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どう動く日米欧 自民に財政出動論も

2015-08-26 14:42:41 | 日記

 中国人民銀行が25日夜、追加の金融緩和を決定したのが好感し、同日の欧米株は前日の大幅安から一転、総じて堅調に推移した。ただ、中国を“震源地”とする世界的な株安の流れが完全に止まるかは不透明だ。今後、日米欧の財務当局や中央銀行が金融緩和などの対応に迫られる場面も予想される。(佐久間修志、ワシントン 小雲規生、ベルリン 宮下日出男)

 菅義偉官房長官は25日午前の記者会見で、世界同時株安について「先進7カ国(G7)と連携して、必要な施策を打っていきたい」と述べた。午後は東京都内で講演し、「日本経済そのものに自信を持っている」と述べ、安倍晋三政権の経済運営への影響は限定的だとした。

 麻生太郎財務相は記者会見で、今回の世界同時株安について「リーマン・ショックの時とはまったく質が違う」とし、中国の株安について「何年も前から言われており、ついに来たかという感じだ」と強調した。

 ただ麻生氏は、25日の日経平均株価の振れ幅が1千円を超える乱高下となったことに対して「荒い値動きだ」と神経をとがらせた。

 政府は、円安・株高こそアベノミクスを軌道に乗せた原動力との認識がある。輸出関連企業を中心に業績を回復させ、春闘で2年連続の大幅な賃上げにつながったのも円安・株高の後押しがあってこそで、世界経済が不透明感を増せば、日本経済の回復シナリオに水を差しかねない。

 こうした中、日銀に早期の追加の金融緩和を求める声が出始めた。「物価上昇目標2%」の平成28年度前半ごろの達成が危ぶまれていたこともあり、世界同時株安で円が買われている現状は「過度な円安になることを危惧する日銀にとって、追加緩和をしやすい環境」(SMBC日興証券の渡辺浩志シニアエコノミスト)といえるためだ。

 与党からは、補正予算などの財政出動が必要との意見が上がり始めており、自民党の二階俊博総務会長は、「執行部で協議して対応を急ぎたい」と述べた。

 米国では、9月の連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ開始は遠のいたとの観測が広がっている。

 アトランタ連銀のロックハート総裁は24日、カリフォルニア州での講演で、利上げ開始時期について「年内のいずれかの時点」と言及。しかし「原油安や人民元の切り下げが米国の成長率を予想するうえで複雑な要素になっている」とも指摘し、先行きの不透明感が増していることを認めた。

 米資産運用大手ブラックロックのリック・リーダー最高投資責任者(CIO)は24日、ロイター通信に対して「FRBが9月に利上げを始めるという観測は後退している」と述べた。市場では、仮にFRBが9月に利上げに動けば「意表をつかれた市場が混乱に陥る」というリスクも指摘されている。

 ただ、米国経済の緩やかな拡大基調が揺らいだわけではない。リーダー氏は9月16、17日の連邦公開市場委員会(FOMC)までには「多くのことが起こりえる」としており、9月利上げ開始の可能性が完全に消えたわけではないとの見方も強調している。

 欧州では、ユーロ圏経済の景気回復に影響が出ることへの警戒心が強まっている。米国の利上げ観測が後退してユーロ高が進めば、緩やかな回復の足取りを損なう恐れがあるためだ。

 ユーロ圏も、欧州中央銀行(ECB)の量的金融緩和によるユーロ安や原油安を景気回復の追い風としてきた。ユーロ高は輸出にも影響を及ぼす。とりわけ中国国内の需要が落ち込めば、同国を自動車や機械などの主要な輸出先とし、ユーロ圏経済の牽引役であるドイツにも痛手となる。

 ドイツの市場関係者は「ユーロ高の抑制のためECBが手を打つか注視している」と指摘する。

 

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