赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

デンマーク、女性も徴兵対象に

2024-04-02 00:00:00 | 政治見解



デンマーク、女性も徴兵対象に :240402情報

小さな国際面の記事で見つけたのですけど「デンマークで女性も徴兵対象とすると決定した」ということです。3月13日にデンマークのフレデリクセンという女性の首相が、女性を徴兵の対象に含める意向を明らかにしました。2026年にこの新制度を導入するそうで、実現すればヨーロッパではノルウェー、スウェーデンに次ぐ3カ国目として女性も徴兵対象になります。国際政治学者の解説です。


3月13日にデンマークは国防改革計画を発表したのですけど、その中に盛り込まれているようです。徴兵期間も4ヶ月から11ヶ月に延長すると書かれています。そして、NATOのお約束と言えるものですが、国内総生産(GDP)の2%を国防費として計上するそうです。そのために今後5年間で60億ドルに上る国防予算を増額すると決めました。

これをどのように感じるかということで、第1番目にデンマークは平和主義の国です。日本人の一部の人はデンマークやスウェーデンは福祉国家で一種の理想国家と考えている方もいるでしょう。そういった国でも徴兵制はやっているし、スウェーデンも徴兵制が復活しました。女性も国防の義務があるということで、全国民で国防をしっかりやっていると言えます。

スウェーデンやデンマークの福祉について語る人がいて、特に左翼の人はそういう話が好きです。高度福祉国家について語っています。だけど、国防もちゃんとやっている国であると覚えておいてください。スウェーデンもノルウェーも今まで中立でNATOに入っていませんでした。

この理由はロシアのことを考えていたからですが、いわゆる国家関係のバランスをとっていたのです。しかし、ロシアはウクライナに攻め入るような危険な国であることがわかったので、伝統的な中立政策をやめてNATOに入るということを国民とよく議論して決めました。

そして、デンマークでもスウェーデンでもノルウェーなど、こういった北欧の福祉国家の典型的な国でも、女性も徴兵の対象にされます。国際的に今、戦争が起こりやすくなっているから、その戦争を望んでいるからではなく、戦争を避けたいから軍隊を再編すると語るフレデリクセン首相も、なかなか立派なことを言っています。

私もよく言いますが、ローマ時代からのことわざだそうですが「平和を欲するならば戦争の準備をしろ」という言葉があるくらいで、戦争の準備をしっかりしておくと戦争をしなくて済むのです。これはアイロニー(表面的な立ち居振る舞いによって本質を隠すこと)と言って良いでしょう。人間の世の中は昔もそうでしたし、今も国際関係というのはそういうものです。左翼の人たちはその側面も見て欲しいと思います。

高度の福祉国家は一つの国のあり方としていいと思いますが、その国家であるためには国防がなければ成立しません。その国防に関しては、しっかりやるということです。日本の憲法9条のようなことは言ってないです。そして、女性も徴兵の対象にするということで、大変厳しいと言いますか、そういう態度は必要だと思います。

しかし、デンマークはある意味で立派だと思いますが、一方でスウェーデンは福祉主義によって、大量のイスラム教徒を中心とする実際上の経済難民を受け入れてしまい、かつて「スウェーデンSOS」と言われました。難民が入ってきて、その人たちがスウェーデンの女性に性的暴行を働いても、記事にもならないし、そういったことが日常茶飯事に起きるようになってしまったのです。それが見逃されているという恐ろしい状況になってしまいました。

ここに安易な人権主義によって、難民を受け入れてしまったことの大失敗が一つ表れていると思います。そういった側面もあるでしょう。

もう一つ、男女平等を訴えるのは結構だと思いますが、徴兵制に女性を含めることは、いかがなものなのかという考え方を持っています。やはり、男女には性差による役割分担があると思うのです。あるいは兵隊にとっても、前線の兵士の半分を女性にすることではないと思います。

軍には、後方支援が必ず必要ですから女性は徴兵されても、そういうところの訓練を受けていただいて、直接的に危険ではない役割分担をしてもらうと良いでしょう。後方支援で物資を運んだり、赤十字という国際機関であったり、軍の看護婦もいるわけです。その人たちが野戦病院で働いており、そのほかの様々な後方支援を行なっています。また事務方も軍を動かすためには大量に必要となるのです。

男は前線に出て、後方支援のところに女性を起用するというのが正しい形ではないでしょうか。

デンマークでもスウェーデンでも、果たして女性を前線の兵隊の半分に配置するという形にするのかどうかと言うと、おそらくしないと思います。女性を徴兵の対象にすることに関して、私は基本的に反対です。女性のお手伝いをいただけるなら、あくまで後方支援を中心にすべきだと思います。

女性の中にも勇気もあって運動能力も優れていて、男性以上の有能な兵士や将校になれる方も、少数だけどいるでしょう。そういった方には活躍の場があっても良いと思いますが、一般論で言えば男女には性差による役割分担というものはあって然るべきだと思います。機械的な平等ということをやってしまうと、本当の意味での男女平等にはならないのではないでしょうか。

このような複数の感想をこのデンマークの基準に関して思った次第です。これを皆さんはどのように思いますか?だけど、国防をしっかりやっていこうという姿勢は大変立派です。福祉国家を維持していくことは良いのですが、国家そのものがなくなってしまったら元も子もありません。国防がなくなって国が侵略されてしまえば、福祉政策も何もなくなってしまいます。やはり“国民の安全”というのが最も基本的な“福祉”だと思うのです。

戦争という騒乱状態になって一番困るのは弱者となる老人・子供・女性たちですから、国を守るということが実は最大の福祉であり、最も基本的な福祉になるのではないでしょうか。デンマークの女性も徴兵制に含むというニュースを私は大変面白く、また問題提起をするものだなと思って受け止めました。このことを皆さんは、どういうふうに考えますか?



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