赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

災害報道への疑問 コラム(269)

2018-07-12 10:22:55 | 政治見解




コラム(269):災害報道への疑問


大規模な自然災害や大事件が発生した場合、メディアはここぞとばかり取材陣を派遣し被害状況を報道するのですが、その内容には首を傾げるようなものが多々あると感じます。報道従事者の内面に、災害や事件で悲しむ人たちの姿が絵になると喜ぶ下劣な精神性があるからだと思います。


被災者を国からの被害者にすりかえる

メディアの最たる犯罪は、不満を抱える被災者を見つけ出し、「こんなひどい目にあったのは行政が悪いからだ」「国の対応が遅すぎて不便この上ない」等の非難を引き出そうとすることにあります。しかも、それを被災者全体の意見のように報道することです。要は、「国の怠慢」を誘導したいわけです。

しかし、被災者の多くは、不満を抱えているのは当然ですが、そのような泣き言を言うのは恥と考えています。悲しみに耐えながら、救助やお世話して下さる方に深い感謝の念を抱いているのが本当の姿です。

したがって、このような日本人の心情を理解出来ない人に取材させてはなりません。被災者の苦しみを増幅させようとする報道は直ちにやめるべきです。


傲慢な取材手法


メディアの取材でいつも問題となるのは、自衛隊、警察や消防の方々が不眠不休で被災者救助や復旧に力を注いでいるときに、現場で邪魔ばかりしていることです。

救助中のヘリコプターの近くで報道ヘリを飛ばして取材することに何の意味があるのでしょうか。救助のヘリ以外に、報道ヘリ2,3機がホバーリングしているとその騒音はすさまじく、瓦礫の中に閉じ込められて助けを求めている人の声は聞こえません。

しかも、ヘリの上から平然とカメラを回し続ける行為が、助けを求めているのに助けてくれないとわかった被災者にどれほど落胆の思いをさせているのか。それに気がつこうともしないで取材する精神は人間のものとは思えません。愉快犯と共通する精神性であることは間違いありません。

メディアの奇妙な特権意識が傲慢な取材を生んでいる実例として、11日のテレビ朝日のニュースでは、避難指示が出されて急いで避難しようとしている人をわざわざ呼び止めて取材を試みていました。その場にいた警察官がこれを制しましたので住民は急いで避難しましたが、危険が差し迫っているときでも取材を優先させるその神経を疑わざるをえません。


メディアが考え直さなければならないこと

東日本大震災のときは、メディア報道よりもSNSを通じてのSOS発信が効力を発しました。メディア、とりわけ民放各社の特性は絵になるところばかりを取材し、悲惨な状況を強調するだけで、被害者救済には何の役にも立っていません。

災害報道は、受信料でなりたつNHKが視聴者への還元すべき義務にして、民放各局は被災者救済のために、メディアとしてお役に立てることとは何なのかを考え、実行すべきと思います。そして、災害から得られた教訓は何か、何を心がけねばならないのかということを中心に報道することがメディアとしての立ち居振る舞い方であって、被災者にインタビューして不満や不安を増幅させてはなりません。


頓珍漢なコメンテーター


災害報道を見ていて専門家でもないコメンテーターがわかったような顔をしてコメントしていることに違和感があります。深刻そうな顔の裏に、政治批判できることに喜びを感じているのは表情に出ていて、ディレクターが書いた台本を立て板に水のごとく発言しているのは異様です。

しかも、発言内容は実に適当です。先日、あるコメンテーターが「日本は災害の多い国だから国防予算よりも災害対策のために公共事業を増やせ」という趣旨の発言をしていました。司会者一同大いにうなずいていましたが、そのコメンテーターは以前、公共事業の拡大に絶対反対といっていた人です。今後、災害対策と公共事業の話をする際には、「スーパー堤防事業は大洪水の被害想定額以上のコストがかかる」として廃止に追い込んだ蓮舫氏(民主党政権下の行政刷新大臣)らを呼んだ上で、どうすべきか討議したほうが、はるかに実り多いものになると思います。


ねこおぢさんのツイートから引用)



また、災害対策を利用して、政府批判に結び付けたがる人が多すぎるのもテレビメディアの悪いところです。政府が官邸連絡室を設置し自衛隊も要請に即対応していたにもかかわらず、「被災地はないがしろにされている」と批判し、安倍総理が自衛隊ヘリで上空から視察し避難所を訪問すると「被災者の怒りをかわすため」「逆に現場が混乱する可能性がある」などと、どっちみち政権批判を展開するだけのコメンテーターです。こんな番組作りばかりでは、視聴者離れが加速するだけだと思います。


結局、メディアに携わる人には、困っている人のために何をしなければならないのかという人間としての有るべき姿が欠落していると思わざるをえません。

それゆえに、彼らが、被災者の苦しみや悲しみの気持ちを本当に理解し、寄り添うことができるようになるには、彼ら自身が被災者の立場になったとき以外にはないと思うのです。



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