になると考えてください。

それで習近平の時代も李克強という人が、ある意味で習近平とは違った考え方を持った人でしたから、この人はある程度の経済合理主義者であってグローバリストの息もかかっている開放改革政策を続けていきたいと考えていました。

習近平は途中から改革開放政策を開放して、外国の資本技術を取り入れて経済発展する生き方では駄目だとしました。改革開放政策に背を向けたわけです。そこから共産主義青年団出身の李克強と、共産党のトップで権力をより多く持っている習近平との間で一定の対立関係がありました。

別の言い方をすると、共産党のイデオロギー政治を、国民の実務家たちがある程度是正することができたというのが今までのパターンだったのです。そして、毛沢東の猛烈な文化大革命はイデオロギー・共産主義原理主義が全てであるという国内の第2革命でした。

それでは経済が完全に破壊されてしまったということで、国務院と共産党を分離して国務院にある程度の分離的な権力を与える仕組みを作ったのです。これは決して民主政治ではありませんが、一つの官僚機構とは別の官僚機構を作ってバランスをとっていこうとしたのですが、今回の習近平の改良によって、完全に国民の独立性が失われました。

首相は今まである程度、経済政策についてはトップに対しても物申すことができたけど、今は物申すこともできない状態です。今の李強も完全な習近平の子分であるが故に言う通りにしか動きません。そして、経済政策の根幹というのは共産党の委員会から出てきます。共産党の中の財政経済委員会のトップは習近平ですが、そこが全ての基本的な経済政策の方針を打ち出しており、国務院の方はそれを実行するだけです。

これによって習近平の独裁が完成しました。中国には三つの官僚機構があるわけです。一番強力なのは共産党の官僚機構、次に人民軍の官僚機構、最後に国務院の国家の官僚機構があります。

この三つのトップが事実上、まとめて1人の習近平になったということです。国務院のトップである首相の独立性が失われたということが一番大きな今回の機構改革の結果でした。これによって、形式的には習近平の個人による権力掌握というものは完成したと言って良いでしょう。なかなか恐ろしいことになってきています



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