山本あけみ「緑ゆたかな環境を子どもたちへ」

建築士や生活者として、都市計画・公共施設マネジメント・地球温暖化対策・SDGsなど、独自の視点で日々発信

「杉並区内ブロック塀等 安全性確保のための緊急対策要望書」提出のご報告

2018-07-12 | 活動日誌

先月6月18日に大阪府北部で発生した大地震により、震度6弱を記録した高槻市内の小学校でブロック塀が倒壊し、通学中の女児が死亡した事故は、安全であるはずの学校の施設が、基準不適合であることの認識が無く、また、長年の管理不行き届きの結果、凶器となり児童の命を奪うという大変痛ましいものでした。

 

この公共施設である学校施設が児童の命を奪うという、あってはならない事故を受け、6月19日には、国土交通省から都道府県建築行政主務部長宛に「学校における既設の塀の安全対策について」、翌20日には文部科学省では各 都 道 府 県 教 育 委 員 会 施 設 主 管 課に「学校におけるブロック塀等の安全点検に係る特定行政庁の建築部局との連携について」を通達しました。

http://www.mlit.go.jp/common/001239768.pdf

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6686/00293840/kuni_tuuti_kenchikubukyokurenkei_30_1872.pdf

 

これに先行する形で、杉並区では18日午後には、区立小中学校(65校)を含めた全ての区立施設(590カ所)の施設管理者に対し、建物及び敷地内のブロック塀や万年塀(主に道路に面したもの)の傾き、ぐらつき、亀裂がないかについて目視による緊急点検を実施するよう通知しました。

19日から21日までに行われた施設管理者による点検の結果、直ちに重大な事故につながるようなものは無いと考えますが、今後、技術系職員による現地調査を速やかに実施し、補修等が必要なものは適切に対応していくとしています。

http://www.city.suginami.tokyo.jp/news/h3006/1042585.html

 

また、区民向けに「ブロック塀の安全点検のお願いと無料相談会のお知らせ」として、ブロック塀の所有者や管理者の方には、傾きやひび割れなどが発生していないか、塀の状況を定期的に確認するなど、適切な維持管理をして頂くようお願いをしています。

http://www.city.suginami.tokyo.jp/news/h3006/1042698.html

 

これらの緊急対策により、公共施設やこの通達を見てご自身の所有のブロック塀の点検などをしてくれたものに関しては当面は安心と思われますが、今後高まる首都圏の大震災の危険性や通学路のみならず、生活道路の安全を守る為には、ブロック塀のみならず万年塀や大谷石の塀に関してもより一層の所有者責任を持つことの区民周知や、緊急性の高い塀への手厚い対策が求められる事から、立憲民主党杉並区議団から対策を求める要望書を7月11日に杉並区長宛に提出を致しました。

 

傾いたブロック塀

 

傾いた万年塀

 

傾いた大谷石の塀、軽石擬灰岩とも言われ、含有成分は、珪酸・酸化アルミニウム・酸化マンガン・第二酸化鉄など。近年 酸性雨や様々な気象原因で大谷石の腐食劣化を早める原因にもなっていると言われている。

 

久我山1~3丁目にわたり、新しく出来る大型幹線道路(放射第5号線)沿線の建築物を作るルールを決定していく「玉川上水・放射5号線周辺地区地区計画」では、、ブロック塀等の高さ規制を盛り込んでいます。

ブロック塀に囲まれた生活は、通風や日照を妨げ、また震災時には倒壊により避難路を寸断し、緊急車両の通行を妨げる心配があるからです。

 

ブロック塀は建築基準法により安全性の規定はあるものの、実際は現場判断で自由に建築されているのが現状です。地中に基礎を作り9段までしか積めず、鉄筋で倒壊防止等をするという基準を守らずに、平時の今ですら倒壊してしまうのではと思われるものも散見されます。

ましてや災害時のことを考えると、今回の地区計画で規定したことは久我山にとっては大変大きな前進となります。

地区計画ではこれから建て替えが進む場合のみを規定していますが、ブロック塀に関しては既存への対応も併せて進めていくよう、また杉並区全体においても同様の規定整備がされていくことで、災害に強いまちとなっていくと考え、取り組みを提言をしています。

http://www.city.suginami.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/013/923/housya5tayori08.pdf

 

以上