民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

語り手のわたしと聞き手のあなたが
一緒の時間、空間を過ごす。まさに一期一会。

「卑怯について」 その7 倉本 聡

2016年08月28日 00時07分35秒 | 生活信条
「昭和からの遺言」 倉本 聡(1935年生まれ) 双葉社 2015年

 「卑怯について」 その7 P-78

 若者たちに問うてみる
 日本の若者に問うてみる
 国の為に死ねるか と問うてみる
 死ねる と答えるのはほんの少数
 では今この国に
 どこかの国が攻めてきたら
 君はどうする と問うてみる
  逃げる という者が過半数
 では 家族や恋人や友人が
 危機に瀕したらどうする と問うてみる
 やっと何人かが 斗うと答える
 他の若者は
  お願いする
 と答える
 何を。と再び問う
 止めてくれと敵にお願いすると云う。
 止めなかったら と再度訊く
 許しを乞う という
 何を と更に問う
 理由は判らない。とにかく許しを乞う

 情けない
 卑怯である
 少なくとも俺は斗うだろう
 その程度の矜持はまだ持っている
 敵が理不尽を強要するなら
 老いたりといえども 斗うだろう
 卑怯に堕すのは 絶対にいやだから

 この国は集団的自衛権を認め
 他国の為にも斗う気だという
 国のトップがそう云っている
 だが実際に国のトップは
 先頭に立って斗うのだろうか
 そういう覚悟を持っているのか
 自らの家族を戦場に出すのか
 殺し合いの場に出す覚悟があるのか

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。