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「穏やかな死に医療はいらない」 その5 萬田 緑平 

2016年01月19日 00時22分26秒 | 健康・老いについて
 「穏やかな死に医療はいらない」 その5 萬田 緑平  朝日新聞出版 2013年

 目指すのは「ゆっくりコロリ」 P-38

 「ピンピンコロリ」は理想の死に方とされています。亡くなる直前まで元気に暮らし、コロリと死ぬ。病気はいやだ、寝たきりにはなりたくない、という人々の願望があらわれていると思います。
 でも僕は、ピンピンコロリは案外とつらいのではないかと思います。明日も明後日も今日と同じ日常がやって来ると思っていたのにコロリと死んでしまうのは、たとえ本人がよくても、残されるご家族や周囲の人たちがかわいそうです。
 僕が思う理想の死に方は、ピンピンコロリではなく、「ゆっくりコロリ」「じんわりコロリ」です。
 イメージとしては、飛行機がソフトランディングするような感じでしょうか。そんなふうに少しずつ死と言う終着点に向かうことができれば、身体の負担も少なく、本人や家族にも死を受け入れる時間が生まれます。
 そしてそれは、決して難かしいことではありません。身体に任せればいいだけです。余分な治療、余分な食事、余分な点滴・・・。そういったものをやめるだけで、多くの人が苦痛から解放され、ぎりぎりまで「ゆっくり」「じんわり」生き抜くことができます。

 ただし病院で終末期を迎えた場合、そのままでは「ゆっくりコロリ」「じんわりコロリ」を実現することはできません。前にお話したように、病院は戦う場所だからです。

 萬田 緑平(まんだ りょくへい)
1964年生まれ。群馬大学医学部卒業。群馬大学付属病院第一外科に所属し、外科医として手術、抗がん剤治療、胃ろう造設などを行うなかで終末ケアに関心を持つ。2008年、医師3人、看護師7人から成る「緩和ケア診療所・いっぽ」の医師となり、「自宅で最後まで幸せに生き抜くお手伝い」を続けている。

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