月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

金曜の朝、うぐいすの声で目が覚めた。

2014-02-23 00:52:31 | 春夏秋冬の風



金曜日の朝(21日)、うぐいすの鳴き声で目が覚めた。
夢の中かと思ったら本当の(リアルでの)うぐいす。
しゃっくりを何度も連続で繰り返すような、「けきょけきょ」、「けきょ」「けきょ」と4度ほどひいて、思いっきり頭の真上で1オクターブ高い、拡声器で唄うような美声で一息に、「ほーほけきょ」と。
最後にひとつ鳴いて。静寂がもどる。なんて素晴らしい。

カーテンをあけたら光が違っていた。光が踊っていた。

うぐいすは、どうやっても視覚で確認することが難しい。
(わたしは毎年、わが家の木々に止まるうぐいすを何度も何度も探し求め、目をこらしてみてきたけれど)、その瑠璃色の小さな姿を見せてはくれない。
枝につかまる細い爪楊枝のような足を見せてはくれない。
でも今朝。私のベッドの真上にある木の上から、たぶん「春」を告げていた。そう思う。姿は見えないけれど頭のうえで聞こえたから。
なんて、いい日だ。

夕方には、机の上を、ライトの光の真下を
カメムシがウロウロしはじめ、何度もデスクの上まで這い上がってきては、
私に紙で落とされ、また這い上がってきては仕事の邪魔をした。