月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

縦書き原稿と横書き原稿について、のモノローグのようなもの。

2014-02-13 22:32:21 | 執筆のおしごと(主な執筆原稿、最近の公開できるもの記録)




縦書きの原稿と横書きの原稿。
同じテーマ、同じ人の書く文章なら、横書きも縦書きも変わらないと思う人も多いだろう。
しかし、私はどうもこの両刀使いがうまくない。
コピーライター時代が長かったので
どうしても横書きで原稿を書くクセがある。
今もこのブログも横書きで書いている。
なぜ? 文字を左から右に読むのはすごく自然な気がする。気楽だ。
おそらく「慣れ」だけの問題なのだろう。

私が担当する仕事はほとんどが広告代理店か広告プロダクションから、もしくは企業から直接依頼されるものばかりなので(出版社ではない)、
やはり広告媒体系の仕事が多い(情報誌であっても広告主発行のPR誌となる)。
しかし、最近どうしたことか新聞社系からの依頼とか、
もしくは企業でも冊子系のものが重なった。

第1章、第2章だけで提出する原稿量が1万5千文字とか。
見本をみると、縦書き原稿のフォーマットだった。

そういえば、本は全て縦書き。作家というのは、たいていが縦に文字を埋めていく。

しかし、どうもこれがまだ慣れない。
それで、横書き(ワード)で書いたものを、縦書きフォーマットに変換して、提出する。ということをしている。

横書きで、いったん完結させたものを、
縦書きのフォーマットにすることで、横書きでは見えてこない違和感が
みえてくるようになる。そこで修正を。そうやって提出の日に2度ほど推敲・修正を繰り返して提出した。

一度書いたものを、今度は読み手の立場で読み。置き換えて原稿をつくる。
どうも私はいろいろなところが不器用なので、
TPOに合わせて、うまく切り替えるということができにくい体質である。
いくつかの手順を踏まないと、1本の仕事すら仕上がらない。
仕事が重なってきて、1本にかける時間が少なくなると、だから大変だ。
どうしても、手順をすっとばすことが不安。
時間がなかったがために、不完全なもの(最善でないもの)を提出すると、
うまくいかなった時に、ものすごく申し訳ない気がするからだ。

話しはそれたが、先ほどの縦書きと横書きの話である。
横書きのほうが、気持ちが楽で自由な気がまだ抜けない。
縦書きフォーマットの真っ白な用紙を前にすると、
途端に、緊張。怖い。言葉を埋めていく作業のひとつひとつが、
(正解でないような気がして)自信がない。恐れ多いのだろうか。

なぜだ?
なのに、横書き原稿を縦書き原稿のフォーマットに切り替えた時…。
ほっとする。美しい。
そして、先ほどもいったが横書きでは見えなかった、文章の弱点のようなもの、「穴」が
浮き彫りに。
「ごまかしは、通用しませんよ」
といわれているような気持ちに。
それに、文章を読む時には横書きよりも
縦書きのほうが絶対に読みやすい。
なんとも不思議。どうしてなのか理由も不思議である。

一度、気合いをいれて恐怖を乗り越えて最初から縦書きにチャレンジしてみようか。
すると、まったく違う人の文体のようで、違う内容のものになったりして。
(それじゃあ、思いつきで文字を埋めているみたいじゃないか、こら!)
文章って、面白いなあと思う。
(どうでもいいことを、私はよく関心する)


原稿がうまくいった時には、文字の羅列(配列)がすごく美しい。
これも不思議。
簡潔で、無駄がない。
レイアウトをしていないのに、文字の流れ自体がすごく
安定しているし、
シンプルである。

いつまでこの仕事をしていても、
下手くそなままだが、やはり面白い(いろいろな些細なことも含めて)!
と思う以上は、この仕事を続けていくのだろう。
おそらく、ね。そう出来れば幸せである。