すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。
科学できない中国と日本の左翼——ALPS処理水をめぐって
:230915情報
昔、『思想の科学』という雑誌がありました。今でいうリベラル左派の機関誌的な役割があった雑誌で、思索と実践の分野に論理実験的方法を用いることと、英米思想の紹介には批評的態度を維持することを主眼にしていました。この雑誌の影響か、日本の左翼言論界は{科学的」「理論的」というイメージを振りまいていました。
ところが、昨今の日本の左翼には「理論的」なイメージはありません。立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組、消滅寸前の社民党、いずれも、論理ではなく感情論で世論を煽ろうとしています。現実に、いまも、ALPS処理水を汚染水【※1】と言ってはばかりません。
【※1】「汚染水」と「処理水」の違い :
「汚染水」は、多くの放射性物質を含み、事故後毎日原発建屋内で初生しています。一方、 「処理水」は、ALPS(多核種除去設備)などを用いて浄化処理を行うことによってトリチウム以外の放射性物質について、環境放出の際の規制基準を満たすまで浄化した水のことをいいます。
彼らには、いくら科学的に説明しても、初めから理解しようとはしないのです。「科学する」という意味がわからないようです。小学校からやり直した方がいいようです。
先日も、共産党の衆議院立候補予定者の発言に対し、小池晃書記局長が、「汚染魚」の表現は「我が党の見解とは全く反する」”として陳謝。一方で、東京電力福島第1原発で出た処理水を「汚染水」だと表現していることについては、「きちんと科学的だと思う」と発言していましたが、どこにも科学的根拠についての説明はありません。これが、共産党を含む左派政党の支持率をさげている主たる原因なのですが…。
さて、中国では日本の左翼と同じことを言っていますが(本当は中国の主張を日本の左翼がまねているようですが)、門田隆将のX(旧ツイッター)に面白い記事があったので引用してみます。
門田隆将 :RecordChinaが紹介した処理水問題で中国のネット上で拡散されている文章が素晴らしい。激高し“売国奴”と罵っていた若者がメディア関係者の7つの質問によって態度を一転させ謝罪。“科学と常識を信じる事”を始め、淡々と事実を元に質問。是非日本に来て“あの人たち”にも説明を
門田氏が絶賛する記事は以下に。
日本の処理水めぐって罵倒電話をかけた若者、七つの質問で態度が一転―中国
Record China 2023年9月1日(金) 17時0分
東京電力福島第一原発の処理水海洋放出に中国が激しい反発を続ける中、あるメディア関係者が記した文章が中国のネット上で広く拡散されている。写真は日本の水産物などを使用していないことを記したボード。
東京電力福島第一原発の処理水海洋放出に中国が激しい反発を続ける中、あるメディア関係者が記した文章が中国のネット上で広く拡散されている。文章は、激高した若者が七つの質問によって態度を一転させたことをつづったものだ。以下はその概要。
私はここ数日、日本の処理水の海洋放出に理性的な判断を呼び掛ける文章を書いた。「パニックにならないこと。国際原子力機関(IAEA)、そして科学と常識を信じること」が文章の核心的観点だ。文章の発表後、私はある若者から電話を受けた。彼は開口一番、私を「売国奴」とののしり、日本人から金をもらったのかとも言った。私は辛抱強く七つの見方を伝えることにした。
私は一つ目 に、12年前、地震で起きた津波で原発が破壊され、未処理の汚染水が海に流出したことを覚えているかと尋ねた。続けて「12年後、日本はIAEAの監督の下、汚染水を処理して30年という時間をかけてゆっくり海に放出する計画だが、危害が大きいのはどちらだろう」と問い掛けると、彼は「もちろん12年前の方に決まっている」と即座に答えた。私は「その通り」と応じ、「12年前の流出で壊滅的な結果は生まれなかった。処理後なら、なおさらそんな結果にはならない」と彼に伝えた。
二つ目 は、「中国と日本。国民の寿命が長くて食品安全基準が高いのはどっちか」という質問だ。彼は「日本の食品安全基準は中国より高いし、日本人の平均寿命は数十年間、世界1位だ」と答えた。私が「科学技術と経済が発展している日本の人々が自分たちの命を顧みず、基準をクリアしない核汚染水を放出して自らの死を招くだろうか」と畳みかけると、彼はしばらく黙った後、「そんなことはない!」と言った。
三つ目 は、1945年に米軍が広島と長崎に投下した原子爆弾についてだ。「日本は20年もかけずに広島と長崎の放射能汚染に対処し、廃墟と化した両都市を住みやすい都市にした。広島は1994年にアジア競技大会を開催している。両都市を訪れてこうした状況を不思議に思う外国人は多い。放射能汚染に対する日本の処理能力が一流だと信じるのには理由がある」と伝えると、彼は沈黙を保った。
四つ目 は、「海産物の摂取量が多いのは中国人か、それとも日本人か」という質問だ。彼は「当然日本人。日本は島国で周囲を海に囲まれているが、中国で海に面しているのはいくつかの省や市だけだ。日本人の方が絶対に多く食べている」と答えた。私はそんな彼に「正解。中国は陸地大国で海を見たことがない人は多い」と伝え、さらに「日本は海洋大国であり、海洋資源は日本にとって重要な資源だ。もし処理水が本当に海を汚染するなら、日本人こそが最大の被害者。日本人にこんなことをする理由はない」と指摘した。
五つ目 は、「日本が汚染水をきれいに処理しないまま海に直接放出した場合、よりダメージを受けるのは日本人か、それとも中国人か」という質問で、彼の回答は「もちろん日本人」だった。私は「その通り」と応じ、「最も深刻なダメージを受ける日本の人々が強烈な反対を示さないのに、中国人はなぜこれほど神経質になるのだろう」と投げ掛けた。
六つ目 は、中学生の頃に学んだ地理の知識についてだ。私は、「太平洋の海流は時計周りで、海水の流れる方向から言うと、まず米国とカナダに向かってその後は中米方面に進み、それからフィリピンと台湾を経て最後に中国本土となる。米国とカナダに『世界の末日』という憂慮は見られず、欧州連合(EU)は福島産の海産物をすでに解禁した。であるなら、被害が最小のわれわれが何を恐れる必要があるのだろうか」と尋ねた。
七つ目 の質問になった時点で彼の怒りはもう収まっていた。しかし、それでも不信感をにじませながら、「『処理水は国際基準に達していて放出しても海に影響を及ぼすことはない』というのが日本の言い分だ。ならばなぜ日本人は自分たちで飲まずに放出するのか」と言った。私はこれに「筋の通らない理屈で、常識を欠いた発言」と返し、「基準を満たすように処理するのは飲むためではなく、環境汚染を減らすため。われわれの生活排水は処理を経て川に流され、最後は海に流れ込む。飲まないのは、こうした水が人間に極めて有害だという意味ではない。飲み水と生活排水は基準が違い、全ての水が飲み水としてためておけるわけではない」と指摘した。
私のこの七つの説明で、彼の疑念はすぐに晴れた。そして彼は罵倒したことを私に謝罪した。(翻訳・編集/野谷)
明日の『処理水問題で最も打撃を受けているのは中国」も面白いですよ 。
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②BRICS首脳会談――BRICSに群がる各国の思惑 :230914情報
昨日 からの続きです。国際政治学者の見解です。
首脳演説パスの習近平
8月22日に習近平さんが演説するはずでしたが、やりませんでした。首脳演説をパスしてしまいまして、そのとき会場にも姿を現さなかったということです。
これを報道していない日本のマスコミもありますが、これは非常に小さいけど重大な事件が背後にあるのではないかと考えさせられます。
その考察の一つとしてはチャイナ国内で何かとんでもない事件が起きていたのではないかという考えです。そのときに習近平は本国と連絡を取らざるを得なくて会場に姿を現すことができなかったという可能性があります。
これは、どういう種類の事件かと言われて、1番に思い浮かぶのが人民軍関係です。人民軍に関して今、大変な粛清を習近平はやっています。ロケット軍のトップの首を入れ替え、政治員の首も入れ替えました。そして現役国防大臣も今、調査中となっており彼も失脚するかもしれません。そのような状況にありますから、軍の粛清に反対して、軍の一部が反乱を起こしたという可能性もあると思います。
2番目には習近平の健康問題ということもあり得るでしょう。習近平が何らかの意味で体に変調を起こして、出てこられなくなってしまったということも考えられないわけではありません。しかし、これは国際的な注目を集める国際イベントです。BRICSの国だけではなく、その他の国でこれからBRICSに入りたい国も集まってきており、日本のテレビなどでも長い時間を割いて報道していました。
国際的な注目を集めるところで、普通に考えれば習近平さんとしては、BRICSのリーダー(中心)は何と言っても我が中華人民共和国であると、中国共産党の威信を世界に示す良いチャンスだったのですけども、そのチャンスを棒に振ってしまったわけです。
そして当然こういうところに出てこなくなれば、私のような世界中の国際政治ウォッチャーはチャイナで何かあったのではないかと勘繰ります。国際的に注目されるところに彼が出てきて、普通に期待通りの演説をすべきだったところできなかったとなると、いろいろ腹を探られるところもあり、自分の弱点を晒してしまうことになりかねません。習近平はPRしたかったはずですが、それを承知で実行できなかったということは、これはかなり大きな意味があるのではないでしょうか。これについては当然この後フォローして参ります。
BRICS拡大、それぞれの思惑
それから多くの国がBRICSに入りたいと言っているようです。今回はサウジアラビア、イランを含めて6カ国のBRICSに正式加盟を認めました、。それから入りたい国があと40カ国くらい名前を連ねているということですが、BRICSがこれから大事な国際的な一つの力の中心になっていくのかということで言うとそれはないでしょう。
なぜ40カ国も集まったのかというと、単純に言うとみんなお金の匂いがするから来ただけです。今、チャイナ経済の中が腐りきって悪くなり、チャイナバブルは崩壊しています。そして、チャイナの経済力はかつてのようにはないということは、多くの人がまだ認識していません。
中国恒大集団が破産申告をニューヨークでやったということで、チャイナのバブルもこれから崩壊するのかなと、のんびりしたことを言っている日本のテレビのコメンテーターが沢山います。
既にチャイナの不動産バブルは崩壊しているわけです。チャイナではコロナの問題もありましたし、水害もありましたので経済的には踏んだり蹴ったりと言えます。
現状としても弱り目に祟り目という感じです。もう外貨もありません。そういう状況で外国から借りている金を返すのも先延ばしにしてもらわないといけない状況になっているのです。
しかし、発展途上国の多くの国はそのような状況を知りません。チャイナと仲良くすれば、あるいは今まさに経済が伸びていると言われているBRICSの国と仲良くすれば、自分たちにも良いことがあるだろうと思って集まってくるのです。
特に第3世界グローバルサウスと言われる、第3世界発展途上国はどの国も独裁政権が多いと言えます。そういったところの指導者からすれば、まずはBRICSに入ってチャイナと仲良くすると言って、チャイナから自分の国に多くの投資が来るのではないか、それで国内の経済が良くなるだろうと考えるのでしょう。
あるいはチャイナから直接経済援助とかもらえるのではないか、チャイナには14億の市場があるのだからそこに自分たちの国で作った製品や採れる原材料を売ってお金儲けできるのではないか、チャイナ市場に参入させてもらえるのではないかと想像を膨らませるのです。
もしくはチャイナからお金が降って来るのではないか、それが投資という形であるか援助という形であるかはわかりませんが、裏の政治家を買収する資金であるのかもしれません。ともかく、お金持ちのチャイナと付き合っていれば、あるいは経済が伸びていると言われているインドと付き合っていると良いことがあるのではないかという軽い気持ちで、とりあえず行ってみようという程度のことです。
これはAIIB(アジアインフラ投資銀行)のメンバーとしてイギリスのような先進国を含む沢山の国が加入したのと同じことだと思います。当時のAIIBを作った頃のチャイナは景気が良かったから、ここと付き合ったら何か良いことがあるだろうという思惑で集まった国が多いということであり、そこで何か大きな新しいことが起きるとか、そういうことではありません。
ここで申し上げておきたいのは、グローバルサウスとBRICSという塊がある一方でG7があって、それらを対立的に捉えるニュース解説なども多いですが、これは世界経済の実態からいうと合致しないです。
先進国G7の集まりがあり、G7の企業自体がグローバルサウスの経済が良くなって発展していけば、そこでまたお金が儲かるという仕組みになっています。
グローバルサウスと言っても技術もしょうもないわけだから、今のチャイナは鎖国政策に戻ってしまいましたが、今のインドがやっているように国を開いて自由貿易にして、自分の国の資源を売るとか、どの国でもある一番安い資源というのは労働力です。
やはり貧しい国には低い賃金でも働く人たちがいるため、そこに投資をしてもらって少しでも物作りをやって、それでもって国を豊かにしたいと思っているのは間違いありません。先進国の中から物作りが中心に移ってしまうと、先進国の方で失業が出てしまって困るという問題もあるのです。
しかし多国籍・無国籍企業というのは儲かればいいという発想だから、賃金も安くて人口が多いところに新しい製造業の拠点を求め、そこの生活レベルが上がればそこにも物が売れるし、自分たちのサービスも提供できるだろうということで、そっちに行くという構造になっています。
本来、先進国にとっても政治的な軋轢がなければ、南の国の未開発の人口は今後グローバルな資本主義が発展していく一つの方向性でもあるのです。
別にこれはBRICSやG7が対立するということではありません。本来の目的である経済発展ということで言えば、win-winの関係で行けるところだと思います。
今のBRICSは特に反米同盟のように捉えて、そこがG7の塊と対立するように捉えている論評が多いですけど、経済的に考えるとそういうものでもないというのを理解してください。
前途したようにBRICS自身の思惑が一致していません。それが第2国連的になるとか、国際的に一つの凝集力のある国際機関的なものになるというのは全くの幻想であると思います。
一方でBRICSの国が言っているように、戦後のブレトン・ウッズ体制という金融体制における世界銀行があり、IMFがあり世界の基軸通貨がドルであるという体制が随分と古びてきて、制度疲労を起こしているというのも事実です。しかし、それに取って代わる何か新しいものがBRICSにあるわけではありません。
かつて第一次世界大戦までは世界の基軸通貨はイギリスのポンドでした。第一次大戦と第二次大戦の間の基軸通貨という形で言うと、戦国時代でポンドは没落をしていきましたが、そこでポンドに取って代わる新しい通貨というのが生まれてきていたわけではないです。
そして第二次大戦後からは、ポンドからドルに世界の基軸通貨が変わりました。現代を見てみますと、ポンドにドルが取って代わったように、ドルに取って代わる対抗馬になるような新しい通貨、新しい国家ないしは国家群が生まれているかというと生まれていません。
BRICSはあまりにもバラバラです。チャイナ経済も今やあまりにも弱すぎます。長期的に考えて習近平さんの頭の中では人民元がドルに取って代わると思っているのかもしれませんが、そのような力はありません。
ロシアのルーブルはもっと小さな通貨です。これからドルの基軸通貨の力が徐々に落ちていくだろうということは言えても、ドルを否定してそれに取って代わる新しい基軸通貨が生まれる可能性は当面の間ないと断言していいと思います。そのことを頭の中に入れておいてください。
(了)
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①BRICS首脳会談――共同通貨構想の不発 :230913情報
BRICSについては、当ブログ『"新生BRICS"が世界にどのような影響を与えるのか?』 で、極めて肯定的な立場の人(投資家サイド)のレポートを掲載しましたが、今回は、国際政治学の学者がどう見ているのかの分析をお届けします。立場が違うと見方が大きく異なりますが、両者に共通するのは「金」の有用性についての言及があるのは驚きです。
BRICS首脳会談が8月22日23日とありまして、24日には拡大会議という名目で現メンバーではない国まで入ってきて、イベントとしては世界の注目を集めました。
このことに関して一番注目していたのは、共同通貨構想が出てくるのかどうかということでした。しかも、それが金本位制的なものなのかどうか、それを出した場合かなりのインパクトを国際為替市場・金融市場に与えるのではないかということが不安要素であったわけです。
それを一部の評論家といいますか、その予測する人たちの中でBRICSが共同通貨構想を出して、それが金本位制的なものであるとなると、ドルの信頼性が一挙に揺らいでドル基軸通貨体制が崩壊してしまい、それによってドルが暴落する、あるいは人によっては「ドル消滅」という言葉まで使っている人までいました。
私はそういうことはないという予測を繰り返してきたわけです。しかし、これについて皆さんは相当不安が大きかったようで、特に日本の投資家にとってはドルの地位は揺らがないと、非ドル化というのは長期的に大事なことであって、そういう現象が起きています。
例えば、第3世界の国同士で今まで世界の基軸通貨のドルを使って輸出入をやっていたけど、そういうことはやらないようにしましょうという動きが起きてきています。
それからチャイナとロシアも両方とも現在反米だから、貿易するのに前はドルを使っていましたが、ドルを排除してルーブルと人民元でやりましょうということになっているのです。
そして、経済規模はチャイナの大きいから人民元優位で貿易体制として輸出入が営まれるということになってきています。あるいは、イランも反米だから、イランとチャイナが貿易するときもドルは排除して、2国間の通貨だけでやるようにしましょうという形で進んできているのです。
そして、長期的にはドルの地位が徐々に世界の経済の中で揺らいでいるということは確かです。しかし、ここでBRICSの4カ国が一致協力して金位本位制で新しくドルに取って代わるような基軸通貨を出すという構想を出しています。要するにその後ろで黒子になって糸を引いているのがゴールドマンサックスという会社であるという図式になっていました。
しかし、ここのところに来てBRICSの思惑が一致しなくなっているわけです。そもそも中心になるチャイナにしても「BRICS共同通貨という面倒くさいものはいらないから、今後世界のドルに対抗する通貨は我が国の人民元である」という考えを挟んできています。当然これは、うまくいかないと思いますけども、習近平さんの考えからすればそうなっているのです。要するにBRICS通貨という中途半端なものを作る気はないと言っています。
ロシアもドル基軸通貨体制を揺さぶりたいというプーチンさんの気持ちはその通りですが、ロシアとチャイナでも思惑が違ってきているのです。それにロシアからすればチャイナの人民元経済圏に完全に吸収されてしまっては困ります。それが非常に大きな心配事であり、両国の人口も圧倒的に違いますし、下手すると東シベリア極東地方ロシアはチャイナに乗っ取られる可能性も出てくるのです。そういった危機感もあります。
それからインドはアメリカ、ヨーロッパ、日本とも仲良くやっていきたいし、他の第3世界とされるチャイナやロシアとも付き合っていきたいという、まさに漁夫の利を得たいということで反米・反欧米の旗を振る気にはなっていません。また、主催地になりました南アフリカも同様です。
南アフリカは、いろんなところのいいとこ取りをしたいと考えていて、ヨーロッパやアメリカに嫌われても困るという立ち位置になっていてBRICSの思惑が一致するわけがありせん。そこで共同通貨を出しましょうという考えにはならないのも当然です。
ブラジルのルーラ大統領の政権は左寄りとなっていて反米色が強いので、彼が演説で「BRICS共同通貨は将来大事になってくる」と言っており、このドルに取って代わるような存在にさせたいという希望を表明しました。しかし、BRICS共同通貨に対しての大きな言及や発表に関して、これからBRICS共同通貨を出すという表明などはありませんでした。ブラジルでも完全に不発だったのです。
今後この構想はくすぶっていくと思いますけど、このBRICSの5カ国が中心になって一致団結してBRICS共同通貨を作っていくということは政治的に不可能でしょう。本当に全く一致していません。ただし、進むのはドルを使わないで2国間貿易やっていきましょうという動きは着実に少しずつでも実務的に前進していくと思います。
チャイナからすればドルを使わせないで人民元をなるべく使わせたいというところでしょうが、現在人民元の価値が非常に危うくなっています。なぜならチャイナ経済が今、大不況にあるからです。そういった国の通貨を誰も持ちたがらないのは当然でしょう。このような背景があるためBRICS通貨構想はここで一旦完全に潰れたと言っても過言ではありません。
話題としては、これからも出てくる可能性はあります。チャイナやロシアがドル離れをしたいというのは当然のことですが、日本の国の投資家にとってドルが持っている重要性は一向に変わらないと思います。むしろ有事のドル買い、国際危機のときのドル買いということで、不安定要素が起きるとドルがまた強くなるという今までも起きていた現象が起きております。今後の日本の経済、アメリカの経済の動向を考えると、ドルに対して長期の円安の時代が来ているという考え方です。
また140円台から150円台が定着して、これが150円台から160円台になっていけば日本経済は安泰します。日本経済はGDPの高い成長率が望めるため、その方が日本にとっても経済全体が良い状況になります。そういったことを前提に、良いか悪いはともかくとして円安・ドル高の状況が長期的に続いていくでしょう。それは日本経済にとってプラスの良いことです。
このようなことを考えますと日本の投資家にとってドル通貨が持っている重要性、ドル建ての自分の資産の重要性、資産のある部分をドル建てに変えておくということの重要性は一向に変わらないと思います。今回それが再確認されたといっても良いのではないでしょうか。
これはチャイナの立場、ロシアの立場、ブラジルの立場などの観点からも、それぞれ全く違うからです。ドルに次ぐ国際通貨で頼りになるものはあるのですかと問われたら、私の答えはあります。
それはゴールド(金)です。金は貴金属であり、マテリアルであり、コモディティであるというだけではなく、これ自身が一つの国際的に有効な通貨となっています。だから、ドルに不安があるという方は金関係の投資をされると良いというのが私の答えです。それと同時に結局、金はドル建て資産であること、金が取引されるときの国債価格はドルで決まります。だから、金は国際通貨としての側面もありますけど、ドル建ての資産であるという側面もあるということです。
(つづく)
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身を守るということ :230912情報
かつてイザヤ・ベンダサン(山本七平)氏は、『日本人とユダヤ人』の中で、「日本人は、水と安全はタダだと思っている」と述べていました。1970年の出版ですからもう53年も経ちます。高いコストをかけて保険に入るユダヤ人と安全と水は無料が当たり前と考える日本人の対比が際立ってベストセラーとなりました。
ところが、この"神話"は、現代日本では既に崩れ去っているように見えます。以前考えられもしなかった凶悪犯罪が激増しているからです。
極端に言えば、「人を見たら泥棒と思え」という諺の「泥棒」を、「犯罪者」に置き換えなければならないのかと思うほど、他人を軽々しく信用しないでいったんは疑ってかからなければならないのかもしれません。
あるメルマガで「何度かテロに巻き込まれた」という経歴を持つ方が、「もし、事件やテロに巻き込まれてしまったら、助かるすべはあるのだろうか」という文を寄稿しているのを見て、大変面白かったので、許可を頂いて転載させていただくことにしました。
テロと護身術
サンフランシスコ空港より
飛行機に乗る度に思うことがある。本当に、この飛行機で大丈夫なのかと。私は、かなりの心配性なのだ。というのも、テロに何度か巻き込まれたことがあるので、身を守れるように常に用心をしている。
武器の帯品
しかし、私の運動神経では、護身術や武器の携帯は逆効果。だから、外出するときは、カギと一緒にホイッスル(緊急用の笛)を持参している。訓練をしていないと、事件に巻き込まれたとき、人はとっさに大きな声を出すことができないものだ。警戒や危険を知らせるために、笛を吹くことが効果的である。
群衆がパニックに陥ったとき、笛を吹いてから指示を出すと、うまく誘導することもできる。
地震が起きて、部屋に閉じ込まれてしまい、助けを呼ぶときも人間の声では限界がある。1時間も大声を出していたら、喉が枯れてしまう。地震ではないにしても、アメリカのエレベーターはよく停まるのだ。そんなとき、手元にホイッスルがあると心強い。
護身術
私の体力では、護身術は無理だと思っていたが、先日、スタンフォードで無料の護身術のクラスが開かれた。講師は、イスラエル出身の元警察官で爆発物処理班の精鋭。常に戦争が間近にあるイスラエル出身の警察官だけあって、性悪説にもとづいている。
身を護り、すぐ危険な場所から離れ、逃げるための実践的な訓練。強盗にあったとき、攻撃と防御を同時にして、難を逃れるにはどうすべきか。
リスクマネジメントに基づいた行動をたたき込まれ、被害者にならない対策を心がける。
あたり前のことだが、はじめての場所にきたら、避難経路や火災報知器などの場所を常に確認。事件が起きた際に、逃げるルートを確保しておく。怪しい人物がいたら、相手の目を見て、弱々しい態度をとらない。スリや強盗の心理からすれば、弱そうな相手をターゲットに選ぶ。
エレベーターや電車やバスでの乗車位置にも気をつける。
窓側の席ではなく、通路側にすわる。もし、窓側に座っていて、囲まれてしまったら、逃げられなくなってしまう。窓を破って逃げるのは至難の業。だから、常に入口に近いところに陣取る。
最後に、当然のことだが、危険な場所には近づかない。「群衆に交わらず雑踏に混せず」。これが大前提。
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ウクライナとロシアの継戦能力 :230911情報
ロシアがウクライナ侵攻を始めてすでに1年半が経過しました。NATOの強力な軍事支援があっても、ウクライナの反転攻勢が十分な成果を上げているかは、現状では言い難いものがあります。一方、ロシアでは民間軍事組織ワグネルの長であるプリゴジン氏の反乱が起きるなど混乱を増しています。
それでも、プーチン大統領もゼレンスキー大統領も戦争継続の構えを崩しません。国際社会にとっても、戦争が長く続くことによる負担は大きいものがありますが、果たして戦争は収まるのかは全く見えてきません。
そこで、国際政治の専門家に、ウクライナの現状、ロシアの現状から、両国の継戦能力を分析していただきました。大変興味深い話になっています。
ウクライナ政治危機——国防省更迭とコロモイスキー事件の真相
9月3日にゼレンスキー大統領がレズニコウ国防大臣を更迭すると発表しました。理由は、国防省内の贈収賄汚職事件です。今は戦争中のため、国防省が大量の食料や物資、兵器を購入しますが、そこで不正がありました。
西側から正式なルートで来た兵器を一部横流しして、ヨーロッパのアンダーグラウンドの世界に流しているというのです。腐敗した状態で金儲けに使われているなら経済援助も軍事援助もやる気が失せてしまいます。ウクライナ支援に対する支持率も落ちますからこの状態を正すために決断したということでしょう。
実は、これ以上に大統領の足元を揺るがす事件も起きています。
ゼレンスキー大統領の一番の支援者であるコロモイスキーさんがマネーロンダリングで起訴されました。2013年から2020年までに違法に獲得した5億フリブナ(約20億円)を自ら支配する銀行から国外送金して資金洗浄した疑いがあるとのことです。
ゼレンスキーさんとコロモイスキーさんは大統領になる前に14回も一緒に旅行するという深い仲でした。しかし、ウクライナがマフィア国家のような状態だと世界中からウクライナへの支援が集まりません。一定の規律を示さなければということでお世話になってきた財閥ではあるが起訴せざるを得ないとなりました。
このような汚職続きでは総力を結集してロシアと戦っているとは到底言えません。ウクライナの戦争継続能力がだんだんスタミナ切れになってきています。秋から冬にかけて、やむを得ず停戦・休戦を受け入れる状況にがってくると思います。
「ロシア経済」継戦能力はいかに――食料・エネルギー事情の実態
ロシア国家財政におけるエネルギー収入を見てみます。
ロシア軍のウクライナ侵攻で世界的に石油価格と天然ガス価格が跳ね上がり、ロシアの収入は一気に増えました。経済制裁などで下がった時期もありますがもう1回持ち直してきています。ロシアの戦争を続けるスタミナは結構あるということです。
次に世界の小麦輸出に占めるロシアの比率ですが、23年7月時点で去年最高の35%くらいに到達しています。2023年度のロシア産小麦の輸出量は過去最高になると予測されています。一方でルーブルの対ドルレートは確実に下がってきています。
ロシアの中央銀行は金利を一気に3.5%も上げました。この後金利を少しずつ下げていくことでロシア国債の値段が上がっていきます。その儲けを狙ってロシア国債を買ってくれる金融会社があるということです。国債を買ってくれたらルーブルの需要が高まるという為替操作のやり方をしています。
そのおかげで、戦争で下がりっぱなしかというとそうでもないのです。石油や天然ガス輸出もある程度順調、国内に食料はたっぷりあるし、外貨もしっかり稼いでいます。ロシアの戦争継続能力は結構しぶといものがあるのに対し、ウクライナの方はなかなか厳しい状態に追い込まれているのが現状です。
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悲観論者のアメリカ経済 :230909情報
アメリカ経済の行方について、いろいろ調べているうちに、ものすごく悲観的で、今にも「アメリカ経済が破綻するから、株式投資は避けよ」というレポートを見つけました。これを見ると、お先真っ暗に見えるのですが、妙に危機感を煽っているのではないかとも思えます。
危機の話は人間だれしも好むもので、アメリカの危機を煽りながら、最終的には「自分の推奨するアメリカ株を買え」という話になるのではないかと思いますので、いわゆるマッチ・ポンプなのではないかという気がしないでもありません。
一方で、これから紹介する記事は、反米感情の強い人にとって「それ見たことか」と共感を覚えるものになるのは確実で、反米主義者は、こういう記事ばかりを見て「アメリカはもう終わりだ」と言うと思いますので、「極めて悲観的なアメリカ」の記事を紹介し、反米主義者の思考回路にひたってみるのもいいかもしれないと思い、あえて「悲観論」を掲載してみます。
筆者は、当ブログの『2023年8月22日に備えよ!?』 の前半部分で「米ドルの価値が半分以下になる」、「そして何よりアメリカNo.1時代が終わる可能性がある」と予測している、CIA・ホワイトハウス・国防総省の元参謀であるジム・リカーズ氏です。
【被害額はユニクロの売上の5倍】:世界一の”万引き大国”?
これは”ある国”で日常的に行われている「万引きの様子」です。
・1日あたりの万引き件数は55万件。
・しかも、〇〇人の約11人に1人。約2,700万人が万引き経験者だそうです。
どこの国かわかりますか?
ちなみに、南アフリカでも中国でもありません。正解は…、アメリカです。
今、アメリカではこのような万引きが日常茶飯事。実際、全米万引き防止協会によると…アメリカでは1日平均約50億円、年間で約2兆円相当の商品が万引きされていると言います。一体なぜ、こんなにも万引きが横行しているのでしょうか?
それは、処罰がユルユルだから。現在、米国の38の州では、約13万円以上の窃盗は「軽犯罪」扱い。万引きで逮捕されるのは約48人に1人だけ。そのうち起訴されるのは半数にも満たないと言います。近くを通りかかった警官がそのまま犯罪を見逃すことも。お店によっては「万引きに気づいても止めてはならない」という社員規則すらあるそうです。
その結果、2022年には万引きの被害額が約14兆円に。これはユニクロで知られるファースト・リテイリングの全世界売上高の約5倍です。今では万引き対策として、冷凍食品にもカギがかけられ…スパムやマグロ缶でさえアクリルケースに入れられているそうです。
信じがたい光景ですよね。そして、当然この問題は企業にも大きな影響を与えます。事実…、世界一の小売店ウォルマートは、「万引きを理由に全米17店舗を閉鎖」。他にも、
・世界最大のドラッグストアチェーン ウォルグリーン
・世界最大の家電量販店 ベストバイ
・百貨店大手 メイシーズ
様々な大手小売企業が万引きによって店舗を閉鎖しているんです。でも、実はこれは「今のアメリカ」のヤバい一面に過ぎません。
他にも…
・64%の国民が「その日暮らし」をしている
・平均寿命はキューバ以下。寿命が2.7年縮んでいる
・世界で唯一【 銃の数>人口の数 】になっている
など、信じがたいデータがたくさんあります。そして何よりもヤバいのは…
次の金融危機は“いつ“始まるか?
「大手格付け会社 フィッチ・レーティングスが米国債の格付けを引き下げ」。先月、こんなニュースが流れた。
これが短期的に市場へ大きな影響を与える可能性は低いかもしれない。だが、もっと長期的に捉える必要がある。これは間違いなく「アメリカ経済の危機を示す1つの兆候」だ。デフォルト、ハイパーインフレーション、または長期にわたる不況が訪れるかもしれない。
また、別の大手格付け企業であるムーディーズは、より差し迫った脅威を予感させる「銀行の格下げ」を発表した。米国の中小銀行10行の格付けを引き下げ。さらに大手銀行6行についても引き下げの可能性があると警告した。その中には、
・バンク・オブ・ニューヨーク・メロン
・USバンコープ
・ステート・ストリート
・トゥルイスト・ファイナンシャル
などが含まれる。
さらにムーディーズは他の大手銀行11行の見通しをネガティブに評価している。同社はこうコメントした。
「2024年初めには緩やかな景気後退が見込まれる中、資産価値の低下が予想される。特に一部の銀行が抱える商業用不動産はリスクが高い。」
サブプライムローンは過去のもの
2007年から2008年にかけての世界金融危機は、住宅不動産業界のサブプライムローンによって引き起こされたと言われている。実際のところ、サブプライムローンは危機の一翼を担ったが、原因というよりむしろ現象であった。
本当の原因は、2006年から2007年にかけてのベン・バーナンキ氏(前FRB議長)による過剰な金融引き締めである。この理解がないため、金融専門家たちは住宅ローンと住宅価値の高騰を「金融危機の潜在的な原因」として見ている。
だが、これは見当違いだ。2009年以降、住宅ローンの融資条件はかなり厳しくなった。頭金は通常20%以上が必要だ。連帯保証人も求められる。必ずしも債務不履行を回避できるわけではないが、住宅所有者の自己資本によって損失を減らすことができるだろう。なので今、投資家は「住宅」ではなく「商業用不動産」に目を向けた方が良い。
金融危機の引き金は?
金融危機において異なるのは「どのように終わるか」ではなく、「どのように始まるか」だ。過去、金融危機は様々なきっかけからスタートしている。
・1987年のブラックマンデー:「コンピューター取引」
・1994年の危機:「メキシコ」
・1997年〜98年のアジア通貨危機:「アジアの新興市場」
・2000年のバブル崩壊:「ドットコム」
・2008年のリーマンショック:「サブプライムローンの債務不履行」
そして次の金融危機は、「商業用不動産のデフォルト」が引き金になるかもしれない。リスクは消えたのではなく、単に移行しているだけなのだ。今回に関しては、サブプライム住宅ローンについて心配する必要はない。しかし、商業用不動産には注意を払った方がいいだろう。これが次の世界金融危機の前兆になるかもしれない。
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中国を黙らせる方法 :230908情報
処理水放出、なぜ中国だけが怒り狂うのか、それは、中国の支配層にとって、さまざまな問題を口実にして反日感情を煽ることで、中国の庶民にもたらす効能、中国の社会政治体制に果たすその機能があることを知っているからに他からにほかなりません。
ただし、今回のそれにもかかわらず日本の海洋放出を「無責任」と断じるばかりで、処理水の安全レベルという肝心要なポイントについては言及していません。とくに、IAEA(国際原子力機関)の調査団が検証を行い、処理水の放出は「国際的な安全基準に合致」し、人や環境への影響は「無視できる程度」と結論付けた事実をひたすら無視する態度に終始しています。
ということは、ここに中国の論理の脆弱性があるという証明でもあります。
当ブログでたびたび登場する国際問題の専門家である北野幸伯氏もこの点を強調しています。そこで、今回、同氏の許可を頂き、「処理水問題で中国を黙らせる方法」を引用させていただきます。
▼「説得力」が大事
私が話していることは、いきなり言われたら、「陰謀論者!」「トンデモ系!」と思われそうな内容です。しかし、私はきちんと証拠を挙げながら話すので、「陰謀論者!」とか「トンデモ系!」と言われたことは一度もありません。
「証拠を挙げながら」とはどういうことでしょうか?
たとえば、「中国は、『反日統一共同戦線構築』を、ロシアと韓国に提案しましたよ!」といきなり書いたらどうでしょうか?
「陰謀論者!」、「トンデモ系!」、「反中の極右!」などと批判されまくり、まともに相手してもらえなくなるでしょう。
では、「中国は、『反日統一共同戦線構築』を、ロシアと韓国に提案しましたよ!」、「その証拠 です(必ず証拠をみてください。)」とすればどうでしょうか?
この証拠を見た人は、「北野という人は、トンデモ陰謀論者だと思っていたが、本当だったのだ」と一瞬で意見を変えます。そして、内容をじっくり読むでしょう。
すると中国は、2012年11月時点で、
・ロシアと韓国に「反日統一共同戦線」構築を提案していた。
・「反日統一共同戦線」の目的は、中ロ韓で、「日本の領土要求を終わらせること」である。
・日本の要求を退けるべき領土は、北方4島、竹島、尖閣、そして【 沖縄 】である。
・中国によると、日本に【 沖縄の領有権はない!!! 】
・「反日統一共同戦線」には、【 アメリカ 】を引き入れなければならない。
証拠を突きつけられた人たちは、中国の恐ろしさに恐怖するでしょう。私もそうでした。
一部の人は、考え始めるでしょう。「なんとかしなければ」と。私の場合は、「メルマガ、本、記事でこの事実を広く拡散しよう」と決意しました。そして、2012年から2018年にかけて、私はひたすらこのことを書きつづけたのです。
幸い、安倍元総理が、「反日統一共同戦線」を無力化してくださり、危機はひとまず去りました。しかし、中国の日本への悪意は止まりません。今回の「処理水問題」でも、中国の本質が見えています。中国は、日本の何倍もトリチウムを出しながら、日本に対し、「汚染水をたれ流すな!」と非難。世界中に「日本は悪だ!」と宣伝しまくっているのです。
これをどうすればいいのでしょうか?
▼IAEAのお墨つきを強調しつづける
日本は、情報戦で中国に勝つ必要があります。その為のポイントが二つあります。一つは、「処理水」について、「国際原子力機関(IAEA)が『安全だ』と『お墨つき』を与えている」ことを、100万回強調することです。相手が「うざったい」と思うほどに、強調しつづけるのです。
そして、「言いっぱなし」ではいけません。「中国が反日統一共同戦線を創ろうとしています」と言っただけでは、誰も信じてくれないのと同じです。もっと詳細な事実を示すのです。
日本政府は、国連総会、国連安保理、G20などで中国がこの問題を非難した時に、「中国の批難は到底受け入れられない。日本はすべて国際基準に合致して処理水の放出を行っている」などと、不親切で愚かな説明をしてはいけないのです。
「福島第一原発の処理水放出については、IAEAと緊密な連携をとって進めています。IAEAのグロッシ事務局長は7月5日、福島を訪問してくださり、『最後の一滴を安全に放出し終わるまでIAEAは福島にとどまる:』と約束してくださいました。そして、IAEAは7月、日本の処理水放出計画について『国際的な安全基準と合致している』とする報告書を発表しています。
皆さんにお配りしたのが、その報告書のコピーです。熟読していただければ、中国の主張が嘘であり、日本の処理水放出が安全であることを、IAEAが保証していることをご理解いただけるでしょう。」
こんな感じで説明したらいいでしょう。そして、実際にIAEAの報告書のコピーを、各国の代表に配るのです。
皆さん、「反日統一共同戦線」の記事を見た時、はじめて「本当なんだ」と理解したでしょう。だから、「安全の証拠」であるIAEA報告のコピーを広く拡散する必要があります。
繰り返しになりますが、もう一つ大切なことは、「日本はIAEAと緊密に協力しているし、処理水放出については、IAEAからお墨つきを得ている」という事実を、100万回でも繰り返すことです。
中国は、「ウソも100万回言えば本当になる」ということで、毎日毎日、「日本は汚染水を放出している」と繰り返しています。だから日本も、真実を100万回言うべきなのです。
▼中国自身がやっている事実を遠慮なく伝えること
日本が、情報戦で中国に勝つポイント二つ目。日本は、中国自身がトリチウムを大量に排出していることを
全世界に伝えるべきです。
以下のページ、9分42秒を見ると、各国の排出量が示されています。➡
https://news.yahoo.co.jp/articles/91ec43ee5e9536b5b199672a17d8381c215d2237
これによると、日本が今年放出する予定のトリチウム量は22兆ベクレル。一方中国の陽光原発は2021年、その5倍にあたる112兆ベクトルを排出しています。この話、しょっちゅう日本のテレビでやっているので多くの国民が知っているでしょう。しかし問題は、「全世界の人はほとんど知らない」ということです。
日本政府が黙っているせいで、世界中のかなり多くの人たちが「日本だけが、原発の汚染水を海に放出している」と勘違いしているはずです。だから、日本は、国連総会で、国連安保理で、G20で、その他の場所で、100万回でも言わなければなりません。
「中国の代表は今、『日本は汚染水を海に垂れ流しにしている』と非難しました。『汚染水』というのは、トリチウムが含まれているからいうのでしょう。皆さん、今から中国の驚くべき偽善を暴露します。日本を批判する中国は、日本の何倍ものいわゆる『汚染水』を海に放出しているのです。
たとえば中国の陽光原発は2021年、112兆ベクレルのトリチウムを排出しています。これは、日本が今年排出する予定の5倍にあたります。そんな中国に日本を批判する権利はありません。批判されるべきは、自分がやっていることを国民と世界に隠して、不当に日本を非難する中国自身です!」と。
ポイントですが、日本は、他にもトリチウムを排出している、イギリス、フランス、カナダ、韓国などを批判しないし、名前も出さない。もし中国が、「いや中国よりも、イギリス、フランス、カナダの方が出している」と言い始めたら、思うツボです。
この戦いは、中国が日本を一方的にいじめる構図から、日本、欧米 対 中国の戦いに転化する。中国が日本の5倍以上トリチウムを排出している。この事実も、証拠を挙げつつ100万回繰り返すべきです。
私は、日本政府がこの事実に触れず、自信なさげに「国際基準に完全に合致している」などと言っていることが本当に理解できません。日本は、「南京大虐殺問題」「従軍慰安婦問題」などで情報戦に負けまくっています。
「処理水問題」では、きっちり情報戦に勝利し、中国をだまらせてください。今回の内容、是非岸田総理にお伝えください。中国に情報戦で勝てれば、岸田内閣の支持率もアップすることでしょう。
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日本の左翼は商売上手 ―新しい金のなる木はジャニーズ事務所:230907情報
いつもの国際政治の話とは趣が異なりますが、今メディアが騒いでいる問題の一つに「ジャニーズ性被害者」問題があります。
一大スキャンダルで芸能界にあまり関心がない私も報道で知ることとなり、被害者の悲痛な叫びに 心を痛めていたのですが、国連人権理事会なるものが記者会見を開いたころより、これに対してものすごい違和感を抱き始めました。
なぜなら、国連人権委員会(当時)の勧告によって韓国の「従軍慰安婦」騒動を大きくさせた要因の一つでしたが、今回の騒動もそのときと同じ構造になっているからです。
「従軍慰安婦」問題は、弁護士の戸塚悦朗氏【※1】が国連人権委員会(当時)で、戦時強制連行問題と「従軍慰安婦」問題を提起し、慰安婦を「軍性奴隷制」と認定させ、対日補償請求運動を燃え上がらせたのです。今回の人権理事会の勧告もジャニーズ問題に火をつけたことは言うまでもありません。
【※1】戸塚悦朗:「強制従軍慰安婦」、韓国人 慰安婦の対日補償請求運動を支援し、1992年2月国連人権委員会で、NGO「国際教育開発」の代表として初めて提起し、日本政府に責任を取るよう求め、国連の対応をも要請するなど、今日の日本の慰安婦問題に多大な影響を与えた。また、慰安婦の呼称として「性奴隷(Sex slaves)」を提唱し、日弁連や国連に使用を働きかけた。内縁の妻は元挺対協(現:正義連)山下英愛文教大学文学部教授。
現在のジャニーズ問題も、慰安婦問題の騒がれ方と全く同じになりました。しかも、この問題を騒ぎ立てる人たちは、被害者のことよりも、慰安婦財団をつくったように被害者救済基金・財団を作ろうとすることが主目的になっています。そこには、ジャニーズからお金を簒奪して、反日団体・反日活動に資金を吸収しようとする思惑が透けて見えるのです。
事実、ジャニーズ性加害被害者の会の支援をしているのは、キボタネ(北朝鮮がつくった韓国の慰安婦団体・正義連の日本支部)や、有志の団体・PENLIGHT(国や都を騙して公金を左翼活動に使う仁藤夢乃さんとその愉快な仲間)で、被害者救済は二の次のようです。
その強い影響からか、代表の平本氏は、「僕は財団作ってくれませんか?みたいなお願いをしたんですよ。毎年ジャニーズから3%売上くれれば、相当数の被害者救えるんじゃないっすか?って林さんとね」と。
「一生金銭保証しろ」と言っているに等しいのも、誰かさんたちの入れ知恵であることは間違いありません。
慰安婦問題がでっち上げがばれて金にならなくなったいま、ジャニーズ問題は左翼にとって新しくて、おいしくて、お金をチュウチュウできる大きな金脈に見えるようです。こういうところの金銭感覚は左翼ほど優れているのは確かです。「生かさぬよう、殺さぬよう」被害者に「寄り添って」いくことでしょう。そのうち、「国家賠償を」というかもしれません。
なお、ジャニーズ問題そのものについて、私は門外漢ですので、エンポリオさんのX(旧ツイッター)から、ジャニーズ問題の現状まとめの投稿を引用します。
エンポリオ @diver_down_fly ジャニーズ問題の現状まとめ(23/8/29)
※全部ジャニーズファンによって暴かれる
※現在まで性被害の証拠は無く、警察や司法すら届け出していません
故・ジャニー喜多川氏⇨1974年に直腸がんの手術をして直腸を全摘し、人工肛門後に性機能障害を訴えておられます。今後すべての証言に対し事前にこの知識を前提として見ていくと理解がより進むと思います
https://onl.bz/tFH2tqC
カウアン⇨在籍時にジャニーさんは大病で車椅子生活。入退院を繰り返す。元恋人へのDVと同僚への恐喝、脅迫、借金で係争中
https://onl.bz/fpUevdF
性被害の証拠があると、ひろやきや青汁王子らと公言していたが、未提出のまま時効期限に近づく
https://onl.bz/vXb6F3r
カウアンのエッチな裏垢がバレる http://onl.tw/zuKug7T
橋田⇨性被害を受けた日は横アリに出演しており、性被害現場に居なかったことがファンによって判明https://onl.tw/KMeSnF7
橋田くん入所日から現在までの調査https://onl.tw/ukHU3RT
橋田「性被害以外は文春に創作された」との声明を残しジャニーズ問題から離脱。他の証言も疑われることになるが文春は沈黙
https://onl.bz/3vz1VJZ
二本樹⇨騒動前からペンライト(ジャニーズファンの体裁をした韓国慰安婦問題の活動家達)のメンバーとつながりがあったことがバレる
https://onl.tw/arpGzS3
二本樹くんの同期の当時の状況説明 https://onl.bz/6JQxjQb
服部⇨初証言から年齢や性行為の内容が毎回変化。性行為の回数が2年で数10回⇨200回以上など。ファンに指摘されては証言を変えることを繰り返す。ジャニー氏はこの時期朝鮮戦争へ米国側で出兵しており証言の性行為の回数はほぼ不可能な状況にhttps://onl.bz/76h7C6S
服部家のご子息はジャニーズ事務所の舞台へ仲良く出演を続ける
https://onl.bz/i5d2Gyg
志賀⇨入所時点で嫁と子供が居て隠して入社するもバレてクビに。その後ファンからお金を募って逃げた事もファンによって判明
https://onl.tw/q8bdJiW
平本⇨事務所退所後に「新・光GENJI」というパクリグループを始めジャニーズに注意される。その後ジャニーズjrの自宅住所を公開する「おっかけマップ」作成。深刻なストーカー被害となり出版社社長が謝罪&出版停止になる
https://onl.tw/ZqEYtPP
平本が騒動前に「ジャニーズへの入り方」を指南し、実弟も入所させてたことがバレる
①https://onl.bz/83TBu82
②https://onl.bz/4QUwu5B
平本氏、ジャニーズからの聞き取り調査後にSNSやブログを閉鎖
https://onl.bz/ZC2jcrc
石丸⇨インスタを調査された所、生活保護受給者にも関わらず高級車の購入、高級外食などの贅沢三昧な生活が記録されており通報される
https://onl.bz/LnB7e4U
うっかり性被害者の会とマスコミで盛大な打ち上げ会をしてた事を話しちゃう石丸さんhttps://onl.bz/Gf1b1hv
うっかり「一生中流階級の生活が出来るお金が欲しい」とブログに書いてしまう石丸さんhttps://onl.bz/tiRPB42
うっかり在籍期間を3年しか居ないのに6年居たと言ってしまう石丸さん
https://onl.bz/FYQvnY7
うっかりジャニーズの性被害者が1万人以上と言ってしまう石丸さん
https://onl.bz/2ArDQwP
中村⇨本人のインスタやjr名鑑からレッスン生と判明。地方の会場には出れず、地元の会場に出るもチケットとパンフを保存してたファンによって名前が載らない賑やかし要員とバレる。会場から直帰なのでホテルには泊まらず
https://onl.tw/QskX5tq
インスタを調査された所「俺の古い仲間たち」と言う投稿で人気メンバーの等身大パネルと肩を組む写真を取りファンを恐怖に落とす
https://onl.tw/AK8hB9A
ペンライト⇨ジャニーズのファンが作った被害者支援団体の体裁だったが、Kpopファンの韓国慰安婦問題の活動家達だとバレる
https://onl.bz/F5bWU1N
ペンライト詳細な解説⇨
https://onl.bz/C3KRAmA
ジャニーズは過去は性被害を認めた⇨認めておらず文春が敗訴して賠償金を支払っていますhttps://onl.tw/mg6tBSv
文春⇨元ジャニーズのsnsに「自分の事ではなくても、噂でも良いので」と悲痛なDMを送ってることが晒されるhttps://onl.tw/RKTUYGS
国連&政府⇨そういう疑惑があるなら証言ではなく、証拠と法に基づいて裁判してください。と相手にもされず。この国連は韓国慰安婦で有名ないつもの所①https://onl.bz/ig5UYWC
②https://onl.bz/tGrfyhF
元マネ⇨関口律郎とすぐに特定される。ジャニーズ事務所が再発防止チームで名指しで調査すると明言し2日で終了してしまう
https://onl.bz/YZiYgnV
新メンバー⇨証言が初日にファンに覆される状況が続いており、紙面を賑わせる以外で何の意味も無いため除外致しました。直近の新メンバーの矛盾
①https://onl.bz/SLx5PKA
②https://onl.bz/zkr9KLP
最終更新 午前2:52 · 2023年8月29日
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②ロシア・ウクライナ戦争の落としどころ
――あらゆる可能性を読む:230906情報
昨日からの続きです。
▼今後の可能性
状況は常に移り変わっていて、未来も確定していません。そのため、常に複数の可能性が存在しています。いくつかの可能性を見てみましょう。
・ウクライナが反転攻勢に成功する?
ウクライナが劣勢なのは事実です。しかし、南部では前進をつづけているようです。
(@ウクライナ軍の狙いは、ルガンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソン、クリミアと続く陸路を分断する。クリミア大橋を破壊して、クリミア孤立させ奪還することでしょう。)
『NHK NEWS WEB』8月27日。
〈南部での反転攻勢を続けるウクライナ軍について、ロイター通信は26日、南部ザポリージャ州のロボティネを奪還したとする部隊の指揮官の話として、ウクライナ軍がロシア軍の最も強固な防衛線の一部を突破したという見方を伝えました。
部隊の指揮官はロイター通信の取材に対し「われわれは地雷が埋められた主要な道路を通過した。ここからはより早く進むことができる」と述べて進軍のスピードが今後、早くなると自信を示しました。
また、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も26日に「ウクライナ軍は最も困難と考えられているロシア軍の防衛線を突破して前進している」と分析しています。〉
ーー
というわけで、ウクライナが反転攻勢に成功する可能性は、まだあります。
・プーチンの死がウクライナを助ける?
プーチンの健康状態について、元モスクワ国際関係大学教授のソロヴェイ氏や、SVR将軍は「死が近い」と断言しています。ソロヴェイ教授によると、「プーチンは、一人ではズボンもはけない状態」だとか。
「いやいや、しょっちゅう元気な姿がテレビに出ているでしょう?」こう思う人が大半でしょう。ところが、このお二人は、驚くべきことを語っています。
「プーチンはもはやどこにも行けない。今活動しているのは、プーチンの「影武者」だ!」と。「トンデモ、トンデモ、トンデモ、トンデモ~~!!」、こんな声が聞こえてきます。
しかし、日本以外の国々で、「プーチンに影武者がいる」説は、「一般的」になりつつあります。たとえば、『ニューズウィーク』のような、「真面目な」媒体でも、取り上げられている。
『ニューズウィーク日本版』8月27日。
〈習慣や外見だけでなく、身長まで変化。経済学者でジョージタウン大学非常勤教授のアンダース・オースルンドは、「同時刻に『プーチン』が違う場所に現れたり、動きに明らかな違いがあったりする。そして今度の『プーチン』は、どちらに時計をはめているか分からなくなっている。主要メディアは、プーチンが影武者を1人か2人使っていると指摘すべきときだ」とXに投稿した。〉➡ 全文
ーー
上の二つは、ウクライナと、同国を支援する日本にとって「よいシナリオ」と言えるでしょう。
では、悪いシナリオは?
・イスラエルーイラン戦争勃発の日が迫り、バイデンはゼレンスキーに停戦を強要する。
上記のような、最悪の「4正面作戦」を回避するためには、常に「個別撃破」を心がけなければなりません。それで、「ウクライナ問題を片づけて、中東にむかう」ということになるでしょう。
それができれば、中国が台湾侵攻に動く可能性を減らすことができます。
・2024年11月の大統領選で、トランプが勝利。トランプは、「自分が勝利したら、ウクライナへの支援を真っ先に止める」と宣言している。有言実行の彼は、実際にウクライナ支援を止める。
トランプさんは、2016年に選挙で勝利した時、共和党のメインストリームではありませんでした。それで、2017年に大統領になった後も、大好きなプーチンとの関係を好転させることができなかった。ところが、トランプさんはその後、共和党支配を実現しました。
ですから、彼がもう一度大統領になり、「ウクライナ支援を止める」と決めれば、そうなる可能性が高いです。というわけで、ゼレンスキーは、
・年内に中東戦争がはじまる可能性が高まり、二正面作戦を嫌がるバイデンから停戦を強要される。
・それがなくても2024年11月にトランプが勝ち、支援を打ち切られる。
この二つのリスクがあります。
それで、冬がはじまる前に、大きな戦果をあげておきたいところでしょう。繰り返しますが、その可能性はあります。
冬までに大きな戦果をあげることができなければ、ウクライナとロシア、今支配している場所で、とりあえず休戦、になる可能性が高まります。
私自身は、ウクライナが反転攻勢に成功し、奪われたすべての領土を取り戻すことを願っています。
(了)
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① ロシア・ウクライナ戦争の落としどころ
――中東情勢、米大統領選も影響か:230905情報
ロシア・ウクライナ戦争について、元戦争特派員のトーマス・リックス氏は
「戦闘の取材は危険だが、比較的簡単だ。見聞きしたことを書き留めるだけでいい。しかし、戦争を正確に取材するのははるかに難しい」、「戦略、兵站、士気など、しばしば観察することができないものをある程度理解する必要があるからだ」
と述べています。
今、私たちが目にする情報は、ウクライナ・サイドの物が多く、ウクライナの反転攻勢でウクライナが勝利するのではないかという話がすう勢だと思うのですが、実際のところはわかりません。ただ、ウクライナが勝利しなければ、中国の台湾侵攻が現実問題となるだけに気が気ではありません。
そこで、ソ連崩壊時にモスクワにいてロシア事情を知り尽くしている専門家に、ロシア・ウクライナ戦争の落としどころ、そして、それに関連した中東情勢、アメリカ大統領選、アジア情勢を含めて、あらゆる事態を想定した解説をお願いしました。
▼ゼレンスキーとプーチンの望み
まず、ゼレンスキーとプーチンの望みを理解しましょう。ゼレンスキーの望み。これは、間違いなく、「ロシアに奪われているすべての領土を取り戻すこと」です。具体的にいうと、ルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州、そしてクリミア。
ロシア軍が州のほとんどを支配できているのは、ルガンスク州だけです。
次に、プーチンの願いを見てみましょう。
彼は当初、「全ウクライナの支配」を狙っていました。最初から首都キーウに進軍したことでわかります。しかし、首都陥落がかなわなかったので、「今支配している場所をロシア領とすることで停戦したい」と要求が変わりました。(@ロシアは昨年9月、上記4州を勝手に併合しています。)
まとめると、ゼレンスキーは、すべてを取り戻したい。プーチンは、今支配している場所をロシア領にして終わらせたい、となります。
▼戦況は?
次に、戦況はどうなのでしょうか?
今年の1月、プーチンは、ゲラシモフ参謀総長をウクライナ特別軍事作戦の総司令官に任命しました。彼は、「ハイブリッド戦略」で世界的に有名な人物です。つまり、プーチンは今年はじめ、「最終兵器」を投入したのです。
プーチンは、「3月中にルガンスク州、ドネツク州のすべてを制圧せよ!」と命令しました。ところが、ゲラシモフは、成功しませんでした。ロシアは、防衛戦の準備を開始します。6月からウクライナの反転攻勢がはじまりました。
皆さんご存知と思いますが、ウクライナ軍は苦戦しています。なぜでしょうか?
大きな要因が二つあるでしょう。一つ目は、地雷です。大量の地雷のせいで、ウクライナ軍はなかなか先に進めません。二つ目は、航空優勢をロシア軍が確保していることです。
▼欧米は?
ウクライナ戦争について、決定的な事実があります。それは、「ウクライナは、欧米からの支援なしでは、絶対にロシアに勝てない」ということです。つまり、ウクライナの運命は、「欧米がどこまでウクライナへの支援を継続できるか」で決まるのです。
では、欧米はどうなのでしょうか?
欧州は分裂しています。ロシアからの脅威をあまり感じない国々、たとえば、ドイツ、フランス、イタリアなどは、「ウクライナが領土を一部失っても、はやく戦争を終わらせたい」と考えている。一方、「プーチン・ロシアを打ち負かそう」と考えているのが、ロシアから近い国々。たとえば、バルト三国やポーランドなど。そして、イギリス、アメリカです。
▼アメリカは?
アメリカのバイデン大統領は、戦略的に見て、「ロシアを打ち負かさなければ」と考えていました。どういうことでしょうか?
もし、欧米が支援するウクライナがロシアに負ければどうなるでしょうか?
習近平は、「欧米が支援するウクライナは負けた。俺が台湾侵攻を決断しても、欧米が支援する台湾に勝てるだろう」と考えるでしょう。台湾侵攻 = 日米台 対 中国 の戦争の可能性が高まります。
▼「4正面作戦」を強いられるアメリカにとって最悪のシナリオとは?
というわけで、バイデンは基本的に、「ウクライナが勝つまで支援する」という姿勢です。ところが、状況は常に変わります。バイデンが、心配な状況が発生してきたのです。なんでしょうか?
「中東戦争勃発の可能性」です。具体的には「イスラエル・イラン戦争」です。なぜ?
米英仏独ロ中は2015年、イランといわゆる「核合意」を成立させました。ところが2018年、トランプさんが核合意から離脱し、イランへの制裁を復活させた。これにブチ切れたイランは、ウラン濃縮度をあげていきます。そして、核兵器製造に必要な「90%」に迫っているのです。
『NHK NEWS WEB』3月1日。
〈IAEA=国際原子力機関は、イランの核施設で濃縮度が84%ほどの高濃縮ウランが見つかったとする報告書をまとめました。イラン側は「意図しない濃縮が起きた可能性がある」としていますが、ウランの濃縮度は、90%以上になると核兵器に転用可能とされていてIAEAが状況の確認を進めています。〉
ーー
日本を代表するリアリスト・伊藤貫先生によると、
「イランは年内に核兵器を保有する可能性が高い。しかし、イスラエルは、イランが核兵器を保有する前に戦争を開始する可能性が高い。さらに、アメリカはイスラエルと共にイランと戦うことになる」
というのです。
そうなると、アメリカは、ウクライナと中東で「二正面作戦」になってしまいます。これは、「困った事態」でしょう。しかも、「さらに困った事態」が起こり得ます。何でしょうか?
ウクライナ戦争、中東戦争が起こっているタイミングで、中国が台湾に侵攻したら? アメリカは、「三正面作戦」で勝てるでしょうか? おそらく無理でしょう。
さらに、習近平が金正恩に、「今なら米軍は動けないから、南進して韓国を併合しちゃいなよ!」とそそのかしたら?
ウクライナ戦争、中東戦争、台湾戦争、第2次朝鮮戦争、アメリカは、「4正面作戦」を強いられ、敗北する。こんな悪夢のシナリオが、いま存在しています。
とりあえず、アメリカは、中東戦争が現実化しそうになった時点で、ゼレンスキーに事情を伝え、停戦に動くよう強要するでしょう。
「強要する」というのは、「中東で戦争が起こりそうだから、これ以上支援を継続するのが難しくなる。そうなると、ウクライナの敗北は決定的だぞ」と。こういう状況になると、「落としどころ」は、ウクライナは、ロシアが一方的に併合した4州とクリミアをロシア領と認めない。現在の支配地域で軍事行動をストップして停戦。といった感じになるのではないでしょうか。
(つづく)
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ドローン、中国から台湾の時代に :230904情報
8月26日、台湾の上空に中国軍のドローンが2機現れました。ドローンは台湾の周囲を反時計回りに回って中国側に引き返していったそうです。その前日にも、北東部空域に中国のドローンの侵入が確認されています。中国軍は最新の技術を最大限に駆使して台湾を偵察しているようです…
しかし、中国情勢に詳しい台湾独立運動家によると、中国軍のドローンの性能それほど高くないのだそうです。むしろ、中国よりも台湾の方が優れた製造技術を持っていて近いうちに台湾が中国を超えて「世界最強の軍用ドローン生産基地」になるといいます。今回は台湾のドローン産業についてお聞きしました。
◼︎世界シェア8割の中国ドローンの“弱み”
世界ではドローンの軍事使用が当たり前になってきています。なぜならドローンは偵察だけではなく、攻撃にも使えるからです。防空網などをくぐり抜けて攻撃も偵察もでき、ミサイルや戦闘機と比べると、かなり安価。しかも、短期的に大量生産できるという事も含めて、ドローンには様々なメリットがあります。
しかし、今、世界一のドローンの生産大国は、嫌われ者の中国です。例えば、中国のDa-Jiang Innovations(略称DJI)という1社だけで、世界の民間用ドローンのシェアのおよそ8割を占めています。民間用だけではなく、軍事用ドローンも小型のものから大型のものまで大量に生産しているのです。
そんな中国製のドローンには弱点があります。それは、通信システムが弱いところです。
ドローンは飛ばすだけでは役に立ちません。機体を飛ばして目的地を攻撃や偵察するために、通信システムが絶対に必要です。いくらよく飛べても、いくらスピードが速くても、自分の思い通りにできなかったら意味がありません。
では、なぜ中国ドローンの通信システムは弱いのか? 理由は簡単です。
中国は最先端の半導体の生産ができないからです。最先端の半導体の生産は台湾が握っています。台湾が中国に売らなければ、中国のドローンに最先端の半導体を使う事はできないため、当然その通信機能が弱くなるのです。
◼︎実は凄い!台湾のドローン技術
あなたは台湾のドローンの製造能力がどのくらいあると思いますか?
基本的には台湾の民間用ドローンは100%台湾国内で製造できます。つまり台湾がドローンを作ろうと思えば、別に外国から部品を輸入する必要がないのです。
台湾の最先端・半導体生産は世界一で非常に高い製造能力と信頼性を持っています。政府・民間は軍用ドローンの分野においても参入意欲がある状態です。
しかし、「軍用」ドローンの国産の割合は70%、残りの30%はアメリカに握られています。軍用ドローンの場合は、軍事衛星と連携する必要がありますが台湾はその部分が弱いのです。また、台湾では軍事用ドローンが撮影する映像を安定させるための機械を生産できません。それらの部分が、「残りの30%」になっています。
◼︎台湾が「最強のドローン最大生産基地」に
これら台湾の課題を克服するために、アメリカの協力は不可欠であると言えるでしょう。幸いにして、アメリカ側も台湾から協力してもらう必要があります。両者の利害はこの時点で一致しました。
実は2023年5月1日に、アメリカの前太平洋海兵隊の司令官であるスティーブ・ラチェス中将がイギリスも含めた25社の非常に有名な国防産業を率いて台湾に訪問したのです。この目的はたった一つ。台湾で本当に武器を生産できるかを視察することです。
ウクライナ戦争でドローンの量が重要だと証明されました。戦争になったら1国で製造するのでは間に合いません。さらに、アメリカで作るドローンの部品は、中国に依存している状態です。一刻も早く中国サプライチェーンから脱しなくてはなりません。
そして、中国のサプライチェーンに成り代わって担う事ができる国は台湾だけです。アメリカと台湾との協力関係ができると五つの結果を生み出す事ができます。
① 超高性能の軍用ドローン
ほぼ間違いなく米台協力によって、台湾で世界一高性能のドローンを開発・製造できるようになります。世界一の軍事技術を持つアメリカと、世界一のドローン製造能力と半導体を持つ台湾、米台が持つ長所・短所をお互いに補完できるような関係が成り立つのです。
② 台湾が“民主国家専用”の軍用ドローン基地に
民主国家陣営と独裁国家陣営が対抗する時代になっていくなか、対抗する相手(中国)から日本、アメリカ、フランス、イギリスなどがドローンを買うと思いますか? 普通に考えて買えないでしょう。台湾が中国に成り代わってドローンを製造できるようになれば武器サプライチェーンの問題が解決できます。
③ アメリカのAI技術 × 台湾の最先端半導体 敵を攻撃するドローン製造が可能に
アメリカのAI技術と、台湾の最先端の半導体が合わされば、映像の分析だけではなく、判断・指揮・攻撃まで実行できるドローン軍団ができるでしょう。
④ 大量に&安く生産
今は沢山の民主国家が中国から軍用ドローンを買っています。東南アジアも中東も含めて、安くて大量に買えるところは中国の他にない状態です。ですが、今度は台湾で大量に安く生産できるようになります。
⑤ 台湾と世界がより安全になる
これから台湾製のドローンが全世界で使われて、台湾と世界との連携がさらに強化されれば、攻撃面でも、連携の面においても台湾と世界の安全が守られることに繋がります。今はまだスタートしていませんが、この動きを見ればわかる通り、間違いなく台湾は世界の軍用ドローンの最大生産基地になるでしょう。
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③習近平独裁の風景 :230903情報
昨日 からの続きです。許可を得て転載しています。
■6.見捨てられている消費者、労働者
中国政府、国有銀行、不動産業者はマネーゲームを続けていけますが、実態経済の方ではさすがに
タワーマンションの建設が続けられなくなったり、新規案件がなくなったりします。
国家統計局の発表では去年1年間で、中国全国の住宅の販売面積は24.3%減、売上総額は26.7%減と激減しています。中国の統計は何割か粉飾されているので、実態はもっと悲惨でしょう。
また、消費者にとって不幸な点は、中国のマンションは完成前に購入し、頭金を支払いをします。したがって、不動産業者の方で資金繰りが苦しくなって、建設が止まってしまったら、代金は払っているのに、物件は完成しない、ということになります。
恒大集団のマンション販売だけでも、すでに頭金を支払ったのに入居できない人が160万人。中国全体では、1000万人以上だろうと言われています[宮崎、p155]。テレビでも消費者がデモをしている光景が映し出されていますが、これが理由です。
しかもマンション購入のためのローンなどで、中国国民は借金漬けになっています。現在の中国の家計の負債率(収入に対する債務)は137.9%にも達していると報じられています。日本の家庭で言えば、近年の平均世帯収入が560万円ほどですから、平均的な家庭で700万円ほどの借金があることになります。
ただし日本の場合は住宅ローンで借金があっても、購入したマンションとそれに付帯した土地を財産として持っているので相殺できます。しかし、中国の場合は、マンションは未完成で住めず、しかも土地は利用権のみでは、実体的な価値はありません。
未完成の建物、利用権のみの土地という「絵に描いた餅」を700万円も借金して購入した消費者は、マネーゲームに騙された被害者と言えます。
建設工事も当然、激減しています。農村部の若者たちが仕事がないため、都会に出て建築現場などで働いている「農民工」が2億5千万人ほどいますが、不動産開発の仕事も減って浮浪者化しています。こんな報告があります。
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例えば、広東省の深センでも広州でも地下道路やトンネルなどは、夜になると寝に来た農民工たちで満杯になっている。遅く行ったらもう寝る場所も取れない。[高橋他、p25]
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こうしてみると、政府、銀行、不動産業者などに務める上流階級はマネーゲームで生活を守られていますが、その一方、消費者や労働者などの下流階級は搾取されていることが分かります。北京や雄安新区を護るために、啄州の住民100万人が犠牲となったのと、まさしく同じ構造なのです。
ここまでの階級搾取を見ると、中華「人民共和国」という国名はもはやブラックジョークのようです。
■7.日本の何倍も速い出生数の低下
しかし、中国人民の不幸を考えれば、ブラックジョークなどと揶揄することはできません。中国社会のお先真っ暗ぶりは、我が国よりも格段にひどい少子化に現れています。
1人の女性が生涯に産む子どもの平均的な人数を示す「合計特殊出生率」で、中国は2022年に1.09に下がったと報じられました。日本の1.30(2021年)よりも、一段と低いのです。人口を維持するためには、1人の女性が2人強の子どもを生まなければなりません。それが1人強では人口は急速に減少していきます。
人口過剰に苦しんでいた中国は、数十年にわたって「一人っ子政策」をとってきました。それでも2010年までの出生数は毎年2000万人以上でした。それが2022年には956万人と半減以下になってしまったのです。日本では出生数が半分に落ちるまでに40年かかっていますが、中国はわずか12年で半減になってしまったのです。
この間、一人っ子政策を廃止し、第二子容認、さらに第三子容認まで行いましたが、ほとんど効果はありませんでした。この急激な少子化の進行は、青年たちの間で「3つのしない」、すなわち「恋愛しない、結婚しない、子供をつくらない」が広まったからです。
それもそのはず。中国政府が発表した2022年4月の統計では、16歳から24歳までの若年層の失業率は20%を超えています。政府統計で20%以上なら、実際には30%以上になっているはず、と言われています[高橋他、p80]。
仕事もなく、住宅も買えなかったら、「3つのしない」で生きていくしかありません。
■8.我々の子孫に中国人民の苦難を体験させたくなかったら
こうした中国の人民の不幸な有様を見ると、「知らす」と「領(うしは)く」という政治姿勢の違いが実感できます。[JOG(736)]
「知らす」とは民の喜びや悲しみを知り、その安寧を祈る心です。大きな災害が起きたときに、天皇皇后両陛下が被災者たちのお見舞いをされていますが、それが「知らす」政治の象徴です。
そして、その「知らす」御心を実現するために、行政、自衛隊員、消防隊員たちが被災者救援に取り組みます。
一方、「領(うしは)く」とは、皇帝が人民を牛馬のような財産とみなして、搾取する政治です。中国の皇帝から見れば、水害で100万人の都市が水没しても、14億の家畜のごく一部が被害を受けただけの話に過ぎません。
現在の我が国は、中国の覇権拡張から独立をいかに護るか、という瀬戸際にあります。我々の子孫を、人為的な洪水に曝された啄州の人々、前金を払ったのに家を受け取れない消費者、仕事もなく地下道路やトンネルで夜を過ごす農民工のように、「領(うしは)く」政治の被害者にしたくなかったら、今が踏ん張り時なのです。
(了)
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②習近平独裁の風景 :230902情報
昨日 からの続きです。許可を得て転載しています。
■3.人口14億の中国で34億人分の住宅を作ってしまったバブル経済
「鬼城(ゴーストタウン)」は「雄安新区」だけではありません。中国のあちこちの大都市には、超高層のタワーマンションが何本も建ち並んでいますが、それらがみな建築途中で放棄されている光景をよく見ます。なぜこんな事になっているのでしょうか?
これは中国の住宅バブルが実体的には破裂しているのに、中国政府を護るために、その被害を一般消費者や労働者に押しつけているからです。ちょうど、北京や雄安新区を洪水から護るために、啄州の100万の住民が犠牲にされたように。
海外の資本市場では、中国の不動産バブルの実態が垣間見えるようになりました。不動産大手の中国恒大集団(エバーグランデ)は8月17日、米ニューヨークの裁判所に連邦破産法15条(日本の民事再生法に相当)の
適用(破産)を申請しました。
恒大は2021年にドル建て債の債務支払い不履行(デフォルト)に陥り、負債総額は推定3千億ドル超(約43兆5千億円)に達し、過去2年間の純損失が計5819億元(約11兆2千億円)だったと発表しています。
現在、日本で最大の赤字を出しているのは楽天グループで、負債が約4兆円、昨年の赤字が約3700億円ですから、さすがに中国は1桁大きいですね。
他の不動産業者も似たような状況のようです。いまや中国全体で34億人分の住宅ができていると言われています。中国の人口は約14億人ですから20億人分ものムダな住宅を作ってしまったのです。こんな状態で、不動産業者が巨額の損失を出しながらも、まだ生きながらえているのが不思議ですが、そこに中国の独裁政権による統制経済の本質が窺えるのです。
■4.34億人分の住宅を作ってしまったバブルの仕組み
なぜ34億人分もの住宅ができあがってしまったのか。そのバブルの仕組みを見ておきましょう。
中国の土地はすべて国有ですが、地方政府が土地の使用権を販売します。基本的に革命時に地主たちから取り上げて国有化した土地で、元手はただですので、地方政府としては棚ぼたでお金が入ります。不動産業者は使用権を購入して、そこに住宅をつくって消費者に売ります。一方、消費者は銀行にローンを組んでもらって、住宅を買います。
これが実際に住むための住宅を買っているうちは正常なプロセスですが、住んでいる家はもうあるのに、値上がりを見越して、もう一軒買おうとするとバブルが始まります。
2000万円の家で、1年後には2500万円になるという見込みがあれば、投資目的でそれを買おうという人々がたくさん現れます。とすると、投資目的の見かけの需要が膨らんで、実際に価格も2500万円に上がったりするのです。
こうして実需を超えて、投資目的で見かけの需要が膨らみ、それで価格が上がり、その値上がりがさらに投資を呼ぶ、という膨張過程がバブルの正体です。このバブルは銀行の資金供給が続く限り、そして、人々が住宅の値上がりはまだまだ続く、と考えている限りは続きます。
日本のバブルを崩壊させたのは、財務省による不動産向け融資の総量規制や、日本銀行の金利(公定歩合)引き上げなどで、資金供給を絞ったことでした。
■5.「国有銀行がずっと貸し続ければバブルは維持できます」
日本のバブルは財務省や日本銀行がストップをかけましたが、中国ではどうでしょうか?
元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏は次のように断言します。
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しかし不動産バブルを維持することは可能なのです。銀行のほうで不動産開発業者にずっとお金を貸し続ければいい。中国では銀行は国有です。だから国有銀行がずっと貸し続ければバブルは維持できます。[高橋他、p52]
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もう絶対に売れない「不良債権」となっても、それは国有銀行と、さらに銀行を監督する中国政府が「いつか売れるはず」と言い張れば、不良債権ではなくなってしまいます。日本の銀行がこんなことをしたら、背任罪で刑事罰を受けます。こういう事を平気でできるところが、中国の特殊性です。
こうして34億人分ものムダな住宅が積み上がっても、不動産企業は知らんぷりをして、銀行から金を借り続けて、経営を続けていけるのです。恒大のように2年間で約11兆2千億円もの赤字を出していても。
(つづく)
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①習近平独裁の風景 :230901情報
中国の「日本叩き」が喧(かまびす)しい。なぜ中国は、かくもヒステリックなのか?
現在、中国では「日本からの核汚染水がやって来る」という風評被害が発生。食塩の買い占めや、放射能計測器の買い占めまで起こっています。このまま放っておいては、いずれ市民の「怒りの矛先」が、日本政府から中国政府に転化するかもしれません。
何せ周知のように、現在の中国経済は最悪で、街には失業者が溢れていて、いつ革命運動が起きても不思議ではありません。不満を外に向けさせるという伝統的な手法で。日本をスケープゴートにしているのが現状です。
そんな中国の情勢について極めて分かりやすいレポートを見つけました。
これまでの中国情報は断片的か、専門的なものが多く全体像がつかみにくかったのですが、伊勢雅臣さんがきわめてわかりやすく中国の事情をまとめておられましたので、許可を得て、転載いたします。
■1.日本からの水産物を輸入禁止とした「皇帝」の独裁ぶり
8月26日付朝刊で、朝日新聞は「中国の禁輸 筋が通らぬ威圧やめよ」と、東京電力福島第一原発の処理水放出を理由に、中国政府が日本からの水産物輸入を全面的に止めると発表した事を批判しています。こういう論説を読むと、「ああ朝日も日本の新聞だったのだな」と、すこし安心します。
中国で発行された原子力専門書「中国核能年鑑」によると、浙江省の秦山原発は2021年に218兆ベクレルと、日本の処理水の海洋放出計画が設ける年間上限「22兆ベクレル」の約10倍に当たるトリチウムを放出しています[産経]。
中国政府自身が公表したこの数字を使って、今後は国際社会に向けて「現在のトリチウム放出量は中国・秦山原発の8%です」などと発表したら良いと思います。いずれにせよ、まともな国で中国政府の反対に同調する国はなく、中国の非論理的な対日批判は常軌を逸しています。
おそらく「裸の王様」となった習近平の独断でやっていることで、取り巻き連中にはそんな「皇帝の独裁」を止める人もいなくなったのではと想像しています。そして、なによりこの独裁者には、自国の人民の苦難もまったく眼中にないことが分かります。
日本側の報道では、国内の困惑ぶりのみが報道されていますが、同様に中国内でも安全安心な日本の水産物がなくなって困る業者、レストラン、消費者がたくさんいるでしょうから。ちょうど良い機会ですから、この際、日本国民が皆で魚を食べて、水産業者を守り、それを通じて食料自給率を上げる方向で努力しましょう。それが日本の経済的安全保障にもつながるのです。
■2.習近平肝いりの「鬼城(ゴーストタウン)」を護るために、100万人の都市が水没させられた
習近平皇帝の中国人民無視は、最近の北京の洪水にも見てとれます。北京の南西60キロほどに位置する啄州(たくしゅう)では水深6メートルもの洪水が町を飲み込み、3階建て以上の建物や交通信号などがやっと水面からのぞくほかは、街並みが水の底に沈んでしまいました。
河北省全体では死者29人、行方不明者26人、被災者は388万人と公式発表されていますが、実際の被害はこれより1桁か2桁多いのでは、と言われています。この被害も、実は習近平の人民無視の人災だという声が出ています。
中国の洪水対策は、あらかじめ低地を「遊水地」と決めておき、洪水になりそうになったら、そこに水を流す、というものです。今回大洪水となった啄州は北京を守るための遊水池だったのです。人口百万の都市を、北京を守るための遊水地にしている、という、なんとも豪快な対策です。
さらに凄い話があります。実は啄州の上流に、華北最大の遊水池「白洋淀」がありました。ここには広大な湖沼群があり、人があまり住んでいない低湿地帯です。ここを遊水池として活用すれば、啄州が洪水に襲われることもなかったはずですが、不幸なことに習近平がこの地に目をつけて、人口2000万人規模のスマート・エコシティー「雄安新区」の建設を始めたのです。
専門家たちは「必ず大水害が起きる場所に都市をつくるべきではない」と反対しましたが、習近平としては、深センを大都市に育てたトウ小平を超えようと、「習近平が自ら発案、計画、指導」して巨大プロジェクトを始めました。すでに5000億元(約10兆円)を投じて、多くの高層ビルや巨大なスタジアムが作られています。
しかし、企業もわざわざ北京から100キロも離れた僻地に移転するメリットはなく、人もあまり住んでいない「鬼城(ゴーストタウン)」となって、建設工事もほとんど止まっています。習近平のご機嫌を損ねないよう、このゴーストタウンを護るために、100万人が住む啄州が身代わりとなって、水没させられたのです。
(つづく)
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