民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

語り手のわたしと聞き手のあなたが
一緒の時間、空間を過ごす。まさに一期一会。

「無名の人生」 その3 渡辺 京二 

2018年02月02日 00時02分20秒 | 生活信条
 「無名の人生」 その3 渡辺 京二  文春新書 2014年

 序 人間、死ぬからおもしろい その3 P-10

 江戸期の人間は自分というものにそんなに尊重していなかったろうということ。いいかえるなら、あまり自己執着はせず、自分というものを過大評価しなかった。俺なんか大した人間じゃない――。そこが現代人との大きな違いだろうと思う。

 今の人間は、威張ってかっこうをつける。政治家はむろん、テレビのコマーシャルやドラマに出てくるタレントも、一般の若者も、自分の個性を過大に評価しているのか、非常に演技的で表情も物言いも過剰になっています。それは、自分を非常に高く買っている証(あかし)なのでしょう。

 昔の人は皆、それほど自分にこだわらず、自分は平凡な人間だと考えていました。だから、とくに女性たちは、公衆の面前にしゃしゃり出るなどという気恥ずかしい真似はできない、という人が多かったのです。それに対して今は、誰もがスターやモデルみたいに振る舞って自己を顕示するのが喜びとなり、センターステージに立ちたくて仕方がない。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。