Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

一入さんの茶碗

2010年05月11日 07時30分41秒 | 美術館・博物館etc.
 春季特別展『楽歴代展』 ※6月6日まで
 楽美術館←サイトのアドレスが変更になっています。(4/1リニューアル)

気がつけば、2005年2月に初めて訪れて以来、10回を超えるリピーターになった。
他の美術館に比べれば入場券が少しお高めで、流派の割引もナシ。
おまけに展示リストもなく~。
と、ついつい漫然と鑑賞になりがち
なので、毎回あの手この手でメモをとって集中している。
ある時はケータイでメモ書きしながら、またある時はチラシに書き込み~。
今回はチラシの地が黒なのでムリ
北村美術館のチラシの裏が白だったので、そちらにメモを取った。

幸い、楽美術館もサイトも新しくなったので、そちらで歴代の所蔵品を再チェック。
また、96年秋の三井の展覧会「赤と黒の芸術 楽茶碗」の図録も見ながら~
改めてメモを見直しながら、振り返ってみる。

まず、1回センターは当代の赤楽。
昭和62年(1987)に開催された襲名後2回目となる個展に出品された作品。
「まだ大人しいナ」という印象。

長次郎は『匂当』と『面影』。
『匂当』は黒光りする釉薬と『面影』のカセた感じに「対照的だなぁ」。←メモより。

余談だが、この翌日に東大寺の茶席で長次郎の黒楽平茶碗を至近距離で見た。
これで一服した大宗匠が「長次郎の平は珍しいなぁ」と仰っていたけど、
「以前、三井で見たなぁ」と思い、帰宅後に図録で確認。(三井所蔵であった)
あれと比べると、平でも少し高さがある感じだったっけ。

常慶は赤い井戸茶碗(土味が特徴)、
道入は『禿(かむろ)』のシブい赤が印象的や家形の香合が印象に残った。
一入の赤楽『横雲』はうすい赤の中に、真ん中に入った一筋が面白い。
長入は意外に(?)個性的ではない茶碗が出ていた。
得入は二十歳前後の作と伝わる薄い赤の筒。何度見てもはかない感じ。
了入は56歳の時の作。力強い削りがスゴイ。
旦入は久しぶりに白黒ツートンを見た。(←正しくは『破れ窓』)
光悦は『五月雨』。

でも、今回一番印象に残ったのは四代・一入と五代・宗入。
特に一入さん。
利休や長次郎が活躍した時代からちょうど100年経って、利休回帰の空気があった頃。
その影響か、わりとキッチリした“宗易形”の作が多いという印象がもともとあった。

が、今回はバリエーションが豊富。(たぶん、力を入れて展示していたのではなかろうか)
赤筒茶碗に肩衝茶入(うすーい赤が特徴)、飴釉の舟形花入れ、焼貫の水指。
そして、赤楽の獅子香炉。
宗入の黒楽と獅子香炉を並べて展示してあって、作風の対比がすごくわかった。

宗入さんも利休追慕の思いがあった点は一入さんと同じ。
でも、表現の手法は真逆なような気がする。
それに、宗入さんは養子に入った方だし、従兄弟には尾形光琳・乾山がいて。

年齢差をチェックすると24歳しかないから、作陶した時代は重なりそう。
隣り合わせで火花がバチバチっと飛んだのではかなぁ、、、って思えた。

ちなみに、訪れたのは第一日曜で楽茶碗鑑賞会のある日だった。
既に2回体験したことがあるし、時間もなかったし、ラインナップも是非もの感なく、パス。
「残念だったかなぁ」と思っていたら、その翌日に思いがけない機会が
(東大寺華厳茶会の)今日庵席で長入の赤楽と一入の黒楽が出ていた。
たまたま、顔見知りの先生がいらっしゃり、「触っていいヨ
ラッキーと触れさせていただいた。

長入は重たかった。
そして、一入の黒楽は典型的な(?)利休形。
手にすっぽり収まる暖かい感触。

「やっぱり、この春は一入さん」と思った。

 ★参考~当blogにおける過去の楽茶碗訪問記
 2009年11月 重要文化財新指定記念特別展『長次郎二彩獅子像+勢揃い京の焼き物 侘と雅』
 2009年8月 「『楽焼のはじまり、そして今』親子で見る展覧会/シリーズ「楽ってなんだろう」
 2009年5月 春期特別展『樂歴代』 
 2008年10月 開館30周年記念特別展『長谷川等伯・雲谷等益 山水花鳥図襖&樂美術館 吉左衞門セレクション』
 2008年8月「楽茶碗を焼く」
 2008年5月「楽家の系譜」
 2008年3月「動物の意匠」
 2007年11月「元伯宗旦」

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4 コメント

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楽美術館 (きっさこ)
2010-05-25 22:22:00
先日、楽美の茶会に行ってきました。お道具は掛け物と釜と水指のフタと茶杓とお菓子お茶以外は全て楽尽くし。
主茶碗は5代、替茶碗は9,10,12,13,14代。緑釉の風炉、烏帽子水指、柏の菓子皿・・・。
お道具はモチロン、当代の席主ぶりもすっごく良かったのは申すまでもありません。
楽歴代の展示も見られましたので、入館料を含めての7000円は高く感じませんでした。
そこで、来月のROSHUのお話が出ました。行かれたこと、ありますか?
返信する
Unknown (Akatsuki)
2010-05-26 00:13:11
きっさこさん
初めてまして。(かな?)
楽美術館の茶会、ステキですねぇ。
「一度は行きたいなぁ」と思いつつ、なかなか申し込みに至れません。
「ROSYU」、ちょっとわからないのですが。。。
何のことでしょうか?
返信する
Unknown (きっさこ)
2010-05-26 10:30:15
当代がこの夏は渡仏されるので、楽美の茶会は次は9月です。「初めての方、おられますか?」とお尋ねがあったくらいですから、リピーターが相当多いと思いました。よそではありえないお道具組です。ぜひお出ましください。

ROSHUは佐川美術館http://www.sagawa-artmuseum.or.jp/cgi-bin/index.cgiの茶会の写真集(会記)のことで、茶会をこう呼んでおられました。
これも予約がめっちゃ難しいそうですが、さきほどHPをチェックしましたら・・・なんと空きがございますよ。↓

青蘆(せいろ)茶会
 2010年6月22日(火)・23日(水)実施分

返信する
情報ありがとうございます (Akatsuki)
2010-05-26 23:17:02
きっさこさん
情報ありがとうございます。
佐川美術館の茶室はステキですよね。
2年前の夏、茶室見学の予約をターゲット日の開始時刻ピッタリに電話入れて確保しました。
楽美も行きたい気持ちがムクムク~。
デス。
返信する

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