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「卑怯について」 その6 倉本 聡

2016年08月26日 00時03分45秒 | 生活信条
 「昭和からの遺言」 倉本 聡(1935年生まれ) 双葉社 2015年

 「卑怯について」 その6 P-74

 人のことばかり云ってはいられない
 俺自身いつのまにか卑怯に汚染して
 気づけば少年期の純粋さを忘れ
 生き抜く為だと 卑怯を犯している
 だが。
 それでも時折ドキッとするのは
 卑怯の醜さを嫌悪する者が
 時折フッと姿を見せることだ
 自分の命を投げうってまで
 人を救おうと危地にのり出す人
 消防士
 警察官
 自衛隊
 看護師。
 3・11のあの事故のとき
 現場で斗ったフクシマフィフティ
 そういう人々の存在を知る度に
 俺はドキッとし 自らを省みる。

 卑怯にならないには強い覚悟が要る
 卑怯に打ち克つには強固な意志が要る
 とてつもない量のエネルギーが要る
 意志の固さが要る
 男としての 生き方の美学が要る
 
 人々に問うてみる
 国の為に死ねるかと問うてみる

 世界の統計をひもとけば
 自国の為に死ねるという国民が
 キプロス      83%
 中国        77%
 韓国        72%
 アメリカ      63%
 日本は最下位の   15%

 日本人は国を愛さなくなったのか
 日本は自らの国民にとって
 愛せない国になってしまったのか
 日本は日本人が作っているのではないのか
 それを愛せぬのは 卑怯ではないのか




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