岐阜県で、祖父の代から続く木地師(仏具や神棚、神輿の木製部品製造を手がける職人)の家に生まれた 福井 賢治さん。
職業訓練校に通って木工を学んだ後、家具メーカーと父のもとで修業を重ね、技術を磨く日々の中で芽生えたのが「いつか自分の手で、世の中に貢献できるものを生み出したい」という思い。
転機が訪れたのは、結婚して第1子を授かった記念に、妻のリクエストから「いちょうの木のまな板」を作ったことがきっかけで、2007年に「woodpecker」を設立されました。
山桜のお皿も出品されていますが、メインは、「いちょうのまな板」と「山桜のカッティングボード」です。
まな板とカッティングボード、何が違うと思いますか?
一番は、当てる刃物が違います。
それぞれの刃の特性に合わせ、素材から仕上げまで、まるで違うのです。
まな板は、国産いちょうの一枚板を使用し、無塗装で防腐剤も使われていません。
細かい説明もあるのですが、ここは自分が使ってみた感想を書きたいと思います。
自分は、なにを思ったか、一番最初に厚揚げという油物を最初に切りました。
今思えば、野菜を切った方が良かったのかもしれません(反省)。
表面に水をかけ、軽く拭き取ってから切った瞬間、包丁の刃が、また板に吸い付くような感覚がありました。
煮物にするために12等分に切り分けたのですが、とても気持ち良く切れて、切り残しもありませんでした。
その後、いつもなら手前の方が繋がってしまう青ネギもすっきりと切れてくれました。
そして、音が心地良いです。
昔、おばあちゃんが台所で響かせていた、あの音です。
昔は、木のまな板を使っていたのですが、結婚して23年、ずっとプラスチックのまな板に慣れていた自分には、こんなにも違うのかという驚きと、懐かしさに溢れました。
軽くて、やわらかく、弾力性のある「いちょう」の木は、抗菌作用もあって、カビも生えにくく、乾きやすい特性もあります。
今回の出品は、穴の開いた持ち手が付いた2タイプ。
エッジの利いたシャープな仕上げは羽子板タイプ。
もうひとつは、手仕事で角に丸みを付けて、デザインも優しい印象です。
それぞれ、大・中・小の3サイズ。
大家族、夫婦の暮らし、果物用という印象です。
肌触りも気持ち良いので、気になる方は、残り2日ですが、絶対に見てほしいです。
さて、カッティングボードもあるのですが、長くなってしまったので、特徴だけ書かせていただきます。
素材は、しっかりとした重みがあって、硬い山桜。
パンを切るのに使うギザギザの波刃に適しています。
もちろん、キズは付きますが、深く削れない強度があります。
天然オイル仕上げは、あたたかみのある色合いで、刃を当てる面を決めておけば、裏面はプレートとしてもおる会いただけます。
やさしい印象のまな板と違い、持ち手から縁まで、存在感のある仕上げです。
アウトドア好きのお客様にも人気があって、小さなサイズは完売してしまいましたが、ちいさめのピザにも使えそうなラウンド型、オールラウンドに使えるスクエア型、チーズやつまみを盛っても楽しそうなロングタイプがあります。
使って、洗って、オイルが薄くなってきたら、亜麻仁油などで、お手入れすれば、愛着も増すはずです。
末永く付き合いたいカッティングボードを探している方はお見逃しなく。
いちょうのまな板、山桜のカッティングボード、どちらも使い方やお手入れ方法の書かれた説明書が付いているのも嬉しいですね。
展示、オンライン共に25日までとなります。
オンラインはこちらから
https://alpinoginka.thebase.in/
ギャラリー樟楠