猫 石牟礼道子詩文コレクション 1石牟礼 道子藤原書店このアイテムの詳細を見る |
石牟礼さんと言えば水俣のイメージしかなかった。
水俣病が一番先に不知火の魚を食べた猫たちに現れたとも記憶している。
違ったかな?最近はとみに自分の記憶が充てにはならない。
この本も読んだことすら忘れる傾向が強いから、さっそく読んだ印をここに置いておこう。
最初のページを読みすすむと
冬の夜、丸の内の地べたに水俣の患者さんと毛布にくるまって寝ていた時の猫の気配から始まる。
大地とてない固いコンクリートを排泄後に爪でかぐる都会猫に慈愛が満ちている。
思わず固い話は苦手だと避けた石牟礼さんのこれを胸に抱いて図書館から我が家に連れ帰った。
人の生活に溶け込んでいた猫の居た昔の風景が綴られた後に
現実と超現実をいったりきたりする黒猫ノンノが登場する。
朝の連ドラ「ゲゲゲの女房」の水木しげるさんが、
「妖怪は信じる人には見える」と語られていたけれど、
猫の神秘性というか霊的な雰囲気は猫と暮らしていると、
キャットフードだけで家だけの今猫には消えたかもしれないけれど
本来、生まれ持って備わっているような気がしないでもない。
ノンノが生まれたばかりの捨て子猫を拾ってしまうシーン。
濡れ雑巾のように汚れて弱って、か細く温みを乞う鳴き声に何度もあらがえなかった私の急所を突いた。
かわいい。助けなしには消える小さい命。
美しすぎる細かすぎるこの描写から芯から猫好きな石牟礼さんが伝わってきた。
確かにこれは詩文だわと納得して本を閉じた。
あとがきは町田 康だった。
パンクなんか好きじゃないぜと思いつつ、ぱらぱらめくった彼の著書「猫にかまけて」。
途中に挟まっているお猫さま写真にクラクラして、一緒に抱きしめて借り出している。
なんと言う偶然。休日はまだ少し残っている。さてお次はこちらへ。いざいざ~♪