のんのん太陽の下で

初めての一人暮らしが「住民がいるんだ・・・」と思ったラスベガス。
初めての会社勤めが「夢を売る」ショービジネス。

任せる

2007-05-23 | KA
 シルクドソレイユの本部があるモントリオールに経つときに、仲間が靴を贈ってくれました。その靴は大好きで大事に履いていたのですが、3年が経ち、色が落ちてきていました。先日日本に帰ったときに“カメレオンシューカラー”という表革染めを見つけ、休みの間に色を塗り、完成。今日は少し涼しかったので、サンダルではなく新品同様になった靴を履いて出掛けました。新しいものを身に着けたときにワクワクするように、今日は気分良く出勤しました。

 さてショー、今日は昨日のような大きな問題もなく、全体的にはスムースに出来ていたと思います。
 私には小さなことですが初めてのことがありました。
 KAは舞台がいろいろと動くので、特に舞台が宙に浮いているようなときは、小道具が手から万が一離れてしまったときに下に落ちないよう、ひもなどでどこかに取り付けられています。私がショーのはじめにお化粧をしながら出ていく場面、客席からはご覧いただけないでしょうが、トレーの上にはいろいろな小道具が載っています。鏡とブラシはひもでトレーについていて、香水やお化粧品などは磁石でトレーについています。そして、そのトレーは舞台とひもで結ばれています。
 一回目のショー、舞台の側面に出て、トレーを準備してある場所から自分の手元に引こうとすると、取り付け方が間違っていて、引き寄せることが出来ませんでした。仕方なく、ひもをはずし、慎重に手元に運び、落ちないように注意しながら普段通りに演技をしました。 
 舞台を下りてすぐに、いつもこの準備をするプロップスのジョンに会ったので、今日は彼が準備をしたのではないことは分かっていましたが、伝えました。「ああ、今日はカーペンターが準備する日だったからね。二回目は僕だから大丈夫だよ。」
 どういうわけか、時々プロップスが準備をしない日があり、時々取り付け方が違うことがあります。扱いにくいだけで今日のような問題があることはありませんでした。ジョンは普段の仕事を人に任せないといけない日で、その人を信じて任せているわけです。

 任せるか…。

 ふと今日のレッスンを思い出しました。私の代役になる人のレッスン。私も彼女にその場を任せることになるのです。そして私も会社からその役を任されているわけです。そうか、任務に対する責任感の違いか、と。ちょっぴり寂しい気もしますが、私は私の思うよう毎日毎日の舞台を誠実に努めていきたいと思います。