「治る」ことをあきらめる「死に方上手」のすすめ その3 中村仁一 講談社+α文庫 2013年
本書は1994年刊行された「老いと死から逃げない生き方」を改題し、加筆・修正したものです。
生活習慣病は「茶碗のヒビ」 P-38
生活習慣病は、たとえれば「茶碗のヒビ」のようなものではないかと思います。
茶碗のヒビはひとたび入れば、まずなくなることはありません。
しかし、少々のヒビが入ったていたとしても、お茶も飲めればご飯も食べられるというように、茶碗としての用は立派に果たすことができます。
ただ、ヒビの入り具合によっては、当然、その扱い方を慎重にしなくてはなりません。
そういう配慮をしないと、ヒビがだんだんに拡がり、ついには割れてしまって、茶碗としての機能を果たさなくなってしまいます。
つまり、症状が重ければ重いほど、生活規制を厳重にしなければならないのです。そうしないと、余病を併発したり、いのちを落とす結果にもなるということです。
けれども、一般的には闘病により、このヒビを何とかなくそうと考え、また、医学は発達したといわえているのだから、なくなるはずだ、そうならないのは、いま、かかっている医者の腕が悪いせいだと考えてしまうのではないでしょうか。
その結果、評判の専門医がいる病院のはしごが始まるのです。そして、どうやってもヒビがなくならないとわからせられた時、なぜ自分だけが治らない業病に取りつかれたのかと、運命の星を呪い、そして自棄を起こして投げやりになり、そのために一層ヒビを拡げることになってしまうことが、往々にしてあるのです。
また、生活習慣病は投げ出すことのできない荷物と考えることもできます。
一生、重い荷物を抱えていくのはたまりませんから、この荷物を軽くするのが治療と考えることができると思います。
本書は1994年刊行された「老いと死から逃げない生き方」を改題し、加筆・修正したものです。
生活習慣病は「茶碗のヒビ」 P-38
生活習慣病は、たとえれば「茶碗のヒビ」のようなものではないかと思います。
茶碗のヒビはひとたび入れば、まずなくなることはありません。
しかし、少々のヒビが入ったていたとしても、お茶も飲めればご飯も食べられるというように、茶碗としての用は立派に果たすことができます。
ただ、ヒビの入り具合によっては、当然、その扱い方を慎重にしなくてはなりません。
そういう配慮をしないと、ヒビがだんだんに拡がり、ついには割れてしまって、茶碗としての機能を果たさなくなってしまいます。
つまり、症状が重ければ重いほど、生活規制を厳重にしなければならないのです。そうしないと、余病を併発したり、いのちを落とす結果にもなるということです。
けれども、一般的には闘病により、このヒビを何とかなくそうと考え、また、医学は発達したといわえているのだから、なくなるはずだ、そうならないのは、いま、かかっている医者の腕が悪いせいだと考えてしまうのではないでしょうか。
その結果、評判の専門医がいる病院のはしごが始まるのです。そして、どうやってもヒビがなくならないとわからせられた時、なぜ自分だけが治らない業病に取りつかれたのかと、運命の星を呪い、そして自棄を起こして投げやりになり、そのために一層ヒビを拡げることになってしまうことが、往々にしてあるのです。
また、生活習慣病は投げ出すことのできない荷物と考えることもできます。
一生、重い荷物を抱えていくのはたまりませんから、この荷物を軽くするのが治療と考えることができると思います。