民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

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「おしどり塚」 リメイク by akira 

2011年12月04日 12時30分29秒 | 民話(リメイク by akira)
 むかしむかしのことだ。

 宇都宮に「あさり沼」っていう沼があって(ナ)    (あさり川の源流)
そこは 葦が生い茂って、水鳥たちの いい餌場になっていたんだ(ト)。

 その近くに 猟師が住んでいた。

 ある日 猟師は 一日中 山ん中をかけまわっても、なんの獲物も 獲れなかった。

 帰りに あさり沼を通りかかると、二羽のオシドリが泳いでいた。
(よしっ、あのオシドリをしとめてやれ。)
「ずどーん!」 
猟師は 鉄砲で撃った。
 一羽は命中したが、もう一羽は 驚いて 逃げていった。
猟師は 撃ち殺したオシドリを 拾い上げると、その場で 首を切り落として 持ち帰った。

 次の日、猟師が あさり沼を通ると、昨日と同じところに、
オシドリが うずくまっていた。
「おっ、昨日 逃がしたオシドリに違えねぇ。」
「ずどーん!」
猟師は 鉄砲で撃った。

 拾い上げてみると、メスのオシドリが オスの首を 大事そうに抱えていた。
猟師は オシドリをつかんだまま たちすくんでしまった。
「ああー、おらは なんて罪深えことを しちまったんだ(ん)べ。」

 猟師は(頭を丸めて)坊さんになって、川辺に塚を立てて おしどりの供養をした(ト)。

 おしまい