ネタバレ多し。
庵野さんや樋口さんがやりたいことは、VFXじゃなくて
「特撮」
なんです。
特撮というのは、例えば精巧なミニチュアセットを作ってこれを撮影した映像に、俳優さんの演技などを撮影した映像を編集で繋げて一本の映像に仕上げる。そんなようなものですね。
このような映像の場合、ミニチュアがいかに精巧に出来ていようとも、やはり本物とは違う。
この「違う」感じの映像と、実写映像とが融合されたときに、異質な質感を持った虚構世界が現出するわけです。
単純な「リアル」というのとは違う、虚構世界。この虚構世界を楽しめるか否か。
これが、特撮センスという奴です。
例えば『ジュラシック・パーク』などは、恐竜の「生物感」に徹底的にこだわった映像を作りあげるわけですが、庵野樋口両名が求めているのはそれじゃない。
両名が求めているのは、あくまでも「特撮」。特撮によって生まれる虚構世界なのです。
だから、怪獣に筋肉の動きなどは求めない。求めるのはまるで着ぐるみのようなシワ、弛み。
長澤まさみが乗ったウルトラマンの手のひらに、まるで手袋をはめているかのようなシワをわざわざ描いてみせる。
最新技術を使った「特撮」映像。御二人がやりたかったことはこれなんです。
新しさと古さとのブレンド、絶妙なバランス感覚。ここです、ここ、これこそが
この映画の、一番の見所なのです。
政治的なこと、社会情勢など、様々な要素があって見所は色々ありますが、その辺のことは私が言及すべきことじゃありません。言及すべき方が言及すればいい。
私は一特撮マニアとして、この作品の特撮センスの素晴らしさ、特撮の先人たちへの惜しみなきリスペクト、深い特撮愛こそが、最大の見所であると指摘したい。
愛なんだよ、愛。愛こそはすべて。
この映画全体のテ―マもまた、愛。
愛故に、ウルトラマンは命をかけて人類の為に戦う。
愛に満ちた映画『シン・ウルトラマン』どうぞ御覧あれ。
そんなわけで、これにて
おしまい。