![]() | 建てて、いい?中島 たい子講談社このアイテムの詳細を見る |
独身女性がマンションを買うまでは世間が認めるけれど
『家を建てる』は認めないという常識の壁があるらしい。
建てるからには自分らしい世界にひとつの家と思いつきが
予算とにらめっこしながら現実にしてゆく話。
親の土地あり、恵まれた仕事ありと
ちょっと頑張れば小さな家が持てそうな40歳前の女性が主人公。
すこぶる現実的っぽい仕立てにはなっているが
ワンランク上の生活が一般的に描かれるテレビドラマっぽい感じもした。
『建てて、いい?』
と、回りに聞いているようで
『よし、建てるゾ!』
と、回りの反対があればあるほど意地になっていくのも人の習い性か?
ジャニーズ事務所かと思う美形の設計士ばかりの事務所で
家を建てたい人の話を設計士全員が
ゆっくり聞いてくれるところから家作りが始まる。
その人を良く知らないとその人にあった家が仕上がらないと言う。
ふと介護のケアプランを思った。
その人の生きてきた道を知らないと本当はぴったりしたプランには仕上がらない。
辞めた仕事が読んでいる途中で顔を出す。シッシッシ。
主人公のはちゃめちゃな空想ばりの家の構想を聞きながら
どういう設計になるのか想像がつかなかったけれど
最終的にはちゃんと現実の家に仕上がった。
一生に一度の家を建てるのは
でっかい買い物だけにわくわくしたりや迷いが生じたりする。
ファミリーでなくお一人様仕様、しかも女性と言うことで
どことなく自分だけのデザインのお洋服作りに似ている感じもした。
出来あがるまでストーリは楽しかったけれど
出来あがった家の様子が鮮明なったら急に現実に引き戻された。
この家のローンのためにも彼女は頑張るのね。
しかも経済基盤もすべての生活を一新するところで話は終わっている。
先に苦労が多そう。
さらにワンランク年上の私は思う。現実的な空想が膨らむ。
出来あがった家は今現在、40代の人が住むにはぴったりかもしれないけれど
年齢があがったら住み辛いかも?と。
1階がベッドルームで2階がキッチンで
ゆったりスペースのらせん階段を上がらないと2階へ辿りつかないのは
足腰に難が出る年齢のことまでの考慮がない。
家って作るまでで住むと不都合が出来てくる。
結婚とおんなじか?
考えたら
不都合だらけの思うようにならないオーダーメイド人生を生きているんだわ。