のんのん太陽の下で

初めての一人暮らしが「住民がいるんだ・・・」と思ったラスベガス。
初めての会社勤めが「夢を売る」ショービジネス。

2ミリと10グラム

2008-11-20 | KA
 新しいフルートをどうしても好きになれず、使用中のフルートとどれくらい太さと重さが違うのか測ってみることにしました。その差、2ミリと10グラム。以前は予備をいくつか作って下さっていたので、自分に合うフルートを選択することが出来たのですが、今は、剥がれたものを直して下さるだけなので、選択の余地がなく、出来たものを好きになるしかありません。今使っているフルートのコーティングはだいぶ剥がれてきてしまい、もう、すぐにでも修理を頼まないといけない状態なので、焦ります。
 新しいイモムシの衣装が出来上がり、ズラは昨日一回トレーニングルームで練習をしただけで、今日は舞台でそれを使わなくてはならなかったようです。トレーニングルームとは違い、舞台には砂がありますから余計に感覚が違い、新しい衣装で動きがぎくしゃくするだけでなく、とても怖い思いをしたと言っていました。私はフルートの2ミリと10グラムの差に違和感を感じているところなので、彼女の言う、ちょっとしたことでもやりにくいということはとても良く分かります。
 明日ショーをご覧頂く方々にお会いしました。ショーをご覧になる前は、みなさんこのようにワクワクして下さっているのかと、有り難く嬉しく、私もワクワクしてきました。

髪乱れる

2008-11-19 | KA
 今日のジャイロの先生は、また違う先生でした。新しことを習うのに、同じ先生に一貫して習わないのも面白いものだと思いました。これだけ組織だったものでも、先生によって教え方に違いがありますし、ジャイロというものを私がまだ十分に理解していないだけに、いろいろな先生の目から見て頂くことで、私にとっての新しい発見を次々に得られます。今日の先生は、今の私に丁度いい気がしました。
 
 踊っている時に白い粉が降ってきて、今日がギャビィのデビューであることを思いだしました。手につけた粉をはたきながら彼は緊張して待っているのだろうと思っていたら、自分が緊張してきました。そして「私は1800回以上もやっているのだからね。」と言い聞かせました。
 彼は自分のデビューに満足したようで、本当に喜んでいました。「ノリコのところは本当に静かでしょ。誰も話さないで待っているし、曲は素敵だし、落ち着いて待つことが出来たよ。」と話していました。彼が緊張しないで待てた分、私が緊張しながら踊っていたようで少しおかしくなりました。たくさんの練習を重ね、ファイアーフライボーイとして満足いくデビューが飾れた彼に、拍手を送ります。

 スレイヴケイジでスカートを奪う役をしたアーティストもまた、今日が初めてだったようで、そのタイミングが早すぎました。それは特に問題ないことですが、彼は謝ってきて、タイミングを確認しました。私は「どんなことが起きてもそれに反応するから大丈夫だよ。」と彼に言って、二回目を迎えました。
 ところが二回目、彼はスカートの帯の部分を前から引っ張りました。前をただ引いてもスカートは外れません。でも彼はひたすらに前を引くだけでした。私は、抵抗をするように演技をしながら、後ろを向いてスカートを外しやすいような位置をとりましたが、どうしたらスカートが取れるのか、彼は全く分かっていなかったようで、帯の後ろを剥がすようにはせず、私が後ろを向いてもひたすらにウエストの部分を引くだけでした。私は「取って下さい。」と動きを止めるわけにもいかず、なるべくウエストの辺りは動かさないように演技を続けました。そのうちに周りにいたアーティストは私を取り押さえるように“応援”に駆けつけ、ようやくスカートは取れました。いつもは一瞬にしてスカートが奪われるところ、何倍もの時間が掛かり、その間、私は抵抗する演技をしなくてはならなかったので、髪は乱れに乱れ、呼吸も乱れていました。タイミングこそ早かったものの、一回目のショーで彼がスカートを上手く奪えたのは偶然だったようです。

 ショーが終わり、衣装を脱いでからトレーニングルームへ行こうと更衣室を出ると、クリエイションの時に大変お世話になった、ギー・カロンさんをお見掛けし、駆け付けました。彼にお会いするのは久しぶりでした。「デュエットを観たかったのだけど、やっていないから、もうカットしてしまったのかと思ったよ。」などと言って大きく笑ってから、「ノリコのところは未だに心動かされるよ。」とおっしゃって下さいました。とても嬉しいお言葉でした。

右目の涙

2008-11-18 | 日記
 予約をしても、結局待つことになるのはどこでも同じのようです。思ったよりも時間が掛かり、早めの予約時間にしておいて良かったと思いながら眼科を出て、自転車のカギを外していると何かが変です。気が付くとサドルがありませんでした。今日は珍しく気を抜いて、サドルと同じように簡単に外れる前輪にカギを通さなかったのですが、幸い前輪はついていました。眼科はアパートから近いので、立ち漕ぎのまま帰れます。それにしても、こういうことをする人は何が楽しいのでしょうか。その人のことを考えると、かわいそうになってしまいました。
 アパートには、漕ぎだした時にペダルを折ってしまった自転車がまだあったので、サドルを外し、取り付けてみました。サドルが付いている棒、シートピラーの太さが細すぎるので、ライトか何かを買った時に調整用に付いていて使わなかったゴムを取り付けて、テープで巻いて…と、何でも取って置く性格が今日も幸いし、何も買わずにとりあえずは通勤できる状態になりました。
 サドルを外した人は、どうしてもそれが欲しかったとも思えませんし、それを持ち去っても役に立つことなどないでしょうから、もしかすると自転車をとめておいた付近に投げ捨ててあるかもしれないと、通勤途中で探してみました。しかし、残念なことにありませんでした。
 取り付けたサドルは、途中から左右に回転するようになってしまいましたが、特に問題はありません。いずれは買わないといけないかもしれませんが、しばらくはこれで大丈夫そうです。
 今日眼科に行ったのは、コンタクトレンズを買うためでした。コンタクトレンズのための検眼が終わると医師は「あなたの目は乾燥しているので、あれを試してみるといいかな。」と流し台の下を開け、何かを探し始めました。整頓されてないその中をゴソゴソと探し、一つ箱を取り出してみては戻し、もう一つ箱を取り出してみては戻し、そして、本当に見付けたかったのはこれではないけれど、まあいいかな、という感じで一つの箱を取り出しました。その箱の中から何かを取り出し、ピンセットと共に目に近づいて来ると、それは針よりも髪の毛よりも細い、短い棒状のものでした。それを涙腺かその付近にピンセットで植え付けるようにしました。
 一分後に感想を聞かれましたが、その時は何も感じませんでした。「目が潤うはずなんだ。これは2日から4日間効くからね。その後はなくなってしまうから。」身体に薬を入れるのを嫌う私は、「なくなるんですね。」と念を押しました。
 しばらくすると、目は潤うどころか涙が頬を伝わりました。左目は大丈夫ですが、右目だけ必要量以上の涙が出てしまうようで、目から溢れ出てしまいます。あんなに小さなもので、こんなに身体は変化をするのかと思うと恐ろしいです。
 フルートを回す時のことをとても心配しましたが、丁度回し始める前に目から溢れたので、思ったよりは大丈夫でした。
 顔が近付く機会の多いシェリーには、花火が上がっている時に「ダイジョウブデスカ。」と訊かれてしまいました。終わってから説明をすると、「いつ見ても泣いてるし、でも、右目からしか涙が出ていないし、どうしたのかと思っていたのよ。」と言われました。
 涙が出るだけでなく、それに伴って右目の下はお化粧が取れてしまうので、何度もやり直さなくてはなりませんでした。明日も涙の一日になるのでしょうか。

久しぶりの“休日”

2008-11-17 | 日記
 朝早くから活動を開始し、日が出ている内にしたいことを済ませました。お昼からジャイロへ出掛け、終わるともう暗くなっていました。
 明日からは6日間の勤務が始まります。今日の休日は有効に使えましたが、もう少し時間が欲しかったです。 

ひと段落

2008-11-16 | イベント
 『A Choreographers' Showcase』今年最後の本番でした。昨晩遅かったのに、朝は気持ち良く目覚めることができ、先週と同じくカンパニーのクラスを受けさせて頂いてから本番に臨めました。
 終わるとちょっとしたパーティがありました。会場へ行くと、先日保険の説明をしに来ていたシルクの方が入口にいて、入るにはどうしたらいいのか尋ねると「ここはプライベートのパーティだから、参加をした人しか入れないのよ。」と言われてしまいました。でもすぐに横にいた方が「あなた参加していたのよね。去年も参加をしていたでしょ。ゲイルの作品にいたわよね。」とおっしゃって下さいました。その方はネバダバレエの関係者ということでした。ネバダバレエの方がそのように覚えていて下さったことがとても嬉しく、今年も参加をして良かったと思いました。
 パーティでは、2004年までネバダバレエのプリンシパルとして踊っていたという方とお話ができました。その方はネバダバレエの前身のことからご存じで、興味深く話を伺いました。その前にいろいろなことを話していた友人と「そうか、カジノのオーナーと結婚するという手があったか。」などと言って笑いました。
 今年の作品は、あまり“ダンス”という感じでもなく、踊り切ったという感じにもならず、やり遂げたことより、忙しい日々がようやく終わったことに喜びを覚えているような気がします。そして、同じ作品のメンバーだった素敵な友人と、たくさんの時間を共に過ごせたことが何より嬉しかったことでした。

「よ、ねぇちゃん!」

2008-11-15 | KA
 影絵の始まる前に出て行きスカートを外すと、客席最前列の方が「イエーイ。」と。それからその方の前を過ぎると「ハーイ、スウィティ。」と。それはとても大きな声で、後ろの方のお客様にも聞こえるぐらいの声でした。「よ、ねぇちゃん!」と茶化されているようなその声を聞き、私は泣きそうになりました。悔しくも悲しくも残念でもあり、本当に泣きそうになりました。
 でも、こんな人のためにショーを台無しにすることはできません。
 心してキャプティビティに出て行きました。彼は相変わらず大きな声で話していました。何人かで来ているようで、大きな声で会話をしていました。どうにか踊る時には静かになるように願いましたが、話し続けていました。
 踊っていると、途中から突然のように音が大きくなり、彼らの会話を打ち消してくれました。まるで彼らのことが地下で演奏しているミュージシャンに届いたかのようでした。「ありがとうございます。」と心の中で言いながら、踊り続けました。彼らを惹きこむまでには至りませんでしたが、お蔭で彼らの行動に負けずにすみました。
 彼らのことをゲイルに話していると、そこにいたカツラの人が、「ノリコはバトンを二本持っているのだからさ、一本をさ…。」と言いながらバトンを振りかざす身振りをしました。その続きは聞きたくはなく、最後まで聞かずに更衣室へ戻りました。私の切ない気持ちを助長し、カツラの彼の印象は益々悪くなりました。
 彼らはどのシーンでも、大きな声で話していたようです。時には台詞のない私達の演技に台詞を入れてみたり、解説をしてみたり。掛け声を掛けるだけではなかったようで、ショーを終わった後にみんなが彼らのことを話していました。
 ショーの後は、昨日が誕生日のバイグーの誕生会をしました。さすがはバイグー、予約した二つのテーブルに座り切れないほどの仲間が集まりました。私は彼と共通の友人を招待して、彼へプレゼント。ここで楽しく過ごせたお蔭で気持ちも整いました。

バトンのみなさんに改めて感謝

2008-11-14 | 日記
 『A Choreographers' Showcase』最後の通し練習がありました。その前のカンパニークラスも参加をせず、通し練習もあまり張り切らずに、振付の確認と思って臨みました。みんなも人のことを探りながら踊っていたのか、先日の一回目の本番より揃っていたような気がします。
 バトントワリングではない競技出身で他のショーに出ている人の話を聞き、私は本当に恵まれていると改めて思いました。私は競技で行うようなバトンを今の舞台ではしていませんが、バトンに携わるたくさんの方々が、喜んでKAを観に来て下さいます。私のことをいつまでも“バトントワラー”として温かく見守って下さる事が、どんなに有り難いことなのか、改めて知ることになりました。
 双子の男の子役のシェリーの演技で、変わっているところがありました。とても特徴のある演技でしたので、その変更は良い変更だとは思いますが、ちょっと淋しい気がしました。数年後に、そのことについて懐かしく笑いながら話せる日は来るのでしょうか。
 客席の少し後ろの方からだったのでしょうか、声を掛けて下さっているのが珍しく聞こえました。どなたからだったのか、手を振ることもできませんでしたが、ありがとうございました。

あがって下さい

2008-11-13 | KA
 舞台が上がらない、下がらない、安全ネットが動かない、アーティストが怪我をして急に出られなくなり空白が生まれる…など、たくさんの問題があり、スムースに運ばない日でした。
 私は私でしっかり出来れば良かったのですが、フルートが手から突然抜けていきました。フルートを優しく握れている時は良い状態なのですが、どこか抜けているところが私自身に会ったのでしょう。これは警告と思って今の自分を見つめ直すことにします。1800回以上のショーで初めてのことでした。
 最後にはカウンセラーとその息子がのっている舞台、リフト5が途中で止まってしまい、私達から彼らのことは見えるけれども、お客様からは見えないという状態がしばらく続きました。このままその舞台が上がらず、さらに花火もあがらなかったら…と不安な気持ちでいました。そして、しばらくすると上がらなければならないリフト5が下がっていきました。
「えーっ!」
 本当にどうなる事かと思っていると、リフト5は一度一番下まで下がり、上がってきました。そして、花火も無事にあがりました。
 いろいろなことがありましたが、最後には立ち上がって拍手を送って下さるお客さまもいらして、有り難く、温かさが身に沁みました。

未熟者はもっともっと元気に励もう

2008-11-12 | メディア
 数週間悩み、「そうだ、自分への今年の誕生日プレゼントにしよう。」と、ようやく買った17ドルほどのテラコッタの赤い鍋の底が、ついに抜けてしまいました。実は、もういつ底が抜けてもいい状態で数カ月を過ごしてました。今日は“幻の米”もなく、“日本からの胚芽米”でもなく、カリフォルニア米を炊いていたので、まだ良かったです。そして、今日は久しぶりにゆっくりできる朝。散らばってしまったご飯も「あらら…。」と、ゆっくり片付けられました。
 時間に追われずに、通常通りに行動できる“普通の日”はとても楽です。MGMへも行きたい時間に自転車でのんびりと行き、通常の時間割で支度もできました。
 身体の調子も、緊張の度合もいつも通り。伸び伸びと気持ち良く舞え、お客様からの大きな拍手も、今日は素直に受けとめられました。通常通りということは、冒険がないことかもしれませんが、こういう日があると安らぎになります。
 二回目のショーにはシンクロの先生方がいらして下さいました。シンクロの先生方が、棒を回す人をご覧になるのは初めてかもしれない、そう思い、バトントワラー代表として気を引き締めて舞台に立ちました。通常にスパイスが効き、嬉しい“普通の日”となりました。
 気分良くショーを終え、メールを開けると、未唯さんからのメールが届いていました。11月のライヴ、明治座のお正月公演に向けてのことが書かれていました。今のご自身にしっかりと向き合い誠実に励んでいらっしゃること、未唯さんの様な大大先輩も、今も尚、地道に努力を重ねていること、まのあたりにしました。そして、私のような未熟者はもっともっと元気に励もうと、嬉しく、そして楽しくなってきました。また、KAが出てくる「ラスベガス記」が、近日中にUPされるとご連絡を頂きました。未唯mieオフィシャル・ホームページ mie duox にメッセージとしてUPされるそうです。
http://www.web-mie.com/message/index.html

Reebokファッションショー

2008-11-11 | イベント
 朝の9時半にお化粧を始めました。カツラをつけ、衣装を身に着け、KAのロゴに包まれたバンに乗り、リーボックファッションショー会場のプラネットハリウッドへ向かいました。会場となるコンベンションルームへは荷物の搬入口から入りました。私のベットルームよりも広い大きなエレベーターに乗って上がっていきました。ホテルの催し物会場の裏というのはどこも同じようで、日本に居た時にホテルの宴会場でよく出演をしたことを思い出しました。
 ファッションショーが行われるそのイベントはすでに始まっていて、私達は裏で待つことになったのですが、ファッションショーの部分がいつ始まるのか誰も分からず、ひたすらに緊張して待つことになりました。ヤナンは剣舞をするので、少しの緊張はあるようでしたが、他の4名は、マリレンが宮殿の人で歩く、エミが森の人で紙吹雪をまく、ベッキーとエマはバック転をしますが、そんなことは彼女達にはどうってことないようで、裏に並べてある靴を眺めたり、マネキンと写真を撮ったり楽しそうにしていました。
 ファッションショーが始まる前のシルクドソレイユの紹介の映像には、私のことが映っていたようです。それを観ていた付き添いの人が、「スクリーンの映像を観て、すぐに本物がここに出てきたらきっとみなさん喜ぶだろうね。」と言いに来てくれました。
 本番は上手くいったと思います。みなさんもとても喜んで下さいました。
 私達はそこからすぐにMGMへ戻りました。時間は1時過ぎ。今日は練習も入っているので、このままメイクをしたまま過ごすことにしました。
 リーボックのファッションショーをご覧になった方々は、その後みなさんでKAを観にいらっしゃると聞いていました。スクリーンで観た映像の人が、すぐにそこへ出てきて、今度はその時の一部の演技から全体のショーを観ることになるわけです。「ああ、そういうことだったのか…。」と思うのかしら、と考えていたら私も楽しくなりました。
 先日、子供達のためにダンスをした時よりファッションショーでの演技時間は短かったのですが、朝が早いのと、やはりダンスをするのとは違い、棒を回す時はバトントワラーとしての責任を感じるのかとても緊張し、夜は疲れていました。でもリーボックの方々がいらして下さったお蔭で、なんとか頑張ることができました。