リベラルくずれの繰り言

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再開発の「カジノ抜き」は目標ではなく出発点!

2019-05-12 | 政治
参院選を控えて与党が「安全運転」に徹しているためか、国会の議論があまり報道されない。幼保無償化も、待機児童解消とどちらを優先すべきかについて議論が深まれないままに参院を通過した(過去ブログ)。昨年あれほど話題になったカジノも、もうすっかり忘れ去られている。「引っ張るほど印象が悪い」対立法案を選挙イヤーが近付く前に片づけた公明党の作戦が見事に奏功している。
そんななか、久しぶりにカジノ関連の記事を見た(朝日新聞2019-5-9)。横浜市の林文子市長も当初カジノに前向きだったのだが、2017年の市長選を機に、少なくとも表向きは「白紙」に転じつつ、準備を進めているようだ(過去ブログ)。直近では市長は4月に、「IRは有力な選択肢の一つとしていた」としながらも、「カジノに起因した依存症などについて市民から不安や懸念の声をいただくようになった。市として慎重な検討が必要だという考えに至った」とコメントしたという。
横浜市のカジノ誘致の候補地とされるのは山下埠頭だ。コンテナの大型化に対応できずにいた山下埠頭の再生への期待が地元にはあるという。
だが港湾事業者を束ねる横浜港運協会の会長はカジノ反対を打ち出した。国際展示場、クルーズ拠点、コンサート劇場などを整備し、「重機などの商談をここで行い、港からすぐに出荷できるようなスケールの大きな国際展示場をつくりたい」という。港で商談を行なってすぐ出荷、というのがネット時代の今、どれほどの価値があることか私にはわからないが、「カジノなしが付加価値を増す」との訴えには共感する。
一方、カジノを含む統合型リゾートは、国際会議場などの施設のための資金をカジノの収益で賄うことを前提としており、カジノなしでは成り立たないのではないかという指摘もある。だが「カジノで金を集めて大規模施設の資金を賄おう」という発想そのものがいやらしい。収益の一部過去ブログで書いたように、既存の公営ギャンブルと違って全部が「公共目的」にはならない)が国や自治体に還元されるのを当て込むのももってのほかだ。
たしかに、施設を作ったはいいが維持できずに重荷になるという、バブル期に横行した「箱物作り」にならないようにする必要がある。だが「カジノ抜き」は「付加価値」ではなく、当然の出発点であるべきだ。山下埠頭の有効利用のために何が最善か、ゼロベースで見直してみてもよい。最近では「住民参加のまちづくり」の取り組みもあちこちでなされている。カジノは論外として、建設業者だけが潤う開発にならないよう、きちんと検討してほしい。

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関連リンク:
日本弁護士連合会「カジノ解禁に反対するQ&A」(pdf)

追記:横浜の林文子市長は港運協会の提案に関し、「経営的に言うと、カジノがないと厳しい」と述べた(朝日新聞2019-5-16横浜版)。「白紙」どころかカジノが前提、という立場のようだ。港運協会の藤木会長は「カジノがなければ採算が合わないなら、初めからやらなければいい」と言う。まさにそのとおり。港運協会は「国際展示場のニーズは高く黒字になる」との試算を出しているが、まずはその妥当性を客観的に評価すべきだろう。


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